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第7話 書き人知らず ◆PWTa2EFE 投稿日: 2004/08/01(日) 21:42
 〜 WE WILL ROCK YOU (その1)〜

最近ニホン家の庭先には変わった犬がやってくるようになりました。 とはいっても何をするわけでもなく、ただうろうろ
しています。
「あ、あの犬また来た。」
「野良犬? かわいそうにねぇ。」 おっとりニホンちゃんは、やさしくそう言うのですが、ウヨ君は首を振りました。
「首輪はしてたぜ。 野良犬じゃあないと思うな。」

次の日、ニホンちゃんが庭先で洗濯物を干していると、またあの犬がやってきました。 青い空に浮かぶ白い雲・・・
ではなく、青い空に翻る洗濯物を見ているようでした。
「洗濯物が好きなの? 変わった犬ねぇ。」
とはいえ、害を与えそうでもないので、ニホンちゃんは追い払うようなことはしませんでした。

「姉さん、あの犬変だよ?」 冷たい麦茶を二口で飲み干し、ウヨ君が言います。
「変ってなにが?」 <がんばる夏の算数ドリル>をがんばっていたニホンちゃんは、不思議そうに、聞き返しました。
「・・・洗濯物が好きな犬なんて、いるわけない。 きっとなにかある。」
「ふうん、武士は今年の読書感想文、推理ものにするといいんじゃない?」 ニホンちゃんはくすくす笑うだけでした。
「姉さん、オレはマジでおかしいと思ってるんだぜ。 バカにするなよな。」
「ふつうの犬よ。 そんなことより、宿題しなさい。 夏休みの終わりになってあわてても、手伝ってあげないよ。」

またある日。 もう何回目かわからないくらい、あの犬はやってきました。 いつものように歩き回り、いつものように
洗濯物を見上げたあと、いつものようにどこかへ行くかのように見えたのですが、この日は違いました。
夏の南風のいたずらでしょうか、白い靴下が芝生の上に落ちていました。 ちょっと短めで、ひよこのワンポイントと
つつましいフリルがついている靴下は、持ち主が少女であると断定してもいいでしょう。 犬はなにげなく近寄り、すばやく
くわえると、あっという間に駆け出していきました。
 〜 WE WILL ROCK YOU (その2) 〜

「姉さん、絶対あの犬変だって。 どこの世界に靴下好きな犬がいるんだよ。 もう3足だろ?」<勝負! 漢字100問>と
勝負していたウヨ君が手を止めて言いました。
「この世界にはいた、ってことよね。 まあ靴下くらいならいいわ。 それより手がお留守よ。 今は犬じゃなくて漢字。
これくらいさっさとやりなさい。」 ニホンちゃん案外スパルタです。
「なんで夏休みなのに勉強しなくちゃいけないんだよぉ。 休みくらい休ませてくれよなぁ。」
「それはあんたが子供だから勉強しなくちゃいけないわけで、休みといっても学校がないだけよ。 パパもママも家でも
仕事してるわよ。」
「・・・姉さんだって子供じゃないか・・・」
ニホンちゃんは迷わずハリセンをウヨ君の後頭部に叩きつけ、乾いた音が部屋中に響きわたりました。

「あっ、この犬! また靴下を持っていくのか!」 さすがに何度もやると、失敗もします。 変な犬は、靴下をくわえて
いく現場を、ウヨ君に見つかってしまいました。
「待てバカ犬、靴下返せ!」 というわけで、ウヨ君は犬を追いかけていくことにしました。
追われていると知った犬も必死に逃げますが、ここはウヨ君の執念がまさりました。 というより、バカ正直に待ち人の
ところへ帰ってしまったのです。
「お、今日も獲物をとってきたアルか。 お前はなかなか使える犬アル。」 靴下を手に取り、ご満悦のチューゴ君が
そこにはいました。 「あの<尖閣ぱんつ>もいつかは朕のもの・・・。」


解説 書き人知らず ◆PWTa2EFE 投稿日: 2004/08/01(日) 21:45
リレーも終わったことだし、SS書きに精を出そうキャンペーン中です。(意味不明)

今回のネタ元ですけど・・・出さなくてもけんめーな読者には分かると思うので
出さないことにします。 つうかありすぎ(怒

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