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第1600話 名無しさん ◆B9.JhkARyE 投稿日: 03/07/24 04:30 ID:gkrLdS4c
                  「本を読もう」
 夏休みといえば宿題、そのうちの一つ読書感想文、これは欠かせません。我等が五年地球組
の面々も図書館へ行き本を探しています。
 「今回は趣向を変えて『若草物語』だ。ラスカのお気に入りだしな」
 「『紅楼夢』アル。たまには恋愛物もいいアルぞ」
 「俺は『スペードの女王』だな。オペラ版とはかなり違うがな」
 「わたくしは『三銃士』を。愛しの殿方達がわたくしをお待ちしていますわ」
 「『アーサー王』にしましょう。ランスロット様みたいな騎士殿にお会いできる日を夢見て」
 「あたしは『聊斎志異』。夏にはぴったりよね」
 「僕は『クオレ』、誰だい『ドン・ジョバンニ』なんて言うのは。あれはオペラだよ」
 皆気にいった本をゲットして家に帰っていきます。今から読む気まんまんです。
 「わたしは・・・どれにしようかなあ」
 ニホンちゃんの前には何冊か本が並べられています。『源氏物語』に『太平記』、『大鏡』、
結構ありますね。
 「『平家物語』なんてどうだい姉さん、栄枯盛衰を物語るいい話だよ」
 「うーーん、わたし戦記物はちょっと・・・」
 ウヨ君の言葉にニホンちゃん首を横に振ります。
 「じゃあ『南総里見八犬伝』、こらはファンタジーといってもいいよ」
 「それもちょっと・・・」
 何にしようか迷っていますね。ニホンちゃんは本を読むのは好きですが結構趣味ははっきり
しています。女の子らしく恋愛物とかが好きなのです。
 「どれにしようかなあ。源氏は去年書いたし」
 「ニホン、まだ迷ってるニダか?」
 そこへカンコ君がやってきました。
 「あ、カンコ君」
 「まだ本を決めてないとはのろまニダ。ウリみたいにさっさと決めるニダ」
 カンコ君、適当な本を手に取るとそのまま図書館で寝ていたのです。そのいびきが館内
に響き渡っていました。
 「うん。でカンコ君はどれにしたの?」
 「ウリは・・・この本ニダ」
 誇らしげに本をニホンちゃんとウヨ君に見せます。
 「え・・・・・・」
 その本を見て二人は言葉を失いました。
 「どうだ恐れ入ったニダか、これこそウリが読むに相応しい本ニダ」
 ニダッハッハッハと高笑いを出します。
 「カンコ君、それって・・・」
 「ニホン、驚きのあまり声も出ないニダか、まあウリの素晴らしい感想文を楽しみにし
ているニダ」
 高笑いをそのままにカンコ君は図書館を後にしました。
 「ねえ武士あれって・・・」
 「うん、うちの本だよね」
 カンコ君の後姿を見送りながら二人は囁きあっています。
 「カンコ君のおうちって確か・・・」
 「うちの本は駄目だった筈だけど」
 「大丈夫かなあ、カンコ君。またお父さんやお母さん達に」
 「大丈夫じゃない?多分。どうせうちのを真似てばかりだから向こうもわからないよ」
 「うーーーーん・・・・・・」
 二人は本を決め図書館を後にしました。ニホンちゃんは結局『伊勢物語』にしウヨ君
は『義経記』にしました。
 ちなみにカンコ君がどうなったかというと別に親からは怒られませんでした。しかも
堂々と感想文を発表しました。ウヨ君の予想は正しかったのか、それとも知っていたの
かは他ならぬカンコ君のみぞ知ることです。

解説 名無しさん ◆B9.JhkARyE 投稿日: 03/07/24 04:33 ID:gkrLdS4c
今回のソースは
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/07/18/20030718000056.html
日本文化は駄目だったのでは?

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