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第2052話
熱血君 ◆O4x3A1GrPw
投稿日: 04/11/18 21:26:47 ID:BNjAvVJE
「軟派男の意地」
紫苑ちゃんがゲルマッハ君やロシアノビッチ君に追い立てられ、毎日の
様に酷い虐待を受けていた時のお話です。
「逃がすな!」
「捕まえて袋叩きにしろ!」
町から彼等の声が途絶えることはありませんでした。紫苑ちゃんは毎日
追われ、虐められていました。
「このままじゃまた・・・・・・」
捕まったらどうなるか、よくわかっています。必死に隠れる場所を
探します。
不意にある家が目に入りました。後ろから彼等の声がします。見つかっ
たらお終いです。
考えている暇はありませんでした。その家の玄関を開けそこに隠れまし
た。誰の家か、見ずに入ってしまいました。
「誰?」
ドアが閉められる音を聞いて家の人がやって来ました。見ればマカロニーノ君
でした。
「マカロニーノ・・・・・・」
紫苑ちゃんは彼の顔を見て青くなりました。彼はゲルマッハ君とは仲良し
だったからです。彼等の前に突き出されるのはもう目に見えています。それ
を思うと脚がすくんでしまいました。
「あ、紫苑ちゃんようこそ」
しかし彼はそんな彼女に対して温かい言葉をかけました。
「!?」
思いもよらぬことに戸惑っている紫苑ちゃん、しかしそこで後ろから
あの二人の声が聞こえてきました。
「紫苑は何処だ」
「とりあえずここらへんの家をくまなく探そうぜ」
「え・・・・・・」
それを聞いた彼女の顔がまるで鏡が割れた様に強張ってしまいました。
それはマカロニーノ君にもわかりました。
「僕に任せて」
彼はそんな彼女に優しい声で語りかけてくれました。
「けれど」
「いいから。あがって」
「うん」
そして彼女を家に入れました。そして部屋の奥に入れます。
「ここから動いちゃ駄目だよ」
「ええ。けれど・・・・・・いいの?」
紫苑ちゃんはそんな彼に尋ねました。
「私なんか匿って。貴方は彼等の」
「関係ないよ」
マカロニーノ君は不安そうに見上げる彼女を宥める様にして言いました。
「彼等は彼等、僕は僕。確かにうちでも色々とあるけれどね」
実際紫苑ちゃんはこの家でもあまりよくは思われていませんでした。
「けれど困っている女の子を見過ごすことはできないよ。まあ見てて」
ウィンクすると部屋を出ました。そこにドアが再び開ける音がしました。
「マカロニーノ」
ゲルマッハ君とロシアノビッチ君でした。
「こっちに紫苑の奴が来なかったか?」
「いや、知らないね」
彼は二人の剣呑な目をかわしてしれっとした態度で返しました。
「言っておくが隠しているとためにはならないぞ」
「幾ら手前でもな」
二人は怖い顔で詰め寄ります。しかしマカロニーノ君も引きません。
「悪いけれど他を当たってくれないかな。うちには今日は誰も来ていないよ」
「本当だな」
「僕が君達に嘘をついたことがあるかい?」
「・・・・・・わかった」
二人は怪しく思いながらも渋々とそれに従いました。
そして家を後にしました。マカロニーノ君はそれを確かめると紫苑ちゃん
のところに来ました。
「もう出ていいよ」
「う、うん」
紫苑ちゃんはそれに従いそろそろと出て来ました。
「これからまた何かあった時は来てよ。女の子なら大歓迎だからさ」
いつもの調子で返します。
「いいの?貴方に迷惑が」
けれど紫苑ちゃんは不安そうです。それに口には出しませんが
何時裏切られて彼等に引き出されるか。彼女は今までそうしたことを
何度も経験してきましたのです。
「迷惑!?どうして!?」
ですが彼はそれをキョトンとした顔で聞いています。わからないと
いった様子です。
「だって貴方はゲルマッハの」
「だからそれは関係ないよ。さっきも言ったじゃないか、彼等は彼等、
僕は僕だって。女の子を助けるのが僕の仕事だよ。だからさ」
彼はここで紫苑ちゃんの耳元に囁きかけました。
「何時でも来てよ。学校でも側にいていいから。いいね」
「いいの・・・・・・?」
「女の子だからね」
これで決まりでした。紫苑ちゃんはこうしていつもマカロニーノ君の
側にいるようになりました。少なくとも彼が側にいる間はゲルマッハ君
もロシアノビッチ君も手出しはできませんでした。彼女が虐められること
はかなり減りました。
解説
熱血君 ◆O4x3A1GrPw
投稿日: 04/11/18 21:33:34 ID:BNjAvVJE
今回のソース。二次大戦の時のイタリアのユダヤ人です。
ttp://d.hatena.ne.jp/thethe/20040525
ttp://www.eiga-kawaraban.com/99/99030202.html
今回長いので何回かに分けます。ファシスト党は反ユダヤ
でしたが多くのイタリア市民がユダヤ人を救っていますので
マカロニーノ君は今回そうした役です。
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