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第1426話
DEROSを迎えられなかった人々
投稿日: 03/03/01 15:13 ID:VpP5+Kd7
やあ、よく来たね、お嬢ちゃん。でも、ここは君の来るところじゃないんだ。…
そうか、じゃあ、おじさんがひとつお話をしてあげよう。それを聞いたら帰るんだ、いいね?
何の話かって?それは、
「DEROSを迎えられなかったおじさんたちの話さ…」
僕が海兵隊に入ったのは、真珠湾の1年後のことだった。真珠湾というのは、君のおじいさんの部下や愛犬
たちがアメリー君の家を襲った事件のことさ。
もう滅茶苦茶だったよ。なにせ、ヨーロッパでも大騒ぎだったのに、兵隊さんたちをニホン家のほうにも回
さなくちゃいけなくてね。隊の上のほうでは命令がごちゃごちゃさ。
ヨーロッパ戦線に回るはずだった大隊に、突然オーストラリアへの展開命令が出たりしたものさ。
教官たちは四六時中怒鳴り散らしてるしね。
で、彼は2ヶ月で新兵の教育プログラムを修了して、翌年の5月にA大隊、エーブルに配属されたんだ。
彼はたくさんの戦いに参加したよ。マーシャル諸島、サイパン、マリアナ諸島、海兵隊が実施した作戦で、
彼の参加しない作戦は無かったね。彼は、イオージマにも上陸したんだ。
彼がサイパンに上陸したとき、あの時は凄かったね。島全体が火を噴いているような感じだったよ。
周りの奴は次々に倒れていった。日本のスナイパーはこっちを完全に捉えていた。
舟艇から飛び降りて、浅瀬を走ってるときに、僕は足を撃たれて倒れた。
倒れている彼を、近くを走っていた二人の兵士が運んでくれた。一人は南部訛りの白人で、もう一人は黒
人だった。
彼が救護所にいるときに、そのうちの白人が撃たれて運ばれてきた。即死だったんで、そのままシーツを
掛けられたそうだよ。
彼がイオージマに上陸したとき、彼の小隊は、飛行場の近くで日本の機関銃陣地に遭遇した。
彼らは機関銃を撃ちまくり、手榴弾を投げていた。
彼は地雷原の中をたった一人で接近し、爆薬でその陣地を吹っ飛ばしたのさ。
彼は独りの攻撃を繰り返し、6つの陣地を壊したよ。
しかも、彼は爆薬を運ぶため、丸腰で接近したんだ!
彼は英雄になった。
でも、彼は足に大怪我をしていた。
そして、6日後に、僕は
「死んだんだ」
少女はふと我に帰った。さっきまでいたはずの、老人はどこにも見えなかった。
足元ではただ風に巻き上げられた枯葉が舞うばかり――
合衆国海兵隊 グレイ軍曹(1920-1945)に捧げる
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