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第7走者
北極星
投稿日: 2004/07/24(土) 21:02
「夏のニホンちゃん祭り『となりのニホンちゃん』第7走者」
「はぁ……はぁ……は。あのバカ犬、もうついてこないニダか?」
草原に膝をつき、カンコ君は呻きました。
イーグルはさすがに追跡を諦めたようで、膝丈の草に覆われた大草原にカンコ君は
一人ぼっちでした。
「ここはどこニダか?」
どうやらアメリカのようですが、彼には土地勘がないのです。左右前後どちらに
進めばよいのか判りかねました。
「まあいいニダ。適当に歩けば誰かに会うニダし、それに大西池横断の定期船に
乗せてもらえばいきなりユーロ街にひとっ飛びニダ。ニダハハハハ……。楽チンで
フラメンコ先生に宿題を届けられるニダ!」
手には封筒。死に物狂いで泳いでいる間も手離さなかったのです。
「アリラリラン、アリラリラン、アリラリラン――♪」
ご機嫌でカンコ君は草原を行進しました。気分屋の彼にとって、目まぐるしい転変は
それほどこたえることではありません。まるきりピクニック気分でした。
しかし――。
「ニダ?」
彼は異変に気づきました。
草原の緑はしだいに少なくなり、周囲は岩だらけの荒地になりつつあるのです。
サボテンの根元で茶褐色のトカゲがじっとしています。
空を白黒の巨大な鳥が横切っていきました。
「ひょっとして、あれがコンドルニダか?」
悪い予感が猛烈にします。引き返せ、と本能が警鐘を鳴らしました。
「ニダ……」
カンコ君は背後を振り返りました。
果てしない地平線が天地のかぎり広がっています。
ここまで来たのに引き返すニダか――。
「ええい、きっと人間のいるところに出るニダッ! もうすぐハセヨ!」
頭をつよく振って迷いを断ちきると、カンコ君は荒地へ突進したのでした。
………………………………。
「アイ……ゴ〜〜〜…………」
力なくカンコ君はつぶやきました。
周囲は見渡すかぎり赤褐色の荒地。岩とサボテン、暴力的に脳天を乱打する太陽。
アメリカの地理に無知な彼は、メキシコ砂漠に迷い込んでいたのでした。
どうっ。
ついにカンコ君は倒れました。
(次の走者に続く)
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