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第1841話
某所で見た米国の反仏感情より
投稿日: 04/04/22 23:26 ID:pzVCuFpA
アメリーとフランソワーズ 1
アメリー君とフランソワーズちゃんは長いこと仲が良くありませんでした。
性格の違いもさることながら、お互い自分が一番でないと気がすまないもの同士です。
ロシアノビッチ家やゲルマッハ家が巨大だったときはしぶしぶ仲良くしていましたが、
それでもフランソワーズちゃんはしばしば「第三極の巨頭」を自称し、スタンドプレーが多かったのです。
そしてアメリー君も負けず劣らずスタンドプレーが多かったため、お互いの意地の張り合いはエスカレートするだけでした。
最近妙に丸くなったエリザベスちゃんも、親友たちのこの争いには匙を投げるばかりです。
かつては彼女が一番、地球町でやりたい放題をしていたのですが。
そんなある日。
「ぬわぁぁぁぁんですってぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!????」
鼓膜もちぎれるほどの絶叫がクラスに響き渡りました。
教室内のクラスメートはおろか、中庭を挟んで反対側の校舎の生徒ですら鼓膜を押さえて倒れたというのですから
その声量たるや、想像したくもありません。
アメリーとフランソワーズ 2
「何よ、なによなによなによこの落書きは!! 責任者を出しなさい!!!」
ヒステリックに叫ぶフランソワーズちゃんの手には、アメリー君の社会科のノートのページが握られていました。
曰く、フランスが強国だったのはワーテルローまで。
曰く、ゲルマッハ家のヒトラー伯父さんに弱気な物言いをし、一度は家屋を取られる騒ぎになった。
曰く、ロシアノビッチに擦り寄る余計な行動のせいで、クラスの秩序が乱れた。
曰く、ローマさんの時代から降伏ばかりの敗北主義者。
曰く、彼女の持つ<戦車>カードは、60年前のゲルマッハ家の物にも勝てない・・・などなど。
よくもここまで、と言わんばかりのありとあらゆる罵倒と嘲笑がノートの端から端まで書かれていたのです。
フランソワーズちゃんが何より悔しいのは、ここのすべてが必ずしも根も葉もない中傷ではないこと。
たかだかこの間できたような、しかも私が助けなければエリザベスの犬のままだったアメリー家に何でここまで・・・
「う・・・ふわ・・・うわぁぁぁぁぁん!!!!!!!」
あーあ、怒りが頂点に達し、ついに泣き出してしまいました。
あまりの狂態に、ニホンちゃん(いるのです)やカンコ君(さすがのカンコ君も口も出せません)たちクラスメートも
遠巻きに彼女を見守るだけでした。
しかし、そんな中。
「God Bless America〜♪ フフフン」
場違いに陽気な(その割りに歌詞は剣呑な)鼻歌を歌いながら教室に入ってきたのはアメリー君でした。
アメリーとフランソワーズ 3
「おい! アメリー!彼女を見てみろよ!お前の家の中での落書きとはいえ、あまりにひどいじゃないか!!謝れ!」
なんと、最初に口火を切ったのは、普段温厚だと言われていたカナディアン君でした。
「え??え?! なんだ?カナディアン、どうしてミーに喧嘩を売るんだ??」
状況が飲み込めないアメリー君はしばらく目を白黒させていましたが、カナディアン君が無言で指した指の先で
一時の激昂も収まったのか、えぐえぐと泣いているフランソワーズちゃんを見、その手に握られたノートを見ると
態度を一転、ふてぶてしい態度で笑って見せました。
「あー、それを見たのか。だって事実だろ? 本当のことを書いてただけだぜ。ふふん」
あまりといえばあまりのアメリー君の言い草に、さすがにみんなからも不満の声が起こります。
「わざと見せたんじゃないのか・・・?」「いつだったか、フライドポテトでも騒いでたし」「・・・サイテー」「女の敵」「ヒック」
そんなみんなをじろりと見渡して、アメリー君は言い放ちます。
「大体、第三極だかなんだか知らないが、俺のやることにいちいちケチをつけるんだからこんな目にあうんだ。最初からおとなしく・・・」
「「「待ちなさい」」」
三者三様の、しかし怒りだけは同じ声が三方からアメリー君を抑えました。
「え?? エリザベスちゃんに、ニホンちゃんに、フラメンコ先生?? どうして?」
「確かに私はあなたの味方をしてきましたわ。でもさすがにこれはやりすぎです。女性をそこまで痛めつけるのは
フェアプレーなのかしら?」 と、これはエリザベスちゃん。
「私もアメリー君の味方をやってきましたけど、もう愛想がつきました。うちの廊下に傷がついたし、
もう勝手になさい。」 と、フラメンコ先生も普段にあわない冷ややかな声。
「・・・私は、あなたの味方をすることでキッチョム君やチューゴ君を抑えられると思って味方した。
でも、こういうのはやりすぎだと思う。女性をいたぶるのって変。」 ニホンちゃんも、硬い声です。
もともとクラスの中で最もアメリー君に近い3人の女性がこの調子なのですから、
最初から批判的だった友達たちも遠慮がなくなります。
アメリーとフランソワーズ 4
「女の敵だな。」「全くだ。当代のヒトラー叔父と言われないようにな。」「だからやめとけっつったのに、ヒック」「生々流転、諸行無常アル。」「ニダ」「ダス」
非難の集中砲火を浴び、さすがのアメリー君もばつが悪くなったのか、泣き続けるフランソワーズちゃんのところへ行きました。
「・・・とりあえず、その件に関しては遺憾の意を表明しておく。フランソワーズちゃん。」
泣き止まないフランソワーズちゃんに対し、さすがのアメリー君もお手上げなのか、口調をやわらかくして続けました。
「すまない、フランソワ。ベトナムでも湾岸でも一緒に遊んだ仲じゃないか。とりあえず今は泣き止んでくれ。な?」
ぎこちなく笑いかけるアメリー君に、フランソワーズちゃんは小声で何かささやきました。
「・・・」
「え?聞こえないぞ? もっと大きな声で言ってくれよ」
この一言が、思えばアメリー君の死刑執行証明書だったのではないでしょうか。
「きっと仕返ししてやるから、覚えてらっしゃいって言ったのよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
突如沸き起こった、先ほどに倍する轟音に、思わずみんなが耳を塞ぎました。
どこかでガラスが割れる音がします。ぐはっ、と血を吐いたのはカンコ君でしょうか。
恐る恐るみんなが目を開けてみると、そこには涙の後などさっぱりなく、さわやかな顔で笑うフランソワーズちゃんと
耳血を噴き出して潰れた蛙のように倒れたアメリー君の姿がありました。
おしまい。
そうそう、普段温厚なカナディアン君に真っ先に怒鳴られたのがよほどプライドを傷つけたのか、
その日、放課後にカナディアン君の家に遊びに行く約束を、アメリー君はすっぽかしましたとさ。
解説
米国の反仏感情より、の作者
投稿日: 04/04/23 00:37 ID:YlvCBoAL
初投稿でいきなりの長文駄文、申し訳ないです。
3以降、実は再起動の拍子にデータが吹っ飛び、書き直したためにやや冗漫なものになってしまいました。すいません。
本来はフラメンコ先生は教師ということで、口を挟まない予定だったのですが・・・
アメリー君もなんだか悪人っぽいし、精進が必要です。
話のネタは、海外ボツ!ニュース様
ttp://www5.big.or.jp/~hellcat/news/frame.htm
と、ニュースからいただきました。米国における反仏感情と、ブッシュ大統領訪加取りやめです。
といっても、ほとんど創作です。
ますます精進していきますので、よろしくお願いします。
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(*^ー゜)b Good Job!!
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