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第1401話 なー ◆GMi2juaL6k 投稿日: 03/02/05 21:01 ID:3c/r3k6/
「ニッショー丸事件(1/3)」

「ペルシャちゃん、あなたの家から灯油買っちゃダメって、みんなに回覧板
回したから。よろしく。」
「ええ?・・・ウチから灯油買っちゃダメって・・・なんで???」

「あなた、『ウチのお店の灯油はウチのもの』って言ったじゃない。」
「え?・・・ウチのものはウチのもので・・・なんで悪いの???」

「うふふ、この町の灯油はね、『めじゃー』の利権の為のものなの。わたし
の物はわたしの物、あなたの物もわたしの物なの。わかった?、それに第一、
わたしが儲からないじゃない!!!」

「そんな、エリザベスちゃん・・・ストレートすぎ・・・」

「ま、とにかくもう誰もあなたのところには灯油買いに来ないから、よろし
く。」
「ニッショー丸事件(2/3)」

「あうー、ほ、ほ、ほ、ほんとに誰も買いに来なくなっちゃったよ〜、マカ
ロニーノ君が買いに来てくれそうだったけど、エリザベスちゃんににらまれ
て帰ってっちゃったし・・・こ、こ、このままじゃ・・・はさーん、はさー
ん、はさーん・・・誰か買いに来てよぉ〜、今なら安くしとくから〜〜〜、
安さ爆発〜、三割四割当たり前〜〜〜・・・」


「灯油、安く売ってくれるって・・・ホント?」

「へ?・・・あれ?ニホンちゃん?、何か用???」
「だから、ペルシャちゃんのところで灯油の安売りやってるっていうから、
買いに来たんじゃない。」


そこには、台車にポリタンクを乗せてやってきたニホンちゃんが立っており
ました。
「ニッショー丸事件(3/3)」

「わーい、買っていってくれるの?、ありがとーーー、サービスするよーー、
と・・・あの、でも・・・エリザベスちゃんににらまれちゃうと思うけど。
・・・だいじょぶ?」

「かんけーないもーん、どこのお店で灯油買ったっていーんだもーん。安く
売ってくれるんだったらちょっとくらい遠くたって買いにいくんだもーん、
いろんなところからお買い物したいもーん。」

「わーいわーい、ありがとうニホンちゃん、また来てね。こんどもサービス
するから。」
「うん、かならず来るよ。じゃ、またね。」


灯油を乗せた台車を押しながらかえっていくニホンちゃん、ポリタンクには
ニッショー丸と書いてありましたとさ。

おしまい

※イラン原油の国有化→メジャーによるイラン原油の国際市場からの締め出
 し→日章丸事件(1953年)
 http://www.idemitsu.co.jp/kaisya/kaisya_12_04.html
 URL探したんですが、日章丸事件をイランの側からみたURLが見つか
 りませんでした。原油が売れなくて困っていたイランではかなり熱烈歓迎
 されたそうです。
 ネタ本:物語イランの歴史(中公新書)

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