戻る <<戻る | 進む>>
第1484話 名無しさん 投稿日: 03/04/15 18:02 ID:IcNn1D/S
         「毎年恒例」
 「やったわ、今日も勝ったわ」 
 いつもは優等生的なアサヒちゃんがテレビの前でニンマリしています。見れば巨人VS阪神戦ですね。阪神圧勝ですか。
 「いよいよ今年こそ日本一ね。今から祝勝会の準備をしなくちゃ」
 ふふふふふ、と上機嫌です。なんか怖いくらいです。
 翌日の壁新聞のスポーツ欄見出しは『名将仙一甲子園に吼える、井川完封』と大本営さながらです。
 「ねえねえ、昨日の試合みたでしょ、あれが実力なのよ、実力」
 「そうニダ、これこそ偉大なる虎の力ニダ、そして10連覇するニダ」
 カンコ君もご機嫌です。どうやら以前より虎を自分の家の象徴としているだけあってトラキチみたいです。
 「ああ、目を閉じれば想い出すわ。バース、掛布、岡田の三連発の栄光の年」
 「江夏のノーヒットノーラン、村山の引退試合、田淵のアーチ・・・」
 またずいぶん古い話ですね。
 「助っ人バッキー、藤村様の代打逆転サヨナラ弾、影浦・・・栄光よねえ」
 アサヒちゃん貴女は一体いくつですか?
 「今年こそ我がタイガースが優勝するわよ、皆10月楽しみにしてて」
 けれど周りの皆は冷静です。逆にはしゃぐアサヒちゃんをどこか暖かい目で見ています。
 (毎年春先はそう言ってるけど)
 そうなのです、アサヒちゃん春先はいつもこうなのです。そして春が終わりに近づくと
『阪神三試合連続サヨナラ負け 古田殊勲打』 『遂に定位置』
 『怪我人続出』 『10試合連続2ケタ失点』 『自力優勝消滅』
 こんな記事がいつもスポーツ欄に載るようになるのです。そして今年も
              『 阪 神 2 8 連 敗 』
 教室には真っ黒いオーラのブラックホールの中沈みきった顔で記事を書くアサヒちゃん
がいました。皆もその落ち込みように声さえかけられません。カンコ君はもう火病を通り
越し新聞の記事を前に無言で涙を流し続けています。
 「まあいつものことだけど」
 皆あえてそっとしています。勝った時にはいつも元気になるのでその時に励ますように
しているのです。
 「よくもまあ毎年進歩のない女だ」
 ウヨ君もそう言いながら勝った時はアサヒちゃんの方へいきます。やっぱり家族ですしね。
 
 

解説 名無しさん 投稿日: 03/04/15 18:06 ID:IcNn1D/S
 元ネタはテレ朝が関西の朝7時からいつもやってる阪神マンセー番組です。あと
カンコ君が阪神ファンなのは総督府が元ネタです。阪神ファンの方申し訳ありませ
ん。けどこれでいくとサヨックおじさんは広島ファンになるのかな。

この作品の評価を投票この作品の評価   結果   その他の結果 Petit Poll SE ダウンロード
  コメント: