戻る <<戻る | 進む>>
第2520話 U-33 ◆JOCEixq6zU 投稿日: 2006/06/17(土) 20:14:55 ID:HtXVstSn
『カビさん、ありがとう』

 今日の5年地球組は理科の授業、みんなで顕微鏡を覗いています。
「みなさん、カビの菌糸を見ることができましたね。それじゃ今日はここまで」
 フラメンコ先生が授業を終ろうとすると、ニホンちゃんが先生のところにやって来ました。
「先生、カビはみんなの役に立ってるんですよね」
「そうね、いろんなお薬のもとになったり、フランソワーズちゃんのおうちで作ってるチーズ
にも欠かせないし」
「私たちは、お勉強のためやおいしいものを食べるためにカビの命をいただいてるのね。
先生、私、カビさんに感謝するため校庭の隅に石を積んで『カビさんありがとう』って書いた
札を立てたいんですけど、いいですか」

「……」
 先生が一瞬黙ったそのとき、
「かんどーしたっ」
 突然、大きな声がしました。
「それは、とってもいいことよ。私も応援する!」
 なぜか、アサヒちゃんが顔を紅潮させて、ニホンちゃんに賛成してくれるのでした。
「そうね、命の大切さに感謝するのはとってもいいことね」
 勢いに押されるようにフラメンコ先生も許可してくれましたが、その言葉はどこか棒読み口調
でした。

「その気持ちは、とってもいいんだけど……」
 スコップを手に教室から出て行くニホンちゃんたちを見送ったフラメンコ先生が校庭の隅に目を
やると、そこにはニホンちゃんが作ったカエル塚、ミジンコ塚、ムラサキツユクサ塚、カイコ塚と
いった塚がずらりと並んでいるのです。
「これでいくつめかなあ」

解説 U-33 ◆JOCEixq6zU 投稿日: 2006/06/17(土) 20:16:22 ID:HtXVstSn
(ソース)
「ちいさき命」悼み 感謝/菌塚
http://www11.ocn.ne.jp/~kinzuka/page011.html

卵塚や鮟鱇塚で有名な築地波除神社、アサヒちゃんのお家の近くです。
もうスペースがないので、新規の塚の建立はお断りしているとか。
http://www.namiyoke.or.jp/tsuka.html#1

この作品の評価を投票この作品の評価   結果   その他の結果 Petit Poll SE ダウンロード
  コメント: