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第2170話 Fasces ◆CjMLId0fPc 投稿日: 05/02/26 00:46:40 ID:u0MLu1iX
文題【アメリー君曰く、『ステーキいる?』】

本文

ニホンちゃんが、アメリー君に対して嫌いな点は沢山有ります。
それでもカンコ君よりははるかにマシなのですが、アレと比較してはいけません。

ニホンちゃんは悩んでいました。
『う~ん、どうしよう……』
『姉者、如何なされた?』等とは言わず、『姉さん、どうしたの?』とウヨ君。
『武士……。実はアメリーさんとこの中の人がカンカンなの』
『どうして?』
『アメリー君家で作ってる、べこを買えって』

べことは牛の別名。福島県会津市には【赤べこ人形】が有りますが、
それをイメージして下さい。ニホンちゃんの家でもべこ人形は有ります。
ニホンちゃん家のべこは高いですが、芸術的な仕上がりです。
反対にアメリー君のべこは、品質がいい加減で値段は安いのです。
ニホンちゃんのお父さんが、アメリー君家にいっぱいニホン家の物を売っていた10年前、
『不公平だ』と言う声がアメリー君家の中の人に有り、
そこで、ニホンちゃんのお父さんが買い始めたという経緯が有ります。
(続く)
(続き)
その後、ニホン家の商品は飽きられてしまい、
アメリー君家に昔のようには売れなくなってしまったのですが、
アメリー君家から買ってる物は年々増える一方でした。
ニホンちゃんの遠い親戚である吉牛さんなどは、
積極的にアメリー家のべこを買い、一時は150円引きまでやっていたのです。
ニホンちゃんの家で作るべこの半分以下の値段です。
その時ニホンちゃんも家族揃って吉牛さん家に見に行きました。
中には『150円引きにつられて来たんだったら、150円やるから俺にその席を譲れ』
というオーラを出してる人もいましたが。

或る日大変な事が起こりました。
アメリー家のべこに、水銀が入っており人体にも害を及ぼす事が解ったのです!
エリザベスちゃんの家のも同様でした。
ニホン家は、アメリー家、エリザベス家のべこを買う事を禁止しました。
自分の家を守る為の当然の措置です。そして今後、
一つ一つ、全てのべこをニホン規格でチェックしなければ、
アメリー家と、エリザベス家からのべこは買わないと言いました。

でも抜け道は有ったんですけどね。
アメリー君家から、例えばカンコ君家に送られて、
それをニホンちゃんの家で買うと、それはアメリー君家の物ではなく、
カンコ君家の物になっちゃうのです。
エリザベスちゃんは、その手を使って、オージー君を間に挟んで、
オージー産のべことして売っていました。
オージー君家からは、毎年何個ものべこが来たので、誰も疑う人はいませんでした。

とにかく、数多い例外は置いといて、表向きには、
アメリー君家のべこは買えない事になっていました。
(続き)
(続き)
『そうだろ? 姉さん』ウヨ君がこれまでの過程を言い出します。
ニホンちゃんは黙ったままです。そうです、解ってるのです、そんな事は。
ニホンちゃんが悩んでるのは、そこでは有りませんでした。
シシローおじさんから、『ニホンはNOと言えるんだ』と教えられてきましたが、
今がその時なのでしょうか?
確かに、アメリー君家の要求は理不尽です。
そもそも、アメリー産のべこを買い始めた理由は、
ニホンちゃんの家の物が余りにも、アメリー家に売れてしまい、
釣り合いを取る為だった筈でした。でも今はニホンちゃんの家の物は、
タイワンちゃんや、カンコ君、そしてチューゴ君でも作れるようになり、
特にチューゴ君家の躍進は、『大躍進』に相応しい物でした。
つまり、昔ほどニホンちゃんの家の物が売れていないのに、
昔と同じか、昔以上にアメリー君家の物を買えと言われるのは、理不尽以外の何物でもありません。

ニホンちゃんは、そういう家族間の間での売買を取り締まっている、
WTOさんに訴えに行くべきなのでしょうか?
アメリー君家は、チューゴ君家が、WTOに訴える権利を、最近になって持つまで、
散々『WTOの規約を守れ』と言って来たのです。
ニホンちゃんもここで、同じ事を言った方が良いのでしょうか?
(続く)
(続き)
『でも……』ニホンちゃんは悩みます。
実はニホンちゃんの家は、やくざや暴力団や強盗が来た時に、
アメリー君家に助けてもらう契約をしています。
(機嫌を損ねたらどうなるんだろう?)それが悩みです。
りくじさん、かいじさん、くうじさんの三兄弟もいますが、
余り頼りになりそうには思えません。
今、アメリー君家から契約を破棄されると困るのです。
でも、ニホンちゃんの家にべこを売りたい、アメリー家の中の人は、
スーパー301条のような制裁を加えるべきだとまで言う人もいます。
スーパー301条とは、ニホンちゃんの家の物がもっと売れていた時に、
勝手にアメリー君の家が定めた家法なのですが、
これが発動されると、原料を買って製品を売っているニホン家が困ります。
原料が買えなくなるのですから……。
アメリー家では馬鹿の一つ覚えのように、これを繰り返し発動しようとします。
ニホンちゃんの祖父、ニッテイさんの時もそうでした。
アメリー君、エリザベスちゃん、チューゴ君、和蘭(オランダの人名が思いつかん! ワランちゃんじゃ解んないだろうし)
の四人の祖父母が協力してニッテイさんの家を封じ込めようとしてきた事が有りました。

もし同じ事態になれば、ニホンちゃんの家のご飯が無くなってしまいます。
ニッテイさんの時代は、ニホン家も戦える能力が有りましたが、
今ではさっぱり駄目そうです。
ニホンちゃんは、一体どうすれば良いのでしょうか?
(続く)
(続き。この辺から『こうなるだろう』的な話になります)

とそこに電話です。アメリー君からです。
『ニホン、イラ君を協力してボコボコにした労をねぎらってパーティーやるよ。
他に来る権利が有るのは、エリザベスだけだ』
『どうして、フランソワーズちゃんとか、ゲルマッハ君は呼んじゃ駄目なの?』
ニホンちゃんがこう聞くと、アメリー君は怒ったように言いました。
『あんな古い連中なんかどうでもいいんだ。イラ君に手助けしてんだから。
ロシアノビッチと一緒にな。協力しない奴なんかどうでもいいんだ!』
結局ニホンちゃんはパーティーに行く事になったのです。

会場では、アメリー君と、エリザベスちゃんだけかと思いきや、
オージー君や、ニュージーちゃん、カナディアン君の姿も有るでは有りませんか!
ニホンちゃんが来ると、いつもの友好的な態度はどこに行ったのでしょう?
殺気が感じられました。
アメリー君が言いました。
『ニホン。ここで起こった事は学校の皆には秘密だぞ!』
いつもと異なる皆の態度に、怯えながら恐る恐るうなづくニホンちゃん。
『さて、他でもない。うちのべこを買ってくれないかなぁ?』
気が付くと出入り口は既に閉め切って有ります。
『うんと言わなければ、扉は開かないのよねぇ☆』とエリザベスちゃん。
そうです。ニホンちゃんはハメられたのです。
これから吊るし上げが始まるのです。
これはうんと言わないと帰れないでしょう。
『俺はお前の家までも守ってやってんだ。当然断るわけ、な い よ な ?』
『で、でも。アメリー君。それは相互に……』
『自分の家を自力で守れない奴が、相互に守れる訳ないよな?』
『で、でも、今の我が家の家法を定めたのはアメリー君の……』
『何カ言ッタカ? ア?』
こうすごまれてしまうと、ニホンちゃんは言い返せません。

『まぁ、どうしてもウチのべこが気に入らないならいいや。その代り!
お前の家に何が有ろうが、ウチはもう助けてやらねぇぞ!
キッチョムや、カンコがお前をいじめてても助けないぞ。
そ・れ・よ・り、チューゴの奴が何おっぱじめるか知れたもんじゃねぇけどな』
ニホンちゃんは泣きたくなりました。
どう考えても我が家のやり方の方が正しいと思います。
でも、正論は通用しないのです。
ニホンちゃんは固く心に決めたのでした。
(いつかジエタイ三兄弟さんに頑張ってもらって、自分の家は自分で守ろう)

『お前の秘密、色々にぎってるんだぜ。あんな事やこんな事。
とりあえず、ここにいるメンバー全ては、お前の秘密知ってるけど、
これがカンコや、キッチョム、チューゴの野郎にバレたらどうよ? ククク』
結局、べこの購入再開を認めさせられ、なおかつ借金の追加申し込みまでされてしまったニホンちゃん。
彼女のお小遣いも、年々少なくなっています。ニホン家の借金も、どんどん大きくなっています。
なのに、ニホン家はアメリー家の借金を毎年背負ってあげてるのです。
ニホンが条件を飲んだ途端、周囲は和やかなムードに戻りました。

『じゃ、パーティーやろうぜ! おい、皆にステーキを……。
肉? 皆にはウチの、俺にはニホンの肉ちょうだい!』
ニホンちゃんの家はこれから大丈夫でしょうか?
(完)

下手くそですが、すいません。寝ぼけた頭で構想を練ったので……。
じゃあ、そんな時に書かなければ良いだろうと言う人もいるかもしれませんが、
ソースをたまたま発見したので、明日書く時には忘れるだろうなと考え、
巧遅より拙速を優先した次第です。
結構設定が決まっていないキャラは多いんですね?
イラクとか、オランダとか、ニュージーランドとか。
勝手に人間を作っちゃマズイですね。
なお、ニホンちゃんは秘密をにぎられてるのですが、これはエシュロンの比喩です。
だからアングロサクソン系の人しかいなかったのだと。

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