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第2587話 黄 色 い リ ボ ン  ◆JBaU1YC3sE 投稿日: 2006/08/22(火) 23:58:53 ID:p9L2Xo/t
   「 お祈りしないと 」
 夏のある日、地球町の面々がアジア班の夏について話しています。
 エリザベスちゃんがあきれた調子で言いました。
「相手のお祈りを侮辱するなんて考えられませんわ」
 ゲルマッハ君も頷きます。
「こういう時は自分のためにも相手を尊重しないとな。
 後でどんな報復を受けるか分からないし」
 それを聞いたモンゴル君が言いました。
「なるほどユーロ班らしい。礼儀もまた均衡を維持する秘訣の一つなんだな。
 だけどアジア班では均衡が維持されることは少なくてね。
 誰か支配者が決まることで秩序が維持されることの方が多いんだよ。
 特にチューゴとカンコの家は」
「日之本家へのやり方を見てますと、そう簡単には人の下に付きそうに無いようですけど」
 するとモンゴル君はあっさり否定しました。
「いや、チューゴの家の奴はね、相手がうんと強い奴となると平気でへつらって来るよ。
 弱い奴は身内でも捨てられ、叩かれるんだ。自分ひとり良ければいいのさ」
「ええ!でも日之本家を祖先のことであんなに恨んでますのよ」
 驚くエリザベスちゃんですが、モンゴル君は冷静に続けます。
「奴が仕返しを始めるのは相手が弱った時だよ。
 順調な時は愛想よくしていても、落ち目になったら途端に蹴落としにかかる。
 そしてまた残った者同士で、次は誰を蹴落としてやろうかと足を引っ張り合うのさ」
 皆は静まり返りました。モンゴル君の言うことだと大変な説得力があります。
「だから、あいつは言い返せない相手だけ侮辱するんだ。
 特に死んだ人なんか反論できない奴としか思ってない。
 例え自分の祖先でも容赦無しさ。他人のは尚更ね」
 タイワンちゃんが少し反論します。
「ご先祖を大切に思ってないわけじゃないよ。
 敵がお墓を荒らすことで、降伏しそうな味方が団結を取り戻したってこともあるし」
「そりゃまた酷いな」
 あきれるアメリー君にタイワンちゃんがあっさり答えます。
「それも味方を纏めるために、敵を騙してお墓を荒らさせたんだけどね」
 また全員が沈黙してしまいました。それを見たタイワンちゃんが慌てて言いました。
「あ、だからってアジア班全体を同じ目でみないでね」
 そんなタイワンちゃんにゲルマッハ君が助け舟を出しました。
「ま、まあ昔の話をしたらユーロ班も謀略を多用した点は同じだよ。
 ただ、水準の違う強い相手には引っ掛け狙いは通じないだろうね。
 自分を向上させて同レベルで渡り合えるようにしないと」
 エリザベスちゃんが含み笑いで言いました。
「昔のアジア町でそれが出来た人がいましたわね。
 敵に回したら恐ろしい方だったそうですけど、
 今では私もお宮にお参りしてますの。死者を冒涜する野蛮人とは違いますわ」
 するとタイワンちゃんがいたずらっぽく言いました。
「それなんだけどね、今回の騒ぎ、私は良かったと思っているの。
 私とチューゴの違いを日之本家の人が分かってくれるチャンスだから。
 あの墓荒らし達とは違うって」
 アメリー君も笑いを浮かべました。
「本当だね。まるでチューゴの奴が自ら日之本家を結束させるために
 悪役を引き受けてるようなもんだ。
 その点、俺はよくお参りしてるよ。アメリー家と対等に戦った強敵に敬意を表してね」
 そう言いながらも、アメリー君は冷や汗をかいていました。
( ウチも危なかったぜ。お宮壊さなくてよかったよ )

   おしまい

解説 解 説 投稿日: 2006/08/23(水) 00:02:09 ID:p9L2Xo/t
靖国神社と中共
http://www.epochtimes.jp/jp/2006/08/html/d93425.html
即墨の戦い 斉の田単、敵をして墓を荒らさせる
http://18.jpn.org/49.htm

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