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第1走者 有閑工房 ◆aKOSQONw 投稿日: 2004/07/24(土) 18:32
『序章 釣り上げる者たちへw』

 日差しが、責め立てる。暑さに立ち向かう気力を萎えさせるには充分だ。
 俺は早々に宿題を投げ出すと、釣竿とバケツを抱えて表に飛び出した。
 少しは過ごしやすい午前中の時間をたまの登校日で潰してしまい、はっきり言ってやる気
はゼロだ。昨日の晩に作っていた釣の新しい仕掛けと麦藁帽子。これさえあれば暑さなんか
すっ飛ぶ気がした。
 散歩をおねだりするイーグルをお供にして、俺は太平池に向かった。
 数多のポイントを持つこの池は、とっておきの場所を探すのにもってこいだ。
 イーグルの鎖を解き、フライを取り付ける。その作業が蝉時雨やだるい暑さを少しはマシにする。
 目標を見定め、思い切り竿をしならせる。疾走するフライは空気を何度も切り裂いた。
 その音を心地よく聞きながら、俺は渾身の力を込めてポイントへ投げ込む。

「ァィゴォーーーーー!」

「!!」
 右斜め後3メートルから聞き慣れた絶叫がする。忘れるはずがない、忘れるべくもない、
あの、絶叫・・・!誰も・・・逃すことのない・・・・・・叫び!・・・・・・・・・

 まあそれはいいとして、俺は闖入者への侮蔑と共にゆっくりと振り返った。
 そこにはヒュンダイマークの入った1号の封筒を抱えたカンコがいた。
「な、何するニダ!罪のないウリにあんまりな仕打ちニダ!」
「いや、別に悪意はないんだが…つか、何でお前ここにいるんだよ?」
「ウ…ウリにも色々とあるニダ!」
「あーあ、ライン切れちゃったじゃねえか…」
「しょんなことよりウヨはウリのベイビーフェイスをきじゅちゅけた事に対するしゃ(ry」

つづく
   *
 釣りは魚との戦いではなく自分との戦いだ。それは魚との知恵比べ以上に自分の集中力や勘を
研ぎ澄ます事が…
「ファビョーーーン!モノローグに入ってウリを無視するんじゃないニダ!」
「なんで人の考えている事がわかる?」
「そんなのはウリの朝のキムチご飯前ニダ!」
「言ってる意味はよくわからんが、とにかく凄い自信だな…。で?お前何してるんだ?」
「ハッ!ウヨが年下で格下ということに免じて教えてやるニダ、ウリはついうっかり偶然忘れた
一学期の宿題を先生に届に行く所ニダ!たまには先生の言う事聞いてご機嫌取りするのが児童の
たしなみニダ。しょれで明日までに持ってけばいい宿題をナントウリは今日持っていこうとして
いるニダ!先読みのカンコの異名は伊達じゃないニダ!ウリナラマンセーーー!!」
「いや、伊達だろ。そもそもその宿題、休み前に終わらせるもんじゃねえの?」
 その後カンコの口上が暫く続いた。
 そうこうしているうちにイーグルが井田アルか農場のネズミを銜えてやって来た。どうも釣りの
餌に使えということらしい。いやな、イーグル…フライでは本物のデコイは使わないんだよ。何べん
言ってもその辺理解しないなこいつは……
 しばらくイーグルと遊んでいたら、無視されたカンコは顔が嫌な赤い汁の色になった。いつもの事
だと無視していたら、いきり立って足音も荒々しく目的地へ向かい始めた。
 まあ、イーグルの尻尾踏まなきゃもっと楽に着いただろう。

 過ぎ去ってゆくカンコの絶叫とイーグルの喚声を聞きながら、俺はまた仕掛けを投げ込んだ。

と、いうわけでリレー小説スタートです!、さあて、皆さんならどこに食いつきますか?

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