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第2741話
マンセー名無しさん
投稿日: 2007/05/15(火) 18:36:22 ID:Ct+52GFZ
「末裔は謝罪せず」
カンコ君とチューゴ君に連日連夜つき合わされているニホンちゃんは自分も謝罪と反省を求めてみたくなりました。まあ、それでも賠償を求める気にはならない所がニホンちゃんクオリティというべきでしょうか。
とはいってもアメリー君やEU地区の方々が頭を下げるとも思えません。そこで家の倉庫を調べてみるとモンゴル君の先祖からの手紙が出てきました。
ニホン 「おお、これが話に聞いたあの手紙ね。でもこんな昔のことで謝罪と反省なんて求めていいのかなあ? でも求めてみたいな・・・」
一晩悩みに悩んでとりあえず求めてみることにしました。
そして翌日学校でニホンちゃんはおそるおそるモンゴル君に話しかけます。
ニホン 「あの・・・ちょっと謝罪と反省を求めてみたいんだけど・・・いいかな・・?」
モンゴル「僕が? ニホンちゃんに? 謝罪と反省? ええと、地球町で二番目にマル教に染まったから? それとも家技がウヨ君より上手いから?」
ニホン 「あ、いえ、そうじゃなくて。あの、ほら、昔のことで悪いんだけど、モンゴル君のご先祖様があちらこちらの家の人を率いて私の家にやってきたよね。なんか手紙が残ってたんだけどそれがひどくて失敬な内容だなあと思って。」
モンゴル「珍しいな・・・熱でもあるの? そんな昔のことで? ニホンちゃんが?」
ニホン 「うん。 かなり昔のことで全く申し訳ないんだけど・・・ゴメンね・・・・・」
謝罪を求めにきて謝罪するのは君だけだよと思いつつ、モンゴル君はニホンちゃんの持参した手紙の写しを読みました。どこが無礼なのかまるでわかりません。
モ「どこが? 失敬なの? 一体?」
ニ「あ、この冒頭の上天眷命(じょうてんけんめい)って天の慈しみを受けたって意味だよね。すこし尊大なんじゃないかなと思ったんだけど・・・・・」
モ「ああ、これ? 僕の家の言葉で長生(とこしえ)の天の力にてって意味だよ。ええと、モンテ・テングリ・イン・クチュン・ドゥルっていう書き出しの定型句をチューゴの先祖が翻訳したんだね。」
ニ「じゃあ、この大蒙古国皇帝の大は?」
モ「イェケ・モンゴル・ウルス(大いなるモンゴルの国)っていうのがその当時の僕の家の正式名称だったんだけど、
それのチューゴ訳だね。家をまとめたチンギス様がつけたんだったかな。それからずっとこの屋号だったはずだよ。」
モ「ついでに言わせてもらえば日本国王とか王国とか王とかはきちんと改行してるよね。
これは受信者側、つまりニホンちゃんの側に敬意を払ってるからなんだけどなあ。」
ニ「最後にもう一つだけいいかな・・・・・。この最後の『兵を用いるに至っては、夫れ孰か好む所ならん』っていうのはちょっと好戦的で穏やかじゃないなと思ったんだけど、どういうつもりだったんだろ?」
モ「戦争はいやだねってこと。やっと自分の帝位を安定せしめたばかりのクビライ様がとりあえず日ノ本家にも親書を送ったんだと思うよ。」
ニ「貴重な時間を使わしてしまってごめんネ。詳しい説明ありがと。休み時間終わっちゃった。」
モ「次の授業はなんだっけ。」
お話の基 参考文献
モンゴルが世界史を覆す 杉山正明 日経ビジネス人文庫
至元三年(1266)八月付け 東大寺に写しが伝わる最初の国書
なお、作中のモンゴル君のニホンちゃんに対する説明はあくまでも参考文献における主張であることをつけくわえておきます。
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