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第1097話 名無蟲さん 投稿日: 02/07/08 00:08 ID:eE8Th5/q
精肉店「広州」にて(1/2)

 夕暮れ時。ベトナちゃんが何事か考えながらたたずんでいます。年齢に不釣合いな
憂いを帯びた顔にも見えますが実際は、
「・・・・今日の晩御飯、何にしようかしら」
と、ごくごく平凡なことを考えていたのでした。ここは精肉店「広州」。チューゴ君の
親戚が経営する、ちょっと有名な肉屋さんです。籠に入ったウサギやら犬やらネコやら
が並んでいて、パッと見ペットショップに見えないこともありませんが。
「いらっしゃい。イスとテーブル以外なら大抵の物は揃ってるアルよ」
「あら、チューゴくん。ここでアルバイト?」
店の奥から出てきたのはチューゴ君です。ついさっきまで何か捌いていたらしく、
白いエプロンが血で染まり、右手には何か得体の知れない動物の肉を提げた、少し
スプラッタな姿をしています。
「あぁ、店の手伝いネ。ここには良く来るアルか?」
「ええ、ここは品揃えがいいから・・・それに、今晩はご馳走にしようと思って」
「ご馳走なら・・・」
チューゴ君が言いかけたその時、馬の蹄の音がセリフを遮りました。
「馬?何でこんな所に・・・」
「こういう非常識なことをするのは・・・」
 その白馬は2人に近づくにつれてスピードを緩め、「広州」の前で止まりました。
ダンデム状態でまたがっていたのは王子様ならぬモンゴル君とカンコ君。
モンゴル君は颯爽と、カンコ君は転がるようにして地面に降り立ちます。
精肉店「広州」にて(1.5/2)

「やっぱりモンゴルアルか。そんなに遠くでもないんだから、わざわざ馬に乗って
来るんじゃ無いアル・・・・あと、そのカンコは何処で拾ったアルか?」
「乗馬の練習のついでにお使い頼まれてね。カンコ君は途中で会って、行き先が一緒だ
っていうんで拾ったんだ」
「ウリは拾得物扱いニカ!?酷いニダ!謝罪と・・・げぶ!」
モンゴル君はちょっと困惑したように見えましたが、チューゴ君は回し蹴りをかまして
黙らせます。
「モンゴルは何を買いに来たアル?」
「え、え〜と、いつものネズミの大きい奴を6匹頼むよ」
「6匹か・・・店先に出てる分じゃ足りないアルな。捌いて来るから待ってるヨロシ。
ああ、それとカンコ、上等の赤犬が沢山入ったんだが、どうするアル?」
犬と聞いて突然復活するカンコ君。
「それにするニダッ!買えるだけ買うニダ!犬鍋マンセーー!!」
「じゃあ、私もそれにしようかな・・・」
「クラスメートのよしみで、少し負けてやるアルよ」
子供達の楽しげな笑い声が、暮れなずむ地球町に響きます。

精肉店「広州」にて(2/2)

それを遠くからこっそり見ていたアメリー君。
「あいつら狂ってるよ!なんで緑豆はこいつら野放しにしとくんだよ!!ていうか
誰かあいつらにツッコめよ!」
気持ちは分からないでもないけど、もう少し寛大になりましょうね。



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