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第2585話
U-33 ◆JOCEixq6zU
投稿日: 2006/08/19(土) 15:31:33 ID:KNGoUGkX
『故郷放逐者』
アーリアちゃんが表紙がボロボロになりかけた古いアルバムを持ってきて、無言で眺めていました。
小さくため息をついたり、うっすらと涙を浮かべたり、本当に熱心に見入っているのです。
その様子を見て、ポーラちゃんが訊ねました。
「アーリアちゃん、さっきから夢中で見てるけど、何の写真なの?」
「おじいさんやおばあさんの昔の写真さ。今はポーラちゃんちの敷地になってるところに住んでたころの」
その答を聞いたとたん、ポーラちゃんの顔色が変りました。
ポーラちゃんは、視線をまっすぐアーリアちゃんに向け、とげとげしい声で言いました。
「あなたは写真を見て、住まいを追い出されたおじいさんたちはかわいそうだとでも思ってるの?あなた
がたの一家が私たちにしたことを棚に上げて」
アーリアちゃんは、アルバムを閉じてポーラちゃんをにらみつけました。
「だからといって祖父母が、なぜすべてを失わなきゃならなかったんだ!」
アーリアちゃんは思わず大きな声を出しました。
「アーリア、よせ」
ただならぬ気配を察知したゲルマッハ君が、アーリアちゃんの肩をつかんでゆさぶりました。
我に返ったアーリアちゃんは、押し殺した声で言いました。
「うん、わかってる。わかってるが……。アルバムを眺めることにすら文句をつけられるのか……」
アーリアちゃんは、口惜しそうに唇をかむのでした。
(ソース)
ドイツ人「追放の悲劇」展示でポーランド反発
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/worldnews/15134/
【正論】クライン孝子 そろそろ胸張って8月15日を迎えたい
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/seiron/14772/
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