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第2037話 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/11/03 00:03:45 ID:2XUZ6KuK
              「ビジネスチャンス」
 小さいながらかなり商いや近所付き合いの上手いベトナちゃんのお家
ですが最近新しい商売に目覚めました。
「これ売れるかしら」
 ベトナちゃんは店先で何やら緑の葉を手に持っています。
「ベトナ、売るんじゃない」
 ここでホーチミン君の妹への強い励ましの言葉です。
「売りつけるんだ、いいな」
「うん」
 かなり過激なようですがそうでなくては売れないのも事実です。むしろ
そういうお家の方が多いのがこの町です。
「しかしそれにしても」
 ホーチミン君はお店に並んでいるジュース等をちらりと見ます。
「うちのはまだまだ少ないなあ」
「そうね。アメリー君やフランソワーズちゃんのところが多いわね」
「そこそこは売れているみたいだけれどなあ。やっぱりうちのが売れて
欲しいよな」
「このお茶も美味しいのに。何故かしら」
「ううむ」
 二人はお茶を飲みながら考えます。ちなみにこれは売り物では
ありません。ここでベトナちゃんが思いつきました。
「品質がよかったら売れるわ」
「品質か」
 商売の基本に立ち返りました。そう、いいものこそよく売れるのです。
 こうしたことは目利きに見てもらうのが一番、それも見返りを
あまり要求せずに優しく引き受けてくれる人に頼むのが一番です。
そして見事選ばれたのは。
「うん、いいよ」
 ニホンちゃんです。舌は確かな彼女ならその点問題はないでしょう。
 こうしてチェックがはじまりました。ニホンちゃんはベトナちゃん
のお家のお茶を一口一口確かめていきます。
「ううん」
 飲む度に顔を少し難しいものにさせたりしています。こうして全て
のチェックが終わりました。
「悪いけれど」
 残念なことにその殆どが不合格でした。ニホンちゃんもチェックは
厳しいものがあります。
「わたしのお家も昔これで苦労したし。真剣にやらせてもらったわ」
「そう」
 二人はそれを怒るわけでもなく真剣に聞いていました。
「どれも美味しいわ。けれどちょっとお水が古かったりして。それを
気をつけるとかなり良くなると思うわ」
 ニホンちゃんのお話は続きます。
「それだけでかなり違うから。このお茶わたしも気に入ったから」
「本当?」
「うん。とても美味しいよ、どれも。きっと売れるわ」
 味利きのニホンちゃんが言うのなら問題はありません。
「じゃあ品質をきちんとしたらかなり売れるんだね」
「それはいいわ」
「うん。だから頑張って。そしてわたしにもまた飲ませてね」
「勿論」
 こうして二人は売るにはどうしたらいいのかニホンちゃんに
教えてもらいました。それから二人のお家のお茶はそれなりに
人気商品となったそうです。
 こうしたふうにこの二人は正攻法で商いをしていますが中には
そんなことは全くの無頓着な人もいます。例えば。
「ニダッハッハッハ、キムチシェーキを売るニダ」
 彼の開発したあの伝説の飲み物を店先に並べます。すると。
「これがあの噂のあれか」
「一度試しに飲んでみるか」 
 皆全く違った意味で買っていきます。
「流石はウリナラの飲み物ニダ、よく売れるニダ。ウリナラ
マンセーーーーーーーッ!」
 けれど実際どう思われているかは全く知らないカンコ君
でした。けれどこれはこれで幸せなのかも知れません。
とりあえずは売れていますから。

解説 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/11/03 00:06:19 ID:2XUZ6KuK
 今回のソース。ベトナムの飲料水市場。品質管理に苦労して
いるそうです。パスしたのは僅かだとか。これにベトナムの
お茶をミックスさせました。
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041013-00000025-nna-int
ttp://www.overlandclub.jp/ryouri/tea.html
 何か結構危なそうです。お茶は美味しそうですが。

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