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第1074話
チューゴくんの本(前編)
投稿日: 02/06/25 23:05 ID:EHk4Ix2n
「チューゴくん、今日寄ってもいい?」
学校の帰り道にニホンちゃんが元気に走り寄ってたずねていました。
「ああ、いいけど。また本か」
「うん!そう。迷惑かなぁ」
「そんなことは無いよ。おれんちの本を気にいってくれてうれしいよ」
「よかったぁ。あのねぇ、パパがね。また読みたいって言うから。
あたしも『三国志』は読んだけど面白かったよ。王平かっこいいよねェ」
「・・・・微妙な趣味だな」
「パパは『項羽と劉邦』がよかったって。あと『元朝秘話』がよかったって」
「・・・・2番目のはうちの本じゃねえ」
「そっ、そうだっけ。あはははは・・・・」
と、ここでチューゴくんの家に着きました
「あっ、あの、じゃあ本お願いね。借りたい本はチューゴくんのママに
電話で伝えてあるって」
「ああ」
チューゴくんは家の中に入っていきました。
(チューゴくん気を悪くしたのかな。なんか誉めること言った方がいいよね)
本を持ってきたチューゴくんにニホンちゃんは言いました。
「あの、この間『孫子の兵法書』借りたよね。
パパがね、あれはビジネスにも役に立つって」
「そうだろ!だからニホンちゃんのお父さんの仕事も上手くいってるんだよ」
「うん!でも持ち主のチューゴくんのパパはどうして
上手くいかないんだろうね」
そう言ってからニホンちゃんは口をふさぎました。
見るとチューゴくんのこめかみにはアオスジが浮いています。
「あっ、あのその、ありがとね!」
ニホンちゃんは走って逃げ出しました。
今日のニホンちゃんは一言多かったようです。
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