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第43話 更科うどん ◆w/NGE69M 投稿日: 2005/02/05(土) 13:30
   『ゲージュツはファビョンニダ!』


「・・・・カンコ」
「ムグムグムグ・・・・」
「カンコ!」
「ムグムグ・・・・ムグッ? アボジ何ニダか」
「テレビを見ながら飯を喰うのはやめるニダ」
「でもテコンVが・・・」
「テコンVはどうでもいいニダ。
 家 長 で あ る ウ リ が 話してるところニダ!」

 そう言ってカンコアボジは、不満げに鼻を鳴らします。
カンコ家はただいま晩ご飯中。アメリーパパからもらったブテチゲをつつきながら、
ニッテイの暴虐とウリミンジョクの優秀性について語り合い、
楽しい一家団欒のひと時を過ごすはずが、これはよろしくありませんね。

 カンコ君は気もそぞろ、ご飯をかきこみながら
まだテレビをちらちら見ています。ニッテイの暴虐ぶりには大いに興味ありですが、
でもテコンVも気になっちゃう。男の子だもん。
 カンコアボジは気を取り直し、胸が震えるような誇らしいお話の続きにとりかかります。
なかなかうまいもんですが、食事時に同じ話を半万回繰り返し語るのは止めていただきたい。

「・・・・それで、野蛮で愚かなニッテイは、貴族的で聡明なウリナラを乗っ取ってしまったニダ。
 ニッテイはウリ達にチョッパリ風の勝手なあだ名をつけてハズカシめたニダ。
 タカギとか、トヨダとか、イイジマとか」
「そこニダ! 光子力ビ―――ムッ!」
「光子力ビームとか・・・カンコ、静かに汁。
 そのくせ、卑怯なニッテイはウリ達の潜在能力を恐れるあまり、
 地脈に鉄杭を打ち込んで、ウリミンジョクの精気を奪う工作までしたニダ。
 でもウリ達は世界優秀ミンジョクなので、そんな事ではへこたれなかったニダ。
 それを見たニッテイの奴は、更にウリ達の食べるご飯を取り上げたニダ」
「チェゴ! テコンV!」
「ニッテイの奴は困るウリ達にひどい事を言ったニダ。『チェゴ! テコンV!』
 ・・・って違うニダ! だから、テコンVはどうでもいいニダ!
 カンコ、テコンVと 家 長 で あ る ウ リ の話とどっちが大事ニダ?」
 カンコ君は上目づかいで、ためらいがちに答えます。
「・・・・うぅ・・・・今は・・・・テコンVニダ」


      「ファッファビョ――――――――――――――――ン!!!」


 なんという屈辱。カンコアボジのガラスの自尊心を粉々に打ち砕く、まさに妄言です。
 カンコアボジは満面にキムチを注いだような表情でテーブルを殴りつけ、火病に任せて
ついにパパ最終兵器『理不尽きわまりない大人の主張』を繰り出しました。

「ええい、うちは今日からテレビ禁止! おまいらテレビばっか見とるとアフォになるニダ!」
 カンコアボジはそう言い捨てておもむろに立ち上がり、呆気にとられる家族をよそに
居間のテレビをえいやと担ぎ上げ、ベランダまでずるずる引きずっていきます。

 そして、

「こんなもの! こんなものー!」

                      ぽーい                      ガシャーン>
「アッアァァイゴォォォォオオオオオッッ!!!」
 この世の終わり、といった表情でへたりこむカンコ君。
しかし、さらにカンコアボジはそのまま居間をつっ切り廊下に飛び出し、
足音も荒く家中を探索しはじめました。
 何をする気か悟ったカンコ君、真っ青になります。
  さ  あ  盛  り  上  が  っ  て  ま  い  り  ま  し  た  。

「アイゴー!! アボジやめるニダ、やめるニダー!!」
 弱々しくいやいやをするカンコ君にかまわず、カンコアボジは
家中のテレビを探し出しては、次から次へと庭へ放り投げていきます。

                      ぽーい                      ガシャーン>

                      ぽーい                      ガシャーン>

                       ・
                       ・
                       ・
 今宵のカンコアボジはちょっぴり激しめ、カンコ家が騒がしいのには
すでに慣れっこになってしまったご近所さんたちも、テレビが壊れるすさまじい物音に
何事かと外に出て集まってきました。

 集まった人々の目に飛び込んできたのは、カンコ家の殺風景な庭に積み上がった
かつてテレビだったものの残骸の山でした。哀れなガラクタと化した
サムソン製のテレビたちは(そこの貴方、「もとからやん」とか言っちゃダメです)、
それでも一応ノイズ交じりのテコンV画像を途切れ途切れに流しています。

 ざわめく人々。突き刺さる視線を痛いほど感じて、
さすがのカンコアボジも大人しくなり、居心地悪そうにしています。

 その時です!


         ・・・・おおおおおーっ!!!


 嘆声、そして万雷の拍手。集まった人々はそれぞれ、
感に堪えないといった様子でため息をついては顔を見合わせ
うなずきあっています。
「? ニダ???」
 状況が分からないカンコアボジ。
なぜか皆がモーレツに感動していることは確かなようです。
 とりあえずぎこちなく手を上げると、更に大きな拍手が沸き起こりました。
「カムサハムニダ! カムサハムニダ!」
 なんとなくご機嫌になったカンコアボジ、盛大な拍手に包まれて
両手をふりふり意気揚々と家の中に戻っていきます。

「ウ、ウリのテレビが、テコンVが・・・・」
「テレビ全部壊して・・・・。
 ど う す る つ も り ニ カ ? 」

 泣き崩れるカンコ君と、般若のごとき形相でたたずむ
カンコオモニが待っているとも知らずに。


                                         おしまい

解説 更科うどん ◆w/NGE69M 投稿日: 2005/02/05(土) 13:37
ナム・ジュン・パイク
ttp://www.ycs-ap.com/exhibition_case/2003/paik/paik.html

実際の制作風景がこうなのかは知りませんが(w

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
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       ____ ((、´゛))   . |
     |          |||||||  ̄|  |
     |    ∧_∧ ∧_∧コンナモノ!
    アボジ!!/,ノノ人)<#`Д´>つ ミミ
   ヤメテ!ノハ`Д´>⊃  ノ  | |ミミ
 ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  .____
                     |  ||' ̄ ̄ ̄||
                     |  ||___,|| ピュ‐
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                     | 

いや、凄い人なんですよ?
かの国には珍しい、世界に誇れる本物の「オリジナル」ですよ?

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