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第1655話 KAMON@水戸J1入りキボンヌ  ◆9awzJSYC0I 投稿日: 03/09/18 01:10 ID:5D/KOum5
「郷に従わぬもの」

シシローおじさんが「聖域なき構造改革」を進めている日ノ本家ですが、
そんな彼でも、乙女の聖域だけはどうしようもありません。

「とーらをたおしてこいつーってー はーまのせーいざにくーもをかけー♪」
鼻歌を歌いながら、気持ちよさそうにシャワーを浴びているのはニホンちゃん。

「つーばめおとしておーおおとこー いーきのーねとーめてかーちすすめー♪
・・・? 何かアルコールの匂いがするような・・・」
湯煙の中に、ニホンちゃんがナニモノかの気配を感じ取った、その時!
がらり。突然引き戸が開きました。
「ズドラストブーイ! イワン=ロシアノビッチ様は今日もご機嫌だぜ! ハラショー!」
「・・・・・!!!!!!!」
突然のロシアノビッチ君の乱入に、ニホンちゃんは言葉も出ず、浴室の隅に張り付きました。
彼は、「大阪の間」で行われている柔道大会に出場するため、ニホンちゃんちに来ていたのです。
かなりアルコール度の高いウォッカをあおってきたようで、浴室中が酒臭くなります。

「ウラー! なんだニホン、相変わらずちっとも育ってねえじゃねえか、
ウチのウクライナみたいにボインボインにしてやろうか、ああん?」
ニホンちゃんの様子など気にも留めず、ロシアノビッチ君は超セクハラマシンガントークを展開。
彼は、小学生から見れば雲突くような大男。
ニホンちゃんはただ怖くてかたまっているしか出来ません。
とはいえ、ニホンちゃんをどうこうしようという気はなかったらしく、
顔を真っ赤にしてうつむいているニホンちゃんに言うだけ言うと、豪快に湯船にダイブ。
湯船には容赦なく垢が浮き、ニホンちゃんは思わず顔をしかめます。

「ニホン、おめえとこの風呂は町内で一番気持ちいいなあ。
がっはっはっは! 酒持ってこい酒!」
言いつつ湯船で体を洗ってしまうロシアノビッチ君。
浴室の扉は開けっ放しで、脱衣所には酒瓶が散乱しているのが見えます。
ニホンちゃんは、恥ずかしいを通り越してもはや呆れ果てていました。
ロシアノビッチ君は無視してとっとと髪を洗い始めます。

温まった所に更にアルコールが入り、下品さに拍車がかかるロシアノビッチ君。
彼の下ネタはついにウヨ君にまで及びます。
「さっき、おめえとこのチビのヤポーネツ野郎が柔道やってんのを見たんだけどよお、
技だけ出来てても体が小さくて話になんねえでやんの。
体がああじゃモチモノの方もさぞかし小さ・・・」
ばさっ!
「・・・・・・!!!!」
その時、Z旗柄のバスタオルが、ロシアノビッチ君の頭にかぶせられました。

「・・・さぞかし小さくて悪うございました。」
後ろで皮肉めいた笑いを浮かべているのは、三助スタイルのウヨ君。
「しかし、柔よく剛を制するのが柔の道というものですよ。
・・・もっとも、モチモノの場合、大きいだけで柔はあなたの方ではないのですか?」
顔こそ笑っていますが、ハラワタが煮えくり返っているのは一目瞭然です。

「う゛・・・。な、なんだい、いたんなら言ってくれよ、は、は、は・・・。」
乾いた笑いを返すロシアノビッチ君。湯船の中だというのに嫌な脂汗が流れます。
「いえいえ。僕ならどう言われても構いませんよ。でも・・・」
ウヨ君の皮肉めいた笑い顔が、雪女のように凛々しくも冷酷な顔に豹変しました。

「・・・姉さんに妙なことをしたら、誰であろうと絶対に許さない・・・」
「ちっ、分かった、分かったよ!・・・くそっ、酔いが醒めちまった。」
ロシアノビッチ君は、舌打ちをすると、大儀そうに湯船からあがり、
がに股でのしのしと歩いていってしまいました。

「姉さん! 大丈夫? 何もされなかった?」
ニホンちゃんの苦虫をかみつぶしたような顔を、ウヨ君がのぞき込みます。
「・・・うん、ありがとう、ウヨ!」
ニホンちゃんの顔がぱっと明るくなり、思わずウヨ君を抱きしめます。
「・・・ちょっと姉さん、服着て服!」
ウヨ君が顔を真っ赤にして叫びます。

「・・・あ゛!」
ニホンちゃんも同じく真っ赤になります。
「キャー! いやあー! 早く出てってよエッチ!」
金切り声を上げ、ケロヨンの洗面器で連打するニホンちゃん。ウヨ君は這々の体で退散。
「なんで俺だけが・・・くそっ、硬さじゃロシアノビッチになんか負けないんだからなー!」


その後、日ノ本家の浴室には、「ロシアノビッチは入るべからず」の看板が掛けられたそうです。

解説 KAMON  ◆9awzJSYC0I 投稿日: 03/09/18 01:27 ID:5D/KOum5
KAMONです。有閑工房さんの良作のあとで恐縮ですが、新作を。

今回のソースは、
ロシア人のあまりのマナーの悪さに、
北海道の銭湯が「ロシア人お断り」の札を掲げている、という話から。

良心的なロシア人の人には可哀想だと思いますが、
郷に入って郷に従わないものは、村八分にされても仕方ないでしょう。

銭湯を利用しているロシア人は、本当は船乗りが多いそうですが、
ロシアノビッチ君を船に乗せるわけにはいかないので、
世界柔道でニホンちゃんちに泊まっている、という設定にしています。

今回、悪役が珍しくロシアノビッチ君なので、
それを意識しつつ、3人の行動を書いてみました。
ちゃんと出ているでしょうか?

>>243-244
ゼロさんグッジョブ!
・・・うちの冷蔵庫のイカ、巨大化してないかな(汗

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