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第2190話 シェロ 投稿日: 05/03/15 04:04:30 ID:ve3U36oL
「白色情人節」

 朝学校に来たら、ニホンちゃんの机の上がすごいことになってた。
「ニ、ニホンちゃん、なにこの贈り物の山・・・」
「ん?タイワンちゃん、今日はホワイトデーだよ。あたしこの前バレンタインの時に
 皆に沢山チョコ配ったから、そのお返し。」
「で、でもなんでこんなに・・・時計とかネックレスとか・・・しかも皆凄く高そうだよ?」
「あはは、あたし冗談のつもりで三倍返しだよ?って言ったのに、
 皆本気にしちゃうんだもん。男って、チョロイわよ〜☆すごく費用対効果の高いビジネスよねこれって」
 ニホンちゃんはそういってコロコロと笑う。ニホンちゃんこわいよニホンちゃん。
「ところで、タイワンちゃんもお返ししなきゃいけない人がいるんじゃないの〜?」
 そう言ってニホンちゃんはあたしの顔を覗き込んだ。
「えぁっ?そ、そんなのいないって。そのイヤらしい顔やめてってば」
「ん〜〜?ま〜たとぼけちゃってこの子。まさか忘れたなんて言わせないわよ?
 あ〜〜んなにダ・イ・タ・ンにプレゼントされてたくせにぃ〜〜」
「うぅ・・・」

 そう、あたしはバレンタインデーにあいつから花束もらっちゃってるのだ。
 あんな人前で、こっぱずかしいことしてくれちゃって、チューゴのヤツ。
 アサヒちゃんと付き合ってるくせにさ。
 あれからニホンちゃんたちにきゃーきゃー冷やかされて、大変だったんだから。
 そりゃ、嬉しくないわけじゃなかったけどさ。一応あたし、女の子だし。

「でもなんか、あたしがお返ししたら、アイツ勘違いしそうなんだもん」
「バッカね〜タイワンちゃん。男なんて勘違いさせておいてナンボのもんってやつよ。
 手の平でコロッコロ転がしてやるの。それがオンナのま・りょ・く」
 ウインクするニホンちゃん、この子こんなキャラだっけ・・・
「いいじゃない。お返しにクッキーくらい焼いてきてあげたんでしょ?そんなビクビクすることないよ」
「うん・・・そりゃそうだけどさ」

 まあ男なんて手の平で転がしてナンボ。ニホンちゃんの言うことは確かに的を射てる。
 実際あたしはそうやってチューゴの一緒に住めアタックをかわし続けてきた。
 今回のお返しだってそう。お返ししないでアイツと仲悪くするのはあんまり良くなさそうだし。
 でもなんだろ。最近アイツ見てると何か、胸騒ぎがするの。あたしを見る目が前とちょっと違う気がするんだ。
 この前こっそりニホンちゃんちにお泊りした日も・・・・・・
 ・・・・・・・・・やめた。なにウジウジしてるんだろあたし。スパッと渡して勘違いしないでねって言えば済むだけじゃん。
 チューゴなんてたいしたことないし、いつも通りかわしてやればいいんだ。
 そう決意したあたしは、チューゴが座ってる机に向かって、声を掛ける。昨日作ったクッキーを持って。

「チューゴ、はい、コレ」
 あたしは、チューゴの机の上に小さな袋を置いた。
 チューゴは本をめくる手を止めて、あたしのほうを見る。
「・・・何アルかこれ、タイワン」
「何って・・・今日ホワイトデーっしょ?この前の花のお返しよ。クッキー。
 か、勘違いしないでよね、別にそーゆーの、ないから。ギリってやつ。ギリ」
「ふうん・・・・・・」
 
 そっけないそぶりを返して、チューゴはその袋を摘み上げた。
 何コイツ。もうちょっと嬉しそうな反応見せるじゃない普段なら。
 あたしがそう思ってると、おもむろにチューゴが口を開いた。
「・・・・・・これっぽっちじゃ物足りないアル。他になんか・・・ん?もっといいものあるじゃないか」
「は?あんたにやるのなんてそれだけよ。どこにそんなものあるのさ」
「いや、だから、ここにさ」
 そういうとチューゴは、あたしの手を急に引っ張る。
「きゃ!」
 バランスを崩すあたしの顔に何かが近づいた。そして、

 唇にやわらかい感触。

「〜〜〜〜〜〜〜〜zzつskjるkちbflkっっ!!」
 あわてて身を離すと、チューゴは笑みを浮かべてこう言った。
「お前のお返し、確かに頂いたアルよ」

 ボッと顔に血が一気に上ってくる。火がついたように熱くなる。
 よりによって、あたしの、ふぁーすときす、とりやがったこの野郎!
「な、なにすんのよチューゴォォ!」
 右手でそのにやけた横っ面を引っ叩こうとすると、
      ガシッ
 それを左手で受け止めてさらにあたしを右手で引き寄せrhjちうskじょいffひs!!

「うわチューゴ!タイワンちゃんにキスしたうえに抱きしめてやがる!」
「だ、だいた〜ん!」
「あんな積極的な方だなんて・・・・・・」
「や、やるじゃないか・・・」
 辺りの皆はもう、蜂の巣をつついたような騒ぎだ。

「は、離しなさいよチカン!ヘンタイ!バカチューゴ!」
 あたしはチューゴの腕の中でもがくけど、ヤツはあたしを抱きしめて放さない。
 そして耳元でこう囁いた。

「・・・・・・・・・勘違いするなは俺のセリフだ」
「は?」
「お前は俺のものだ。どこにも行かせないからな」
「な、なに好き勝手・・・」
「もう加減はしない。俺は本気だぞ」

 きーんこーんかーんこーん

 授業開始の予鈴がなると、チューゴは私を放した。
「授業始まるアルよ。席につけアル」
 
「はーいみなさん。今日も一日勉強頑張りましょう。って、何この騒がしさ。
 授業始まるんだから静かにしなさい!!」
 フラメンコ先生が一喝しても、なかなかざわめきは収まらなかった。
「タ、タイワンちゃん・・・はは、チューゴ君もダイタンだねぇ・・・」
「ごめんニホンちゃん、ちょっと話しかけないでくれるかな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」
 授業になんか集中できるわけない。さっきのことがずっと頭の中をリフレインしてる。

 突然奪われたあたしの初めて。
 抱きしめられた時の力。
 そして、あのセリフ。
    ――お前は俺のものだ。どこにも行かせないからな――


「何よあの野郎、普通に話せるんじゃない!」
 そう一人言ちて私は、握ってた鉛筆をへし折った。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っっ!!ムカつく!!

解説 シェロ 投稿日: 05/03/15 04:18:35 ID:ve3U36oL
ホワイトデーにこんなことしやがるなんて粋な野郎だねチューゴ君は↓

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050315-00000008-san-int
3月14日台湾独立阻止に「非平和的方式を取る」と明記した「反国家分裂方」が全国人民代表大会にて採択される

そりゃムカつくよねタイワンちゃん↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050314-00000151-reu-int
台湾の行政院の広報担当者は記者団に、「反国家分裂法は、戦争を許可するものだ」とし、
「これは、台湾に怒りをもたらし、国際社会でも反対が起きている。
 中国は、この法律に対して、責任を持ち、代償を払わなければならない」と語った。 

No93氏のあぷろだ「情人節」を伏線として使ったのは無断以外の何でもありませんイムニダ。
キスシーンとかNo93氏が書き出してくれることを期待しているなんて口が裂けてもいえませんハムニダ。


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