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第2513話
マンセー名無しさん
投稿日: 2006/05/17(水) 17:45:08 ID:JJCjzLCB
ルチャドール・パニック
真っ青な五月の空に浮かぶ雲。
あたたかな春の陽射しに照らされて、今日は絶好の洗濯日和。
ここアメリー君のお家でもラスカちゃんが、もうすぐ迎える衣替えの準備とばかりに一生懸命お洗濯をしています。
クリーニングもいいけれど、やっぱりお日様をたっぷり浴びたお洋服の方が着ていて気分がいいというもの。
だけど、ラスカちゃんにはクリーニングに出したくない別の理由もあるのです。
例えばこの前内緒で買って、一度だけはいたデニムミニ。
実際家で試してみると、パンツを隠す余地もなく、常に丸見えの腰まき状態。
あるいは先日香ちゃんにもらった、スカイブルーのチャイナ服。
こんなものをアメリーお兄ちゃんの前に見せてしまったら、あの口うるさい兄のこと。
いろいろ文句を言われた挙句、最悪没収なんて事にもなりかねません。
そんなわけで、兄の居ぬ間に洗濯とばかりに急いで去年の夏物を取り出してきたラスカちゃん。
色とりどりのお洋服を見ていると、これから始まる暑い季節もなんだかステキな日々になりそうで、心がウキウキしてきます。
ようやくお洋服を干し終わり、一息ついたラスカちゃん。
ふと気がつくと、あれだけ高かったお日様も落ちてきて、少し翳ってきているようです。
「もっと上に上げたいな…、でも、どうしよう?」
大好きな洋服のいっぱいかかった物干し竿。背が低く力もないラスカちゃんでは、到底上に上げられそうにありません。
「困ったなぁ…。クーロイお兄ちゃんは野球に出かけちゃったし…。」
その時です。
突如太陽の光がさえぎられ、塀の上には大きな人影が。
風にマントをたなびかせ顔には鳥をモチーフにしたマスク。逆光に輝くその勇姿は、まるで映画のスーパーマン。
「西に困った人あれば!いって力を貸してやり!東に落ち込む人あれば!大丈夫だと励まして、
世界の人に愛と勇気と平和をもたらす正義のルチャドール、今ここに参上!とう!」
謎の鳥人は空中を華麗に舞い、ラスカちゃんの目の前に降り立ちました。
「うわぁ!スゴイ、スゴイ!カッコイイ!」
「ハハハ!お嬢さん。お困りの様子だね。私がここで力を貸してあげよう。」
「ホント?じゃあ、この物干し竿を上げるの手伝ってくれる?」
「お安い御用だよ。」
フンッ!と力をこめると、あれだけ重かった物干し竿をいとも簡単に持ち上げてしまいます。
「じゃあ、こっちもお願い!」
「よし。これでどうだ。」
二本目の物干し竿を持ち上げたそのとき、
ガタッ!ドッシーン!!
「アアッー!!」
バランスを崩した物干し台が倒れ、架けてあった洗濯物が全て落ちてしまいました。
ラスカちゃんの大事なお洋服も、物干し竿の下敷きになってグチャグチャです。
「私のお洋服が汚れちゃったじゃない!ひどいよ、ひどいよぉー。」
もう半泣きのラスカちゃんが、目に涙を浮かべて抗議します。
「ゴメンゴメン。こういうこともたまにはあるさ。だから泣かないで。」
「たまにじゃないよ、またお洗濯やり直しじゃない!お兄ちゃんに言いつけてやる!」
「オーゥ、ワタシアナタノイウコトワカラナイネ?」
「ばか!マヌケ!トンチンカン!この代償は払ってもらいますからね!」
ほっぺを真っ赤に膨らませ、もうカンカンのラスカちゃんなのでした。
「…で、なんでこいつが家に居るんだ?」
いつもどおりのはずの食卓に、なぜか一人のマスクマン。
「今日のお洗濯を邪魔して汚しちゃったから、しばらく家で働かせるの。」
「よろしくです。お兄さん。」
「いや、それは不味いだろ、こんな素性の知れない奴。とりあえずマスクはずせよ。」
「これをはずすなんてとんでもない!」
「お兄ちゃんも好きに命令していいからねー。あ、ソースとって!」
「ハイハイただいま。」
「食べ終わったら食器洗いもおねがーい。」
こうして、アメリー家におかしな同居人が住み着いてしまったのでした。
解説
マンセー名無しさん
投稿日: 2006/05/17(水) 17:53:39 ID:JJCjzLCB
えー、なんか気の向くままに書いていたら馬鹿みたいに長くなっちゃいましたが、
ソースはアメリカのヒスパニック問題というかメキシコ不法移民問題というか。
すでに政権の重要課題になっているようで、
先日5/15日にはブッシュ大統領が不法移民断固阻止との声明を出したとのことです。
ちょっと現実より展開が遅いですが、現在続きを書けたらなーなんて考えてます。
ちなみに、前半かなり使って書いたラスカちゃんのお洗濯話はただのお遊びです;
ほんと、無駄に長くなっちゃって。他の作者さんたちを見習いたい…
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