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第2597話
u-33 ◆JOCEixq6zU
投稿日: 2006/09/16(土) 17:07:35 ID:J9PG6GhV
『もの作りのこころ』
ある日のこと。
ニホンちゃんはアメリー君とケンカをして叩きのめされ、べそをかきながらとぼとぼと歩いていました。
するとそこにロシアノビッチ君が現われて、ニホンちゃんを通せんぼしました。
「おいニホン、ちょっとこっちへ来い」
ロシアノビッチ君はニホンちゃんを無理やり家まで引きずっていき、物置に閉じ込めてしまったのでした。
「お前、手先が器用だからこれを作れ。出来るまで帰さないぞ」
そこには作りかけのドールハウスと材料が乱雑に転がっていました。どうやら妹のために作ってあげようと
したのですが、途中で投げ出してしまったらしいのです。
「なんでロシアノビッチ君の工作を私が作らなきゃならないの」
と思ったニホンちゃんですが、閉じ込められては言うことを聞くしかありません。しかたなしに作業を始めました。
でも、そこはもの作りが得意なニホンちゃん。一旦始めると、そんないきさつも忘れて全力で集中するのでした。
夜も更けて、さすがに心配になったロシアノビッチ君が物置を覗くと、ニホンちゃんはほとんど出来上がった
ドールハウスを前に最後の色塗りをしているところでした。
「お、おい」
ロシアノビッチ君が声をかけても返事がありません。
「おい!」
大きな声を出すと、鋭い声が返ってきました。
「今、細かい作業をしてるんだから声をかけないで!」
ニホンちゃんは、すっかり夢中になっていたのでした。
完成したドールハウスをロシアノビッチ君からプレゼントされた妹のウズベキスちゃんは、大事に棚に飾って毎日
眺めていました。
でも、ある日のこと、大きな地震があって棚のおもちゃが全部床に落ちてしまったのです。
ウズベキスちゃんは、泣きながらこわれたおもちゃを拾い集めました。しかしその中にただ一つ、ニホンちゃんの
作ったドールハウスだけは全く無傷だったのでした。
「おはようございます。ニホンお姉さん」
今日も校門でウズベキスちゃんがニホンちゃんに朝の挨拶をしています。その目に尊敬の色がこもっているのには、
そんな理由があったのです。
解説
U-33 ◆JOCEixq6zU
投稿日: 2006/09/16(土) 17:10:46 ID:J9PG6GhV
(ソース)
小泉内閣メールマガジン 第247号
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2006/0831.html
第二次世界大戦後シベリアや中央アジアなどに多くの日本人抑留者が強制
移送されました。ウズベキスタンにも約2万5000人が移送され、強制労働に
従事させられましたが、この地で死亡した日本人抑留者は約800人。
この方々を慰霊するために2003年に建設されたのが、「日本人死亡者慰霊碑」
です。
彼らの強制労働によって建てられた建築物は各地に残っています。タシケント
市内に建つナヴォイ劇場もその一つ。40年前に起きた大地震で、市内の多くの
建造物が崩壊したときも、この劇場は立派に残り、「日本人の建てた建物は堅牢
だ。」と評価を高めたといいます。
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