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第1964話
熱血君 ◆O4x3A1GrPw
投稿日: 04/08/31 04:58 ID:FGRATsyM
「ダシの秘密」
「美味しかったわ、このキムチを使った料理」
「本当アルか?」
「ええ。ただ今日でこのキムチが賞味起源なのが残念だけれどまた作ってね」
「わかったアル、お母さん」
「じゃあシナちゃん、生ゴミは捨てておいてね」
「はい」
チューゴ家では夕食が済みました。この家では特に料理に五月蝿く味付けは
事細かに指摘されます。今日はチューゴ君の料理でしたがなかなか好評でした。
「料理だけは馬鹿にされるわけにはいかないアルからな」
ちなみにクラスで彼の料理を馬鹿にした人は大抵袋にあっています。ただそれが
カンコ君一人で済んでいるのは実にいいことです。
「それにしても毎度のことながら食べた後の生ゴミの量が凄いアルな。まあそれだけ
美味しく食べてもらったということだからよしとするアルか」
彼はそう言って家の裏のポリバケツに生ゴミを捨てました。そして家の中へ
帰っていきます。
「それにしてももっとキムチを使うべきだったアルな。料理に使っていないものが
こんなにあったアル」
見れば生ゴミの他にキムチも捨てています。
「まあ過ぎたことは仕方ないアルか。好評だったし今度使えばいいアル」
チューゴ君はそう言うと家に入ってしまいました。
それを物陰から覗き見る影がありました。
「いったニダな」
その影はポリバケツに音もなく近寄るとその中を背中に背負う袋の中に入れました。
そして何処かへ去って行きました。
翌日。見れば公園で出店が開かれていました。
「さあ皆安いニダよ!」
カンコ君が店を開いていました。どうやらまた何かの新しい商売のようです。
「おい、出し物なら学校でやれYO」
まずアメリー君が突っ込みを入れました。
「違うニダ、これはラーメン屋ニダ、出し物などではないニダ!」
「どうせ同じことアル。最後にはまたオチがつくアルな」
「チュ、チューゴ君までそう言うニダか」
「じゃああんたが何かやってコントにならなかったことってあんの?この
ラーメンだってどうせ一度食べたらそのまま天国へ行ってしまうようなもん
に決まってるわ」
タイワンちゃんの言葉は皆の意見を代弁してしまっています。皆それを
聞いてうんうん、と頷いています。
「そんなことは食べてから言うニダ、一杯目は無料サービスするニダ!」
「・・・・・・本当か!?」
無料サービスと聞いた皆の顔色が変わります。
「ウリが嘘をついたことがあるニダか!?」
「いつも」
皆もう動じていません。
「ええい、とにかく食べるニダ、ここは・・・・・・」
そして食べてくれそうな人を探します。それはいました。
「ではわたくしが」
ここで意外にもエリザベスちゃんが出てきました。
「エリザベス、止めときなよ。どうせろくなものじゃないわよ」
タイワンちゃんが忠告します。
「まあまあ。まずければそれなりの返礼をするだけですし」
「・・・・・・・・・」
エリザベスちゃんの瞳が剣呑な光を発しました。
「と、とにかく早く食べるニダ、そして美味いと言うニダ」
「では一口」
エリザベスちゃんはラーメンを受け取りました。そして一口食べて
みます。
「どう!?」
皆が尋ねます。
「美味しいですわ」
舌は嘘をつきません。エリザベスちゃんは素直に言いました。
「ニダッハッハッハ、当然ニダ。これはウリナラ半万年の粋を
集めて作ったラーメンニダ」
「そんな時にラーメンなんてねえだろ」
「そもそも麺はうちが起源アルが」
「・・・・・・・・・」
ここでアメリー君、チューゴ君のお決まりの突込みが入り沈黙
です。かくしてカンコ君のウリナラ自慢はお開きとなり皆はラーメン
に箸をつけました。
「本当、意外と美味しいわ。バカンコもたまにはやるじゃない」
「ああ、いつもこうしてまともにやってくれりゃあな」
タイワンちゃんも味は認めています。アメリー君もです。
「しかし」
ここでチューゴ君が食べながら考える顔をしました。
「この味は何か食べたことがあるアルな」
「そりゃラーメンだと何処にでもあるだろ?」
「アメリー、ちょっと違うアル。これは僕の料理の味付けアル」
(ま、まずいニダ。やはりチューゴ君の舌は誤魔化せないニダ)
危機を悟ったカンコ君こっそりと立ち去ろうとします。
「バカンコ、おかわり作らないで何処行くつもり!?」
しかしそうは問屋がおろしません。タイワンちゃんに見つかって
しまいました。
「い、いやちょっと・・・・・・」
「何かおかしいな」
アメリー君が何かを勘付きました。
「この味は・・・・・・昨日の夕食のものアルな」
流石にその舌は一級品です。忽ち見破ってしまいました。
「昨日の?」
ニホンちゃんが尋ねます。
「うん、スープに入っていてわかりにくかったアルが間違いないアル。
これは昨日僕が作った夕食の味アル」
「どういうことだ、カンコ」
アメリー君がそれを聞いてカンコ君を睨み付けました。
「そ、それは・・・・・・」
答えられません。やはり何かあるのでしょうか。
「ちょっと材料を見せてみるよろし」
チューゴ君がそう言うと皆はカンコ君を取り押さえました。そして
材料を見ます。それは。
「まさかとは思ったアルが」
何とそれは生ゴミでした。スープにプカプカと浮かんでいます。
「そうか、これでラーメンのダシを取っていたのかYO」
アメリー君が取り押さえられたカンコ君を見下ろして言いました。
「折角綺麗にまとまったと思ったらこんなことだったなんてね。
本っ当にいつもやってくれるわね」
タイワンちゃんが両手に気を貯めながら言いました。
「本当に。まさかわたくしも生ゴミを御馳走して頂けるとは夢にも
思いませんでしたわ」
「ア、アワワワワ・・・・・・」
皆もう戦闘態勢です。このあとの展開はもう誰にでもわかります。
「ニ、ニホン助けるニダ」
予想通りニホンちゃんに助けを乞いました。
しかしニホンちゃんは一言も答えません。けれど暫くしてようやく
口を開きました。
「カンコ君、この前も生ゴミが入ったギョーザ出したわよね」
「そ、それは・・・・・・」
そうでした。それで皆から袋にあったばかりです。
「全然反省してないのね。だからまたやったのね」
見ればいつもの優しい笑顔はありません。深く、沈んだ声で全く
の無表情で語ります。
「人にゴミを食べさせるのがどんなに酷いことかわかっていないのね。
だから繰り返すのね」
「うう・・・・・・」
完全に本気です。もうこうなったら誰も止められません。けれど
ニホンちゃんは何もしませんでした。
「もう知らない。暫く反省したら!?」
そしてプイッと振り向いてしまいました。ジ・エンドです。
「さて、と。ニホンちゃんもああ言ったことだし」
「覚悟はいいアルか!?」
「今日は手加減しないわよ」
「よろしいですわね」
四人共目が本気です。見れば皆も。
「ア、アワワワワワワワワワ・・・・・・」
皆がカンコ君を取り囲みました。そしていつものオチがつく時が
来ました。
「アイゴーーーーッ、最近こういう目に遭ってばかりニダーーーーーッ!」
「じゃあ普通にまともな食べ物出さんかい!」
こうして皆にいつものオチをつけられたカンコ君でした。
解説
熱血君 ◆O4x3A1GrPw
投稿日: 04/08/31 05:13 ID:FGRATsyM
ソースはこちら。中国産の賞味期限切れのキムチから
インスタントラーメンのスープを作っていたそうです。
ttp://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/06/10/20040610000026.html
もしかして辛ラーメン!?食べたことあるよ、あのメチャ辛いの。まさかあれは・・・・・・。
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