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第2338話 ab-pro 投稿日: 2005/09/12(月) 21:08:01 ID:hdm8o+ND
 日ノ本家の裏手。
 ニホンちゃんの家とチュウゴ君の家の間に、ちょっとした雑木林があ
りました。
 鬱蒼とした見かけの、あまり人気のない雑木林ですが、その中心に綺
麗な野花の群生地がある事にニホンちゃんが気付いたのは、暫く前の事
でした。
 「わぁー、まるでアニメの中のお花畑みたい!」
 咲き乱れる花々の美しさに、思わず歓喜の声を上げたニホンちゃんは、
それから暇な時を見つけては、花々に囲まれる至福の時を楽しんでいま
した。
 しかし、そんな時間も、そう長くは続かなかったのです。

 「チュウゴ君、一体何してるの!!」
 ある日、いつものように秘密の花園にニホンちゃんがやってくると、
そこにはチュウゴ君がいて、お花畑の端のほうでなにやら日曜大工に精
を出しているのです。
 「なにアル?
 ニホンもこの花畑に気付いていたアルか」
 そう言いながらも、手にしたノコギリを止める事もなく、どうやら何
かの作業場を作っているチュウゴ君。
 「しかし、ここの花は美しいアル」
 「・・・そうだけど」
 「これだけ綺麗なら、良い値段で売れるアルね。効率よく花を刈り取
るために作業場を作っているアルよ。
 これで大儲けアルね」
 「!!」
 飄々と言ってのけるチュウゴ君に、一瞬だけニホンちゃんは言葉も出
ませんでした。
 「・・ダメだよチュウゴ君!!
 こんなに綺麗なお花畑を勝手に刈り取っちゃうなんて、絶対ダメだよ」
 あわてて止めに入るニホンちゃんに、チュウゴ君は一枚の地図を示し
て、いけしゃあしゃあと反論します。
 「この地図を見るアル。
 この花畑はニホンの家より我がチュウゴ家の方に近いアル。
 だからこの花をどうするも朕の勝手アル!」
 手書きのいびつな地図を誇らしげに掲げながら、勝ち誇ったように仁
王立ちになってニホンちゃんを威圧するチュウゴ君。
 いくらニホンちゃんが懸命に止めてくれるように頼んでも、最近めき
めきと男の子らしい成長を続けるチュウゴ君を、力で止める事は出来ま
せん。
 「お願いだから止めてよ、ね、チュウゴ君!」
 「うるさいアル!ニホンのお願いを聞く謂われなんかないアル!」
 まったく話の噛み合わないニホンちゃんとチュウゴ君。
 この日から、雑木林の中の花園を巡る二人のせめぎ合いが始まったの
でした。

 そして。

         ワン・ワン・ワン・ワン!!
 いつものように、チュウゴ君にお花畑の刈り取りを止めてもらおうと
雑木林を訪れたニホンちゃん。
 そんな彼女を待ち受けていたのは、いつの間にかお花畑の周辺におか
れた犬小屋に繋がれた、獰猛な犬たちでした。
 「キャー!!!」
 今にも噛みつきそうな勢いで猛烈に吠え立てる猛犬たちに、慌ててそ
の場を逃げ出すニホンちゃんの後ろ姿を、腹を抱えて大笑いしながら見
送るチュウゴ君。
 やがてなおも笑い続けながら、チュウゴ君は日曜大工を続けます。彼
の作る作業場は、もうほとんど出来上がっていました。
 
 今、ニホンちゃんの秘密のお花畑は、まさに風前の灯火なのです。
                             end

解説 ab-pro 投稿日: 2005/09/12(月) 21:09:50 ID:hdm8o+ND
 と言うわけで、ソースは>>555です。
 最近の中国軍部は強硬派が台頭していますからね。
 昔であれば政治的な発言は出来ず、せいぜい小説にして発表するのが
関の山でしたが、今は個人的な発言としながら、核の先制使用を示唆し
たり。
 そう言えば、最近は中国の軍部では「後十年・・・」と言う発言が増
えているそうですが、カンコ君とは違ってちょっと怖い話です。

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