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第2664話
黄 色 い リ ボ ン ◆JBaU1YC3sE
投稿日: 2007/02/01(木) 16:40:26 ID:ptMXi76y
「 自立という勲章 」
僕はカナディアン。最近昔のことを良く思い出すんだ。
ユーロ班でそれまでに無い大喧嘩が起きて、僕はエリザベスちゃんを助けに行った。
喧嘩ってこんなに大変なのか。いやユーロ班でもそれまでの喧嘩とは全く違うってさ。
ゲルマッハもトル子ちゃんも強敵だったよ。
ロシアノビッチなんか喧嘩が終わるまで持たなくて、家がおかしなことになっちゃたし。
でもやっと終わった。あれ?エリザベスちゃんが来た。
「お休みのところ悪いけど、トル子さんが私の仕切りに不満らしくて
我が家に逆らいそうなの。・・・行ってもらうわけにはいかないわよね」
僕は返事に困った。 冗談じゃないよ、せっかく終わったのに。
それにトル子ちゃんの強さは半端じゃなかった。
あ、エリザベスちゃんが僕を睨んでる。僕を責めるっていうの?
自分だってそんな高飛車な頼み方しなくてもいいだろ。
きついこと頼んでる自覚が無いのかな。
もう一人で戦えないんだったら、それらしい態度で頼んでもいいと思うけど。
そこへアメリーが来た。
「みんなお疲れ様、コーラ持って来たよ」
「助かりますわ!丁度喉が渇いてましたの」
いつになく真っ先に手を伸ばすエリザベスちゃん。
「ハンバーガーは有りませんこと?」
「お、嬉しいね。そう来るかと思って持ってきたよ」
エリザベスちゃん、喧嘩の前は人にご馳走する方だったけどな。
変れば変わるもんだ。昔はエリザベスちゃんのために僕はアメリーと戦ったのに、
それが今じゃユーロ班での争いに、僕とアメリーが並んで助けに来ているのだから。
とにかく喧嘩はこりごり。
そう思ってたのに2度目の大喧嘩が起きた。今回こそ最大の大喧嘩だったよ。
「よくやったな、カナディアン」
アメリーがそう言って差し伸べた手を、僕はしっかりと握った。
壮絶だった。僕は激戦地ばかり回った。
ゲルマッハは苦境にあっても喧嘩の名人。時には撤退させられたこともある。
追い詰められたエリザベスちゃんを助けに飛び込んでいったことも。
でも戦い終えた今、これだけのことを成し遂げ、
困難を乗り越えたという達成感が僕の中にみなぎっている!
それから間もなくアメリーに呼ばれた。大事な話だってさ。
「急で悪いんだけどさ、カナディアン。
ロシアノビッチの奴、アーリアちゃんやポーラちゃんの家を押さえたまま
居座る気らしいんだよ。どうもキナ臭いことになりそうでね」
おい、またかよ!そこへエリザベスちゃんが来た。
「もう!アメリーったら、そんな話は人払いしてからでないとダメでしょ」
「何だよベス、人払いって」
「カナディアンには私から後で話すわ」
え?それってどういう意味?
「ベス、カナディアンもお前と同じ仲間だ。直接話したい」
「貴方と私が大筋を決めた後でいいわよ」
ちょ、何だよそれ!と言おうとした時、アメリーが疲れたように言った。
「なあベス、言いにくいけどさ、カナディアンの家はお前のところより安全なんだ。
前の喧嘩だって助けに来ない方がよかったんだよ。なのに来てくれたんだぜ」
エリザベスちゃんが目つきを変えて唇を噛んだ。
だけどアメリーには文句言えないらしい。アメリーは僕の肩に手を置いた。
「俺にはわかるぜ。助けて当然と思われてちゃ、やってられないって気持ち」
そこへユーロ班の他の面々がやってきた。ネーデルとベルギーだ。
「助けて欲しいんだカナディアン!
君の強さは良く覚えてる。来てくれると助かるよ」
「カナディアン、いざとなったら一緒に頑張ろうね。家が遠くて大変だけど頼むよ」
僕の胸の中に大きな何かが湧き起こった。
その2人の後ろからエリザベスちゃんが来て、
お嬢様らしい笑顔を浮かべて僕に手を差し伸べた。
「カナディアン、さっき言ったことは取り消すわ。大事なパートナーですものね」
すごい!こんなに嬉しい気持ちは初めてだ!
そんな幸せな気持ちが、他の全てを掻き消していった―――――。
「―――――まあ、今思い出してみると、
エリザベスちゃんの笑顔はちょっと固まってたかな、ハハハ。
とにかく僕はそうやって認められるようになったんだよ、ニホンちゃん」
「すごいねえ。わたし家の自立って喧嘩してするものとばかり思ってた」
「大抵の人はそう思っているんじゃないかな。
僕の場合は味方として頑張ったご褒美として、胸を張って自立したんだ」
「ご褒美?」
少し戸惑うニホンちゃん。
それを見たカナディアン君は悪戯っぽく笑いました。
「ま、今にして思えば、強い人が困っている時って、
貸しを作るチャンスだったっんだな。僕の方はそんな計算はしていなかったけどさ。
今のニホンちゃんだってそうだろう」
「え?」
「貴重な味方ほど気を使ってもらえるって事。
強い家って、そういうところは恩を受けた時もしっかりしてるよ」
おや?道の向こうを見たニホンちゃんの目に緊張が走りました。
「あ、カナディアン君そこの角を曲がってもいいかな」
「ん?いいけど」
ニホンちゃん達が曲がった後にはため息をつく少年が歩いてきました。
「最近みんなが冷たいニダ。昔は援軍に来てくれたのに、
金持ちになったらライバル視して手助けを渋ってるニダ。まったく世知辛いニダ」
おしまい
解説
解 説
投稿日: 2007/02/01(木) 16:49:35 ID:ptMXi76y
カナダ近代史
http://th.nao.ac.jp/~kudoh/canada_history.html
日本とカナダが互いに大使館を作ったのも1次大戦後です。
2次大戦でのカナダ軍はバトルオブブリテン、ディエップ、ノルマンディー、
アルンヘムで戦っていますね。
良書「カナダの旗の下で」
http://homepage2.nifty.com/readingdaily/Canada.html
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