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第25話 名無しさん ◆x3A1GrPw 投稿日: 2003/10/29(水) 04:46 ID:U2SGj3.E
                      「ヒタヒタ」
 最近カンコ君家では何やら不気味な生物が徘徊しています。真夜中になると現われ家中
をヒタヒタと歩き回り 
 「ウェーッ、ハッハッハッハ」
 と笑うのです。
 「賭ける、そいつはキッチョムだ」
 話を聞いたアメリー君の予想です。
 「違うニダ、兄さんは部屋から出ていないニダ」
 カンコ君が言いました。見ればクラスの皆が来ています。
 「じゃあ何なのよ。他に誰かいるの?」
 タイワンちゃんが尋ねます。
 「・・・それが解からないから皆に来てもらったニダ」
 珍しくカンコ君しおしおです。
 「とりあえず資料は無いアルか?写真とか」
 「・・・あるニダ」
 差し出した一枚の写真。そこには足だけが写っていました。
 「・・・これで何を調査しろというのだ」
 ゲルマッハ君が首をかしげます。
 「またあんたんとこの親父さんが夜逃げしたとか」
 インドネシアちゃんの冷静かつあまりにも痛いところを衝く意見。
 そこへあの笑い声が聞こえてきます。
 「ウェーッ、ハッハッハッハ」
 「あれか・・・」
 皆が扉の方へ行きます。
 「おいキッチョム」
 扉を開きアメリー君が声をかけます。しかしそこにキッチョム君はいませんでした。
その替わりに。
 「な、何だこいつ・・・」
 そこには白く巨大な異形の者がいました。頭が胴と一緒になりしかも無数の顔があります。
しかもその顔がカンコ家の人の顔そっくり。エラが張って目は吊り上っています。手は短い
ですが足は異様に発達しています。
 「キッ!」
 その化け物は皆を睨みました。そしてこちらへ向かって来ます。
 「ハリケーンアッパーーッ!」
 タイラン君が技を繰り出します。しかし全然効いていません。
 「ウェーッ、ハッハッハッハ!」
 化け物は尚も迫って来ます。
 「くっ、ここは・・・」
 皆決めました。
 「撤退だあーーーっ!」
 化け物はヒタヒタと音を立て迫って来ます。
 まだ化け物は追って来ます。アーリアちゃんが後ろを振り向きました。
 「クロスカッターーーッ!」
 カマイタチを放ちます。化け物は真っ二つになりました。
 「やったか!」
 しかし傷口から身体が生えてきます。そして二体に増えました。
 「プラナリアかよ・・・」
 「キッ!」
 二体に増えた化け物はまた追って来ました。
 「パワーゲイザーーーッ!」
 「帝王宿命拳アル!」
 二人がそれぞれ超必殺技を入れます。必殺技で駄目ならば、と。
 それでも化け物は死にません。吹き飛ばされたもののまた起き上がります。
 「・・・こいつ不死身?」
 一同逃げ続けます。遂に台所まで追い詰められました。
 「ど、どうしよう・・・」
 「ウェーッ、ハッハッハッハ!」
 化け物の高笑いが響きます。
 「ど、どうしよう・・・」
 皆迫り来る化け物に震えています。しかしほとんど毎日戦争のこのクラスです。
たとえ震えても戦う気持ちは捨てていません。
 「ウリは逃げる二ダーーーッ!」
 「何処に?」
 「アイゴオオ・・・」
 二体の化け物が今にも襲い掛からんとしています。
 「ニホンちゃんはあたしが守ってあげるからね」
 タイワンちゃんがニホンちゃんににこりと微笑んで言いました。
 「タイワンちゃん・・・」
 その言葉にニホンちゃんは感動しました。
 しかしニホンちゃんはそれで自分だけ安全でいたいと考える娘ではありません。
友達は身を挺して助ける娘なのです。
 「けどどうすれば・・・」
 辺りを見回します。ふとある袋が目に入りました。
 「そうだ、あれなら!」
 ニホンちゃんはその袋を手に取りました。そして化け物に思い切りかけました。
 「ええいっ!」
 白い粉が化け物の全身にかかります。
 「アイゴーーーー」
 すると化け物は忽ち溶けていきました。そして後には白い水溜りだけが
残っていました。
 「やったわ・・・」
 ニホンちゃんホッと胸を撫で下ろします。
 「ねえ、何投げたの?」
 皆が尋ねます。
 「お塩」
 「塩!?」
 皆驚きます。
 「ええ。だって化け物でしょ。お塩には魔物を退けたり穢れを清めたりする効果
があるの」
 「へえ、そうだったんだ」
 皆目から鱗です。
 「とにかくこれで助かったニダ。ウリの他は皆旅行に行っていなかったから怖かったニダ」
 カンコ君もホッとしています。
 「御前の兄貴と首領は?」
 「地下の秘密基地ニダ。最近あそこから出ないニダ」
 「東映の特撮ものかよ・・・」
 皆呆れています。
 「しかしこの化け物は一体何者なのだ?」
 ゲルマッハ君が首を傾げます。
 「これは『葛城蛭子神』です」
 ハイチちゃんが言いました。
 「はい。カンコ家にいると言われる古の神で既に忘れ去られた存在です。
しかし本来は人に害をなす存在ではないと聞いております。祠を壊したり
する以外は」
 「祠?」
 カンコ君の顔色が変わります。同時に皆の視線が集中します。
 「そういえばこの前庭掃除をしている時小さい廟みたいなのを見つけたニダ。
もう誰も祀っていなかったから壊したニダ」
 「それですね」
 「そうだったニダか」
 納得するカンコ君。しかし
 「ほお、つまり・・・」
 皆が詰め寄ります。
 「ニダッ!?」
 「あんたが事の元凶かあーーーーっ!」
 「アイゴーーーーッ!」
 まあ過失犯でしたし袋にはされませんでしたがその廟を直させられ祀る事を
義務付けられました。それから葛城蛭子神は姿を現わしませんでした。

 −しかし
 「・・・食べ物は何所ニダ」
 夜の庭先でうろつくキッチョム君。虫や葉っぱまで食べているのでしょうか。その時。
 メキャッ
 何かを踏み潰したようです。それに気付かず去っていくキッチョム君。
 “ウェーッ、ハッハッハッハ。ウェーッ、ハッハッハッハ”
 地の底から何者かの笑い声が響いてきました。

解説 名無しさん ◆x3A1GrPw 投稿日: 2003/10/29(水) 04:56 ID:U2SGj3.E
看板にもなった葛城蛭子神を。最初見た時えらく怖かったな。
 こういいた話はやっぱりこっち向きですね。
 なんかこのキャラクター飯研の96位から元のキャラが出てるけど
そもそものルーツって何なんだろう。塩で死ぬかどうかも疑問。
 これがハン板のマスコットになったら怖いな。最近アサピーの顔
出たりしてるし。

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