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第2137話
青風: ◆BlueWmNwYU
投稿日: 05/01/31 13:34:17 ID:F1pffEG+
「悪魔と踊れ、永久(とこしえ)の闇を」
ぴぴぴぴぴ ぎゃあぎゃあぎゃあ ぐおおおぉぉ
得体の知れない鳥や獣の吠え声が響きます。日没前だというのに真っ暗な密
林の中、彼はぽっかりと口を開いた洞窟の中で息を潜めていました。特殊部
隊用の重装備に身を包んでいても尚、凍えて居るかの様に震えています。
ママ、怖いよ。悪魔が僕を狙って居るんだ。助けてよママ。
「さぁお待ちかねの地球組対抗チャリティエキシビジョンマッチ、今日は
グループAの準々決勝と準決勝の3試合よ!みんな、張り切って応援して頂
戴ね!」フラメンコ先生のアナウンスにも張りがあります。そう、今日は地
球組総合種目対抗トーナメントの準決勝初日です。最初は”お互いの価値を
尊重仕合い、競い合って豊かなな人格を築く”為の競技会だったのですが、
其処は自己主張の強い地球組のみんなの事です。いつの間にか誇りと優勝賞
金を懸けた総合格闘トーナメントに成ってしまいました。
対戦ルールは簡単です。コイントスをして表を取った方が競技の種目(用具
や防具は使用可)を決め、もう一方が場所を決める。審判はフラメンコ先生
が行う。危険な道具は駄目。負けても泣かない。
「みんな、頑張ってね!」フラメンコ先生は無邪気に言いました。
第一試合 カンコ君対アメリー君
種目:シューキュー 場所:アメリー家
ホルホルホル カンコ君が笑っています。此処までをこのシューキュー
を種目に選ぶ事で全勝してきたのですから、自信も付こうという物です。
「今日も頼むニダ」カードに囁きかけるカンコ君。彼のデッキの中には審判
を支配できる伝説の審判買収カードも入っています。既に勝利を確信してい
る彼の中では自分自身への賞賛が渦巻いていました。
さて、一方のアメリー君は未だ姿を見せていません。いや、たった今・・・
「ア、アメリーニム、何の格好してるニカ?」カンコ君が狼狽えます。
「へっ、アメリー家流シューキューのユニフォームじゃねーか。お前こそプ
ロテクター着けなくって良いのかぁ?怪我しても知らねーぞ」
そう、”アメリー家流シューキュー”とはカードバトルではないのです。
せせこましいルールが嫌いなアメリー家の人達が編み出した、ごっつい男同
士がぶつかり合うワイルドなスポーツです。如何に此処がアメリー家の敷地
だとは言え、あまりと言えばあまりな展開にカンコ君は抗議も忘れ呆然とし
ていると、「試合開始」のコールが掛かりました。「ちょっと待つニダ!
話が違うニダ!」デッキを片手に狼狽するカンコ君。そんな事は一切お構い
なく突進するアメリー君。ああいいイィごおぉォォォ 次第に小さくなる悲
鳴を残してカンコ君は競技場の外へ消えていきました。「試合終了。勝者、
アメリー君」観客のエールに笑顔で応えるアメリー君でした。
第2試合 ベトナちゃん対チューゴ君
種目:サバイバルゲーム 場所:屋外アスレチック
試合開始のコールは掛かって居るのにチューゴ君は動こうとしません。実
はチューゴ家精鋭ジンミン団のメンバーを潜伏させてあるのです。当然反則
ですが、そんな些末な事を気にする様な彼では無いのです。「お前達、任せ
たアルよ」無線機で指示すると、後は優雅に点心ランチを広げます。遠くで
散発的な銃撃音が聞こえます。どううやら数の不利を悟ったベトナちゃんが
撤退を始めたようです。満足気なチューゴ君です。そこへ突然、無線機が不
愉快な雑音を吐き出し始めました。「何事アル?」問いかけに暫く経って返
事がありました。「敵からの最後の抵抗を排除しましたアル」「うむ、大儀
であったアル。すぐに敵の旗を奪取にいくアル」チューゴ君はベトナ陣営本
拠地へ向かいました。
本拠地にはベトナ陣営の旗だけが立っていました。出迎えの無い事に不満
を覚えながらも、旗へ近づくチューゴ君。突然、両足首にワイヤーが巻き付
き、そのまま上へはじき飛ばされました。気が付くと木から逆さ吊りにされ
ているチューゴ君。地表にはジンミン団のメンバーが青あざだらけで縛り上
げられているのが見えました。「罠だったアルか!」驚愕するチューゴ君。
「試合終了、勝者ベトナちゃん」夕日が眩しいチューゴ君でした。
準決勝A ベトナちゃん対アメリー君
種目:近接戦闘(サバゲー用武器使用) 場所:密林
ずぱぱぱぱぱ 自動小銃の発射音が響きます。呼吸の荒いアメリー君。
「ふぁっきゆー」と翻訳し辛い言葉で何者かを罵っています。「試合開始」
のコールと共に飛び込んだ競技会場ですが、既にベトナちゃんは罠を仕掛け
終えて居るようです。「俺だって昔の俺じゃないんだ」ベトナ家で敗北した
苦い記憶を振り払うと、赤外線センサーを頼りに暗視装置を装着して密林の
奥へと進んで行きました。ごそ 音に反応し振り向くアメリー君。一瞬の閃
光。暗視装置で増幅された光が目を焼きます。思わず自動小銃を乱射するア
メリー君。「やったか?」着弾の手応えを感じ、痛む目を開きましたが見え
たのは只の枯れ木でした。「何処だ、ベトナは?」その瞬間、ぱぱぱぱぱ
と、足下に着弾。恐慌に駆られ走り出すアメリー君です。 はぁはぁはぁ
下草に足を取られながら走るとつま先に何か引っかけました。糸の弾ける音
がして足下の地面が吹き飛びます。「悪魔め、あの悪魔め!」完全に追いつ
められた彼は思わず目の前の洞穴に逃げ込みました。
あれからどれだけ経ったのでしょう。少し落ち着いて見ると何だか此処に
飛び込んだ事自体罠の様な気がしてきました。「此処を出なくては」動きだ
した矢先です。がしゃん いきなり鉄格子落ちてきました。アメリー君は完
全に閉じこめられていました。「試合終了、勝者ベトナちゃん」
おほほほほほほ ベトナちゃんの笑い声が密林に木霊していました。
「強いねぇベトナちゃん」驚嘆するニホンちゃんです。
「そうだねぇ。明日はB組の準々決勝と準決勝?」とタイワンちゃんです。
「それに決勝戦と3位決定戦だよう」「て、事はもしかして・・・」
「アメリー君、明日も頑張ってね!」「ファイトォ」「あれ、様子変?」
2人の言葉も耳に入らないアメリー君です。
頑張れアメリー君、明日はきっと良い事が有るさ、多分ね・・・
解説
青風: ◆BlueWmNwYU
投稿日: 05/01/31 13:51:40 ID:F1pffEG+
解説とか後書きとか言訳
「ベトナちゃんにはきっと怖い別人格がある」
そう仰る方がいらっしゃった様なので、
ちょっと書いてみました。
(とは言っても、本人は声以外出てきませんが)
一応元ネタ
カンコ君対アメリー君戦ですが、
リアルユーロ地区ではリアルシューキューの事を
「フットボール」と呼びます。で、リアルアメリー家
でのアメリー家流フットボールと言えば「アメフト」
ですね。そう言う事です。
チューゴ君対ベトナちゃん
これは一応中越戦争が下敷です。
止せばいいのにチューゴ君達はアメリー君すら
撃退したベトナちゃんに「懲罰戦争」なんか仕掛け
家のの敷地内奥まで誘い込まれて
ぼこぼこにされてたたき出されますたそうです。
アメリー君対ベトナちゃん
言わずと知れたベトナム戦争です。
リアルベトナ家の人に言わせると密林の中の
アメリー家の人々は「のろまな象」の様だった
そうです。
ああ、人に読んで貰う文章って結構大変。
皆様の真摯なる批評、叱咤激励、毀誉褒貶
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