戻る <<戻る | 進む>>
第1183話 KAMON ◆wzJSYC0I 投稿日: 02/08/18 02:04 ID:yBEwmstl
「カンコ君の早退」

「フラメンコ先生・・・。」
ある日の昼休み、カンコ君がうつむき加減で職員室に入ってきました。
「どうしたのカンコ君、いつものあなたらしくないわね。」

「それが、今、ハルモニから手紙が来て、ハルモニの容態が一刻を争う事態なのですぐ帰ってくるようにと・・・。」
カンコ君はハルモニから来た手紙をフラメンコ先生に見せましたが、
ミミズの這ったようなハングル文字で書いてあるのでフラメンコ先生にはサッパリ読めません。
「・・・まあ、それは大変ねえ。」
「というわけで、早退していいニカ?」
「ええ、いいわよ。急いで帰っておばあちゃんに顔を見せておいで。」
「カムサハムニダ。」
カンコ君は、急いで職員室を飛び出していきました。
「カンコ君のおばあちゃん、この間までニホンちゃんちの前で一緒に大騒ぎしてたのに。人の死って分からないものねえ・・・。」

フラメンコ先生が次の授業のために職員室を出て教室へ向かうと、途中、チョゴリちゃんとすれ違いました。
「あらチョゴリちゃん、おばあちゃんが危ないんだって? 帰らなくていいの?」
すると、チョゴリちゃん首を傾げて、
「え? ハルモニが? 知らないニダ。」
「え? だってさっきカンコ君がこの手紙を・・・。」
「手紙? ちょっと見せるハセヨ。」
チョゴリちゃんが手紙を受け取って読んでみると・・・。
「えー・・・前略、カンコ殿。
元気にしてるニダか? キムチは足りているニカ?
ハルモニは、未来永劫ニッテイの末裔から謝罪と賠償を要求するため、早寝早起き、乾布摩擦、青汁一気飲み、ラジオ体操、ジョギング、テニス、スパーリングなど、あらゆる健康法を実践して体を鍛えているので、心配ないニダ。
ウリのことは気にせず、存分に学業に励み、立派な両班になってニホンから賠償をがっぽりふんだくるニダ。草々。」

チョゴリちゃんが読み終えると、フラメンコ先生の黒いウェービーヘアは、逆立って金色に輝き、
その体からは、激しいオーラが放出されています。
「つまり・・・おばあちゃんは元気なのね・・・」
「そうみたいニダ・・・」
「あの子・・・よりにもよって自分のおばあちゃんを・・・」

そのころ、まんまと学校を抜け出したカンコ君は、近くのゲーセンでUFOキャッチャーをしていました。
「そこニダ、もう少しでキムチモンがとれるニダ!」
ぐわっしゃあああああん!
その時、ガラス張りの自動ドアが、粉々に砕け散りました。割れ目からは熟れたトマトのように真っ赤なハイヒールと、ボーリングのピンを思わせる見事なプロポーションの脚がにょきっと。
「か〜ん〜こ〜は〜 こ〜こ〜か〜」

が、その美脚の持ち主は、山姥のような声を上げ、奇怪なオーラを放ちながらカンコ君を捜し求めます。その度に、謎のオーラは格ゲーの筐体を空のボール箱のように吹き飛ばし、真っ昼間から煙草を吸って暴れている珍走団を子犬のようにおとなしくさせてしまいます。

ついに、UFOキャッチャーの筐体で震えているカンコ君を発見。
「か〜ん〜こ〜、 か〜く〜ご〜は〜い〜い〜か〜」
「あ、あ、あ・・・」カンコ君は腰が抜けながらも、這って逃げようとします。が、焼け石に水。
「必殺、ピサロパイルドライバアアアアアアアアア!」

その後、カンコ君は、散々ボテくり回されたあげく、みっちり補習授業を受けさせられるハメになりました。
「ほらっ! 微分方程式あと100問! ウリナラの技術ならそれぐらい楽勝でしょ!」
「アイゴーーーーーーーーー・・・」

なんとか補習を終えたカンコ君が、家路につこうとしたその時。
オモニ、アボジ、ハルモニの3人が、ものすごい形相で目の前に立っていました。
「カンコ、学校をサボったばかりか・・・」
「よりによってウリを殺すとは・・・」
「覚悟はイイ(・∀・)!ニカ・・・」

めでたし めでたし。

解説 KAMON ◆wzJSYC0I 投稿日: 02/08/18 02:14 ID:yBEwmstl
KAMONです。
今回の元ネタは、ないと思ってくださいって結構です。
が、祖父の学生時代の話を元に作ってあります。
祖父のクラスメートで、この方法で本国に帰る許可を取り付けて学校サボってた朝鮮人がいたとか。

この作品の評価を投票この作品の評価   結果   その他の結果 Petit Poll SE ダウンロード
  コメント: