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第1263話 KAMON ◆9awzJSYC0I 投稿日: 02/10/31 23:10 ID:kSnnHYwK
「ハロウィンの夜に」

今日はハロウィンです。
エリザベスちゃんやアメリー君など、ユーロ町やアメリカ町の子は、魔女やカボチャの化け物などに扮し、ハロウィンパーティでどんちゃん騒ぎをやっています。

特にフランソワーズちゃんなどは、芸術に対するプライド(本人談)のせいか、去年にも増して凝りまくった衣装でパーティに挑もうとしていました。
「ふ・・・構想15日、製作10日・・・長かった・・・
あたくしの芸術のすべてを出し尽くしたこの最高傑作、
去年みたいに、隣のシツジツゴーケン女や向かいのグロリアスアイソレーション女なんかには絶対真似できませんことよ! おーっほっほっほっほっほ!」
フランソワーズちゃん、去年のこと(第610話参照)を相当根に持っているようです。

「失礼します、お嬢様。」
フランソワーズちゃんが背中のジッパーを閉めようとした時、執事が部屋に入ってきました。
「どうしたの、セバスチャン?」
「玄関でご学友がお待ちでございます。」
「ああ、大方あのルールブリタニア女ですわね。丁度いいですわ。あたくしの最高傑作で驚かして差し上げましょ。」
うきうき気分でジッパーを閉めると、玄関に抜き足差し足で忍び寄っていきました。

フランソワーズちゃんは、玄関のドアにぴたりと張り付き、大きく深呼吸をすると、まがまがしい魔女の顔をかたどった仮面をかぶり、衣装のマントを翻し、一気にドアを開けました。
「ウリイイイイイイイイイイ!」
が、目の前には誰もいません。
「あら、あたくしが怖くなって逃げたのかしら。臆病ねえ、エリーも。」
が、その時、突然、どこからともなく蝙蝠がやってきて、フランソワーズちゃんの後ろに回り込みました。思わずすくみ上がるフランソワーズちゃん。
こわごわ後ろを振り返ると・・・。
「TRICK OR TREAAAAAAAAAAAT!」
そこには、目はつり上がり、口は耳まで裂けたヴァンパイアが。
「ひいいいいいいいいいいいい! 止めて来ないで近寄らないでええ!」
恥も外聞も捨て、フランソワーズちゃんは脱兎のごとく飛び出していってしまいました。

ヴァンパイアがマントを翻すと、まがまがしい形相のヴァンパイアは、愛らしい少女になってしまいました。ルーマちゃんです。
「ちょっとおどかしすぎたかな? しばらくこれは禁じ手ね。
・・・あたしも早く行かないと遅れちゃう・・・」
ルーマちゃんはまたマントを翻しました。
次の瞬間、ルーマちゃんの姿は消え去り、代わりに膨大な数の蝙蝠が、パーティ会場へ向けて飛び立っていきました。

さて、こちらはニホンちゃんち。
ハロウィンパーティのことは知識として知っていますが、
ニホンちゃんを含む日ノ本家の人間は興味がないので普通通りの生活をしていました。
すると、どんどんどんどんどん。夜分遅く、乱暴にドアを叩く音が。
「はいはい、どちら様?」

すると、そこにいたのはシャミンちゃん。骸骨柄の全身タイツを着ていても、「がんこに平和」の鉢巻きと「げんきに福祉」のプラカードはいつも手放しません。
「えーと、あの、何?」
「見て分からない? ハロウィンの仮装よ。」
「いや、うちハロウィンやらないんだけど・・・」
「まあ! このコクサイキョーチョーの時代にイブンカコーリューもしないなんて、
ニホンちゃんってば相変わらず遅れてるわね!」
「う・・・そうなの?」
「そうよ! というわけで・・・
悪戯されたくなかったらヘイワをよこせえええええええ!」
「え!? 普通お菓子じゃないの?」
「問答無用! これが新しいシミンウンドーのやり方なのよ! さあ、ヘイワをくれないと暴れるわよおおおおお!」

この激しい脱力感に何度見舞われたことか。無駄と分かっていつつもニホンちゃんは反論しました。
「シャミンちゃん、ロシアノビッチ君に『砂糖という言葉を繰り返しても口の中は甘くならない』って怒られたばっかりじゃなかったっけ?」
「まあ! ヘイワを否定するなんて、なんて非人道的な! グンクツの足音が聞こえてしまうわ! とにかく、ヘーワ! ヘーワ! ヘーワ! ヘーワ!」

完全に壊れてしまったシャミンちゃん。どうしようもないので、ニホンちゃんは最終手段を執ることにしました。
「・・・北朝鮮」
ニホンちゃんがぼそっとつぶやくと、シャミンちゃんは叫ぶのを止めて硬直しました。
「・・・拉致」
ニホンちゃんが更につぶやくと、シャミンちゃんは冷や汗をたらたら流しました。
「・・・責任追及」
ニホンちゃんがとどめを刺すと、シャミンちゃんはプラカードを納め、ダッシュで逃げ帰っていきました。
やっとシャミンちゃんが帰ってくれ、ニホンちゃんは残っていた宿題を片づけようと机に向かいました。その時。

「やい! ニホン! 開けるニダ! 開けないと謝罪と(略)」
もう皆まで言わなくても分かっています。
ニホンちゃんは出るのが嫌になりましたが、
こうも夜分遅く騒ぎ立てられては近所迷惑ですし、何より勉強に集中できそうになかったので、
がっくりと肩を落としながら再び玄関に行きました。

開けると、案の定、丸いカボチャ・・・本人はキムチモンのつもりらしいですが・・・に扮したカンコ君が立っていました。
「やいこらニホン、寒いのにいつまで待たせておくニダ! 謝罪と(略)」
「・・・何? カンコ君もハロウィン?」
「そうニダ! というわけで、悪戯されたくなかったら・・・」
ニホンちゃんは激しく嫌な予感がしましたが、体が硬直してしまって言うことを聞きません。
「対馬パンツをよこすニダ!」
「・・・ダメだよう・・・あれは私のだもん・・・」
ニホンちゃんは泣きそうになりながら、きわめて小声で反論しました。
「何? 渡す気がないニダか? なら・・・」
カンコ君がにじり寄ってきます。
「悪戯してやるニダーーーーーー!」
ニホンちゃんは恐怖で固まってしまい、声も出ません。
カンコ君がいざ飛びかからんとしたその時!
「泣ぐ子はいねがあああああああああ!」
ナマハゲが木刀を振り回してカンコ君に打ちかかりました。ウヨ君です。
「怠け嫁はいねがああああああああ!」
黒い学ランを着たナマハゲは、カンコ君をめった打ちにして、追い出してしまいました。

「・・・大丈夫かっ! 姉さん!」
ウヨ君は、ナマハゲの面を脱ぐと、ニホンちゃんに駆け寄りました。
「ダメじゃないか、あいつなんかのためにドアを開けちゃあ! 僕がいなかったらどうするつもりだったんだよ!」
「だって・・・」
「今日は戸締まりを厳重にして寝なよ。」
「うん・・・そうする。」

次の日の朝、カンコ君とフランソワーズちゃんは学校に来ませんでした。
訳は、読者のみぞ知る・・・ということで。

解説 KAMON ◆9awzJSYC0I 投稿日: 02/10/31 23:15 ID:kSnnHYwK
KAMONです。久々の新作。

ハロウィンまで、ずっと暖めてたネタを出しました。
といっても、当初はシャミンちゃんがヘイワヘイワと叫ぶところだけだったんですけどね。

こういう、人の迷惑顧みず勝手に上がり込む厚かましさは、
アサヒちゃんを使うよりシャミンちゃんを使う方が映えるんだよね・・・。

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