連続ドラマ小説「ニホンちゃん」24クール・「ニホンちゃんのチュウゴ君講座「水」」　作：ab-pro

戻る

ab-pro 投稿日： 05/01/02 03:57:23 ID:DMY+Q9z4: 　　　　ニホンちゃんのチュウゴ君講座　（作品にあらず）
　　　　　　　　　　　　　　「水」

　　ニホンちゃんが、お父さんのお手伝いで、庭先で車の水洗いです。
　　と、その時！
チュウゴ君　「ニ、ニホンちゃんは罰当たりアル！！そんな悪事を働く
　なんて、人民は絶対許さないアル！！」
ニホンちゃん「え！え？え！？」
　　突然、道を通りかかった怒りマックスのチュウゴ君の告発に、何がな
　んだか分からない　ニホンちゃん。
チュウゴ君　「チュウゴ家は、チュウゴ家は・・・」
　　と、今度は突然チュウゴ君は涙をいっぱいに溜めて、家の方に駆けだ
　していきました。
ニホンちゃん「・・ええと、いったい何だったんだろう！？」
城元　「事情は私が説明しましょう」
ニホンちゃん「ワぁ！　・・城元お姉さん！！」
城元　「驚かないのニホンちゃん。私はどこにでも目を光らせているんだ
　から＾＾」
ニホンちゃん「・・今までどこに城元お姉さんはいたのかしら？」
城元　「それはね、ニホンちゃん。世の中には知らない方が幸せなことが
　いっぱいあるのよ＾＾」
ニホンちゃん「・・・はい。（目が笑ってないよ＞＜）」
城元　「それはともかく。
　　今、チュウゴ君が怒っていたのは、ニホンちゃんが車を洗っていたせ
　いね」
ニホンちゃん「え？なんで車を洗うとチュウゴ君が怒るの？」
城元　「それはね。チュウゴ君の家は今、大変な水不足だすらなの」
ニホンちゃん「水不足？」
城元　「そうなの。チュウゴ君の家の番頭さんが試算したところ、水不足
　が原因で、２８０億ドルの損害が出ていて、今後も損害がさらに増え続
けるということなの。だから、チュウゴ君はきっと水に関してはナーバス
になっているのね」
ニホンちゃん「・・・でも、水不足でそんなに被害があるの？」
城元　「そうね。日ノ本家では想像できないことかもね。
　　チュウゴ君の家は大変広いけど、そのうちの４０％で砂漠で、しかも
　砂漠化が進行しているの。
　　それにチュウゴ君の家の従業員は２０３０年には１６億人には達する
　と予想されているのに、水不足で食料生産量はどんどん下がっているの」
ニホンちゃん「でも、最近はチュウゴ君の家も景気が良いんでしょう？足
　りない物は買えるんでしょう？」
城元　「・・・ニホンちゃん。チュウゴ君の家の従業員が予想通りに増え
　続けたら、後２５年で２億トンの穀物が必要なの。それなのに０３年の
　チュウゴ家の穀物総生産高は前年より０．７億トンの減産。
　　この数値はカナディアン君の家の一年間の穀物生産量に匹敵するの」
ニホンちゃん「えぇ！！」
城元　「０４年はチュウゴ家も不足分の小麦５００万トンを輸入したけど
　それだけで小麦の国際市場はかなり値上がりしたわね」
ニホンちゃん「大変！早くママに教えて小麦を買い占めないと！！」
城元　「大丈夫、もう買い占めているから。小麦だけでなく、石油とか鉄
　鉱石とかいろいろと・・・」
ニホンちゃん「なんだ、良かった＾＾」
城元　「この小麦の収穫量の減少は、主にチュウゴ家北部地帯で水量の減
　少が原因なの」
ニホンちゃん「確か大きなお家の中心部（大陸内陸部）は、人間が何もし
　なくても自然に砂漠化していくって、ＴＶで見たことあるは。自然現象
　が原因ならならチュウゴ君、可哀想」
城元　「確かに北京の０４年の降水量は例年の７１％で、一見すると自然
　現象にも見えるけど、その原因はチュウゴ君の水の乱用なの。
　　最近のチュウゴ家の工業化による経済成長は著しいけど、それに伴う
　水の使用量は半端ではないの。
　　例えば北京の間は、この経済発展で１９７０年代から比べて、従業員
　の数は二倍、従業員が暮らす場所の面積は五倍になったの。その人たち
　や新しくできた工場が使う水の量はいったい何倍になったのでしょう？
　　北京の間用の貯水池である、郊外の密雲貯水池の満水量は約４４億立
　方メートルなのに、現在の水量は７億立方メートル。取水禁止量は６億
　立方メートルなのに。
　　それに、北部地域の地下水の水面は、乱用で年に一メートルずつ低下
　しているの」
ニホンちゃん「・・それは大変なことなんじゃない？」
城元　「そうなんだけど、問題はまだあるの。北京大学の・・・、あら、
　１字目の漢字が無いわね。○晋仁教授の話によると・・・」
ニホンちゃん「城元お姉さん、そんないい加減な＾＾；。それにいきなり
　個人名称を出すなんて・・・」
城元　「それはもちろん後の複線のためよ＾＾
　　それで、この教授は黄河研究専門家なのだけど、この人が色々と懸念
　しているわ。
　　１９７０年から何度も、黄河の流れが海に届かなかったことがあった
　って、ニホンちゃんは知っていた？」
ニホンちゃん「そんな。黄河って、世界で五番目に長い、大きな川だって
　学校で習ったのに！」
城元　「詳しくはhttp://www-cger.nies.go.jp/lugec/Survey99/Report99Survey.htm
　を見てね。
　　かいつまんで説明すると、やっぱり水の使い過ぎね。しかも優先的に
　工業用水に水を使うから、農作物に使える水はますます少なくなるし、
　いっぱい使った工業用水もろくに再処理しないし、もうダメダメね」
ニホンちゃん「・・・非道すぎる」
城元「この非道い状況が揚子江でも起きているの」
ニホンちゃん「・・・チュウゴ君は何も対策を考えていないの？」
城元　「一様考えているみたいよ。題して南北転換計画。
　一　山東の間で黄河と揚子江の間に１８００キロの運河を造る。
　二　水不足のチュウゴ家北部と揚子江の連結。
　三　チベットの間付近の高山を切り裂いて、黄河と揚子江の源流の連結」
ニホンちゃん「それで何とかなるの？」
城元　「たぶん無理ね。この水不足の最大の原因はチュウゴ家の水の使い
　過ぎだもの。
　　後は、チュウゴ君の家に源流があるメコン川とヌ川の上流にダムでも
　造って、自分の家に水を引き込む手があるけど、そんなことをすれば、
　タイラン君やベトナちゃん達も黙ってはいないでしょうね」
ニホンちゃん「そんな！だったら水の無駄使いを無くせばいいじゃない」
城元　「それも難しそうね。今やチュウゴ家の世情は剣呑な物があるの。
　ただでさえ数万人規模の従業員の暴動が頻発しているそうだし。
　　まあ、ここら辺のお話はチュウゴ家の景気のお話に直結してくるから、
　もし聞きたかったらまた別の機会にね」
ニホンちゃん「・・・・・」
城元　「そんなに暗い顔しないの、ニホンちゃん。
　　まあ、希望は限りなく小さいかもしれないけど、あることはあるのよ。
　　実はチュウゴ家の胡錦涛番頭さんは、もともと○晋仁教授と同じ学部
　に学んだ水力工学技士だし、温家宝番頭さんは甘粛省の地質学者の出身
　なの。
　　だからニホンちゃんも心配しないで、水は大切に使ってね」
ニホンちゃん「・・・はい！」

　　　　　　　　　　　「水」END
解説 ab-pro 投稿日： 05/01/02 03:59:50 ID:DMY+Q9z4: 　書き始めると、結構長かったです＾＾；
　メインのニュースソースは「Jane's Intelligence　Review」の四年十月
号あたり。後は参考として
砂漠化・砂嵐
http://www.pekinshuho.com/JP/2002-27/china27-1.htm
　それでは＾＾