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第2292話 ab-pro 投稿日: 2005/07/08(金) 00:00:34 ID:FBuLRZzX
 「ニホンは反省するアル!!」
 「「反省するアル!!!!」」

 チュウゴ家の広大な屋敷の一角。
 チュウゴ君は家の従業員達を率いて、来月のイベントの練習に余念がありません。
 「そこ、声が小さいアル!
 そんな事ではアジア町の宗主様の地位を確保する事は出来ないアルネ!」
 次、投擲訓練。配った生卵を、的のニホン人形に投げつけるアルヨ!」
 そう言って、鬼娘に模したニホンちゃん人形をキリッと睨みつけながら、チュウ
ゴ君は京劇に出てくる軍勢を率いた将軍の様に、従業員達の前に仁王立ちになりま
す。
 「投げるアル!!」
 その掛け声に、一斉に弧を描いて鬼娘人形とその周りに着弾する生卵。
 しかし!
 一つだけコントロールを大きく外れた生卵が、事もあろうにチュウゴ君の後頭部
に命中してしまいました!!

 「・・・・」
 物凄い冷たい目で、ゆっくりと後ろを振り返るチュウゴ君の前に、完全に色を失
った一人の従業員が土下座せんばかりに額ずきます。
 「・・申し訳ないアル、ご主人様。赦して欲しいアル。愛国無罪・・」
 必死に、それこそ死にものぐるいに謝罪する従業員に、チュウゴ君は頭を拭きな
がらも渋々許しを与えます。
 「・・まあ、良いアル。次は的に当てるアルよ。
 次、投げるアル!!」
 またもや一斉に弧を描く生卵。
 しかし、今度はどういう訳か五個もの卵がチュウゴ君に襲いかかります!

 「・・・・」
 「「愛国無罪アル!!」」
 見かけ上、頭を下げながらも、更に卵を握りしめる従業員達が、危険な色を帯び
た眼差しでチュウゴ君を見つめていました。
 そして、その意図を察したのか、他の従業員達の中にも卵を握りしめながら、愛
国無罪を叫び始める者が出始めます。
 「・・お前達、やる気アルネ」
 肩を怒らせながら、卵まみれになったチュウゴ君が指を鳴らすと、どこからとも
なく現れた、人民服を着たボディーガード達がチュウゴ君の周りに人の壁を作りま
す。
 「お前等、赦さないアル!!」
 そう叫んで、チュウゴ君はボディーガードの差し出した生卵が一杯の籠に手を伸
ばし・・・

 「どうしたの、城元お姉さん?」
 遊びに出ていたニホンちゃんが家に帰り着くと、城元お姉さんが何故か屋根の上
で大笑いしているではありませんか。
 「ハハハァ・・・
 いやぁ、ストレス発散の方法には色々あるんだなぁ、と思って^^
 ・・でも、ニホンちゃん。ニホンちゃんはあんな真似、しちゃダメよ。
 ・・・あら、また命中^^」
 その言葉の意味も分からず首を傾げるニホンちゃんをよそに、笑い続ける城元お
姉さん。
 屋根の上からチュウゴ君の家を眺めている城元お姉さんの視界の中では、入り乱
れてお互いに生卵をぶつけ合う、どこか楽しげにも見えるチュウゴ君とその一党の
姿が映し出されていましたとさ。
                                  end

解説 ab-pro 投稿日: 2005/07/08(金) 00:01:47 ID:FBuLRZzX
 8月15日のイベントに向けて邁進するチュウゴ君と、彼の家で頻発する暴動から。
 8月15日に大々的な反日イベントを計画中のチュウゴ君ですが、国内の不満を
反日で反らすのもそろそろ限界を感じさせる、地方での住民暴動。
 ガス抜きのはずが、抜こうとしたガスが爆発するか、ある意味来月が楽しみなの
で、その期待も込めて^^;
 官製デモが、いつ反政府デモになってもおかしくないという、作品でした^^

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