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第1124話 KAMON ◆wzJSYC0I 投稿日: 02/07/21 17:12 ID:zF4wT5cI
「オージー君とニホンちゃんの出会い」

少し昔のお話をしましょう。
オージー君が、ニホンちゃんを知る前の話です。

地球町の南のはずれで大農場を経営しているオージー家。
オージー君もキャンベラちゃんも、牛や羊の世話で大忙し。

ある日のことでした。キャンベラちゃんがトラクターのメンテナンスをしていると、「メルボルンの門」の方に牛車が泊まっていました。
慌てて顔を上げ、門の方に行くと、牛車から黒髪の少女が降りてきました。
「あの・・・どちら様ダスか?」
「はい・・・私は・・・あの・・・ええと・・・」
少女は、うつむいたまま曖昧な返事しかしません。
するとそこへ、来客の知らせを聞いたオージー君がやってきました。
「どうしたダスかキャンベラ」
「この子、名前を聞いてるのにうつむいちゃってちゃんと答えてくれないんダス」
オージー君は顔をのぞき込み、合点しました。
「ああ、この子は、最近隣のクラスに転校してきたアジア町の子ダス。確か名前が・・・。」

「えっと・・・ニホン。 日ノ本さくらです。」
黒髪の少女は答えました。
「そうそう。で、ニホンちゃんがこんなところになんのようダスか?」
「ええ・・・はい・・・ええとその・・・」
「何なんダスか、はっきりしないなあ・・・」

「何やってるんだよ姉さん、早く言わないと日が暮れちゃうじゃないか」
突然、牛車の窓から同じく黒髪の少年が顔を出しました。
「ああ、うちの姉がすいません。僕はウヨ、日ノ本武士というものでして、今回おじゃましたのは・・・」
ウヨ君が牛車から飛び降り、流暢に話していますと、
「あの・・・」
ウヨ君の言葉を遮って、ニホンちゃんが話し始めました。
「私・・・最近・・・転校していたばかりで・・・うまくしゃべれないんですけど・・・
早く・・・ほかの家の人と・・・友達になりたくて・・・近所の家を・・・挨拶して回ってるんですけど・・・
今日は・・・挨拶がてら・・・私たちの芸を見てもらいたくて・・・来ました。」

あまりの口下手ぶりに呆れていた2人でしたが、それでも大事なお客さんです。
「そうダスか。それは遠いところをわざわざありがとうダス。
我が家はこんなだから娯楽がなくて・・・さあさあ上がるダス。」
「はい・・・ありがとうございます・・・」
応接室で、それぞれの家の家訓や仕来り、流行や好みなど話し合っているうちに、夕食時になりました。
「じゃあ、私たちの芸をご披露しますね。」
そういうとニホンちゃんは、席を立って大きな番傘を広げました。
隣でウヨ君が、紙風船やら一升升やらを準備しています。
「取りいだしましたる一升升、うまく回りましたら一生益々福が来る、はい、
回った回った・・・おめでとうございまーす!」
先ほどとはうってかわって活発に喋ってその場を盛り上げるニホンちゃん。
両親は大喜び、オージー兄弟も大満足。

「いやあ面白かったダス。来たときとは別人みたいだったダス。」
「いやぁそれほどでも・・・」
「また来るダスよ。」
「機会があったら・・・」
短い挨拶を交わし、ニホンちゃんを乗せた牛車はオージー邸をあとにしました。

解説 KAMON ◆wzJSYC0I 投稿日: 02/07/21 17:24 ID:zF4wT5cI
どうも毎度。KAMONです。
今回のネタは、高校生クイズの第1問から。

日本人で初めてオーストラリアに上陸したのは、
12人の曲芸師。
メルボルンを興行して回って、大好評を博して帰国したとか。

くだらぬ荒しが来ているようですが、
良作うpで埋めてしまいませう!

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