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第5話 DD-151(あさぎり) ◆WOaKOSQONw 投稿日: 2006/11/25(土) 01:32:32
『Dragon Joe TV Show!』

「あ……」
 ここは年中暑いインドシナ公設市場。お使いに出ていたベトナちゃんは
いつものようにあちこちの店で値交渉に明け暮れていましたが、すれ違った
人影に何か思い出すものがあったらしく、振り返って数瞬後、ついふらふらと
後を追っかけてしまいました。
 その男の人は見た感じ40代くらいの、よく日焼けして人懐っこい目を
した、笑い声の大きな人でした。
 物陰からその人をじっと眺めていたベトナちゃん、観察始めて5分経って
やっとこさ名前を思い出しました。
「あ、『不死身戦士 ドラゴン・ジョー』だ……」


あぷろだ No.451 より


 勿論その名前が本名ではありません。ドラゴン・ジョーは、ベトナちゃんが
小学校2年生のころ、ママンにどつき回されようがテレビにかじりついて
毎週欠かさず見ていた正義の味方の特撮ヒーローでした。

『よいこのみんな!みんなの声が俺の力になるんだ!悪の秘密結社コロニー
ホワイト軍団を倒すため、いつもの合言葉を俺にくれ!合言葉は……』
 その瞬間、あっちこっちの家から子供の絶叫が聞こえてきたのをベトナちゃん
はよく覚えています。

 最終回でドラゴン・ジョーは、弟子のアンクルホーに全てを託し、自らは
コロニーホワイト軍団の総帥アメリネスカフェと相討ちに倒れ、行方知れずに
なったのでした。
『い…生きていたんだね、ドラゴン・ジョー……』
 ベトナちゃんはいつもの引っ込み思案はすっかり忘れ、不思議なくらい大胆に
ドラゴン・ジョーに近づくと、少し興奮気味に拳を突き上げよく通る声で合言葉
を叫びました。
「で…ディエン・ビエン・フー!」
 市場のおばさんと話していたドラゴン・ジョーはちょっと驚いた風でしたが、
ベトナちゃんに向き直るとあのころと同じ笑顔で笑ってくれました。
 頭をくしゃくしゃにされながら「応援ありがとう!」とも言ってくれたのですが、
テンション上がりまくりのベトナちゃんが、どこまで聞けていたかは疑問の残る所です。
 そして家に帰るとき、ベトナちゃんが振り返るとドラゴン・ジョーは見えなく
なるまで手を振ってくれました。

 その後家に帰り着き、ママンに今日あったことをマシンガンのように喋りまくった
ベトナちゃんですが、かなりアッパーな状態だったらしく、珍しくママンに逃げられ
てしまいました。

 んで、そのハイなベトナちゃんの犠牲者になったのはホー兄さんだったそうです。

-仕舞-

解説 DD-151(あさぎり) ◆WOaKOSQONw 投稿日: 2006/11/25(土) 01:33:02
□解説・童心・英雄志願
 ソースが1つしかないんでアレですが(英語ならあるんですが、読み込めてるか
自信ないので提示しませんw)この度はベトナム戦争時、「壊しても壊しても
復活する」不死身のドラゴンジョーと呼ばれたタンホア橋のエピソードを取り上げて
みました。
 宗主国のフランスがずいぶん気合入れて作ったせいで、少々の至近弾では壊れないし、
破損軽微だとすぐに修理されちゃう。おまけに交戦規定の縛りに苛まれてアメリカ側は
有効な手段を長い間取れなかったそうです。
 そしてやっと黙らせたときには、すでに輸送主力はホーチミン・ルートに移行していた
という、アメリカにとっては踏んだり蹴ったりの象徴みたいな物ではないかと思いますね。

 ちなみにタンホア橋は確認とっていませんが、ポールドゥーメ橋は、破損部分を補修
したりして 未 だ に 現 役 です。

□無敵看板ソース
有名サイトMASDF
ttp://www.masdf.com/index.html

の、中の記事
 ↓
 二つの橋ををめぐる攻防戦〜タンホア橋を巡る戦い〜
 ttp://www.masdf.com/crm/bridge1.html
 ↑ここから2つ先までがタンホア橋(ドラゴン・ジョー【竜の顎】)と、ポールドゥメ橋の記事です。

【SS置き場開設記念投下作品w】

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