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第1660話 無銘仁 ◆uXEheIeILY 投稿日: 03/09/22 18:54 ID:q5AkeyM5
 「兄弟喧嘩は止まらない」

「アイゴー! なんということニダ!」
キッチョム君が地団駄踏んで悔しがっています。自室の押入れから出てきた
盗聴器を床に叩きつけると、力まかせに踏み潰してしまいました。
「首領に教えてもらった方法でカンコのやつを監視してるつもりだったのに……
ウリの方が監視されてたハセヨ!」
そうは言っても、キッチョム君がカンコ君の部屋に盗聴器をたくさんしかけて
いるのは町中に知れ渡っています。この盗聴器はカンコ君に発見されると
破裂する仕掛けになっていて、証拠を残さない優れものです。キッチョム君は
これを持って扉から窓から何度もカンコ君の部屋に侵入しました。
実はニホンちゃんの家にもいくつかしかけられています。そのうちいくつかは
カイホおばさんに見つかって破裂してしまいましたけどね。
しばらく怒り続けたキッチョム君。あることに気づきました。
「そういえばこの前、喧嘩はやめて遊びに来たとかいって居座っていったニダ。
お土産につられて大人しく遊んだけど、あの時もしかけたかもしれないニダ」
キッチョム君は部屋の中を捜索しはじめました。
カンコ君が部屋でヘッドホンをつけ、手帳を片手に真剣な顔つきで寝ています。
机に突っ伏すカンコ君の顔。そのかたわらには大きな受信機が不気味に
黒光りしています。
「ちょっと兄さん、兄さん起きて!」
肩を揺さぶられ、机の脚でひざをしたたか打ったカンコ君は飛び起きます。
「痛いニダ! なんだチョゴリか。何の用ニカ。ウリは今忙し……」
「買い物に行くから、この前貸したお小遣いを返してほしいニダ」
「な、何のことを言ってるか全然わからないニダ。さっぱりニダ」
あまりに斜め上の返答だったので、チョゴリちゃんは一瞬固まってしまいました。
「……この前、キッチョム兄さんを監視するために必要だっていうから貸した
でしょう。それで盗聴器を作るのをウリも手伝ったニダ」
「ウリは盗聴器なんか作った覚えがないニダ。さあさあ、邪魔だから部屋から
出て行くハセヨ」
さすがのチョゴリちゃんも、度重なる兄の暴言に頬をキムチ色に染めています。
「覚えがないわけないニダ! あの時ウリは兄さんのためを思って一生懸命に
作って、工具で怪我までしたニダ。兄さんは恩を仇で返すつもりニカ」
「知らないものは知らないニダよ。ウリは無関係ニダ」
どうしても認めようとしないカンコ君にあきれたチョゴリちゃんが、諦めかけた
その時でした。カンコ君が身を乗り出した拍子にヘッドホンが受信機から抜け、
部屋全体に音が響きわたりました。
『アイゴー! なんということニダ!』
「こ、これは、キッチョム兄さんの声?」
「あ、いや、これはその、あの……チョ、チョゴリ、おやつの時間ニダ」
グシャッバキッガリガリズザザザザー……
通信が途絶えました。
「盗聴器は見つかって壊されたようね、兄さん。さあ、謝罪と(ry」
「アァイィゴォー!」
いつも通りに絶叫するカンコ君でした。兄弟喧嘩もほどほどにね。

ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030922-00000795-reu-int
ttp://japanese.joins.com/html/2003/0915/20030915164606500.html
ttp://www.kaiho.mlit.go.jp/info/news/h14/fushinsen/
工作員合戦。スパイ防止法すらないウリたちの祖国では考えられませんね。

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