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第77話 442 投稿日: 2004/03/10(水) 21:58 ID:Kw6ZGPjg
収穫祭

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「焼肉 言うほどうまくない 熱海によく似た観光地
暗がり 立ちんぼ 厚化粧 歌う 海雲台ブルー 
 8ビートが聞こえない街 ファジャンシルン オディイムニカ?
カムサムニダ」
 ウヨ君が元気に歌いながら、川辺を歩いていると、前からフランソワーズちゃんが
やってきました。
「ごきげんよう」
 気取った挨拶をするフランソワーズちゃんは沢山の召使を引き連れています。
「……それは?」
 連なるリヤカーには山盛の木箱。壮観な光景でした。
「あら、相変わらず世間に疎い方ね。もうすぐ収穫際でしょう?貴方の家に
出来立ての”ぼじよれ・ぬうぼお”を届に行くところですわ」
 収穫際ではその年、出来立ての葡萄ジュースを味わう日なのですわ!
 ニホン家の人々に言い回りフランソワーズちゃんは、毎年、毎年、こんなに沢山の
葡萄ジュースをニホン家に売りつけるのです。
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 ニホンちゃんは「このジュースは雰囲気を味わう為のものなんだって」と、毎年
鼻をつまんで呑んでいますが、ウヨ君は口に残る葡萄臭さのせいであまり好きには
なれません。
 どう考えたって米ジュースの方が美味いのに。
 それに”ぼじよれ・ぬうぼお”は葡萄ジュースの中でも特に美味しくないよな。 
「それでは私はこれで」
 華麗に去ってゆくフランスワーズちゃんを眺めるうちに、ウヨ君はちょっとした
悪戯を思いつきました。
「そうだ。今日の収穫際ウチに来ませんか?とても良い葡萄ジュースがあるんです。
シラク叔父さんの絶賛したジュースらしいですよ?」
「そうね。今日はお呼ばれする事に致しましょう」
 フランソワーズちゃんは上手くウヨ君の誘いに乗ってくれました。
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 ウヨ君は慌てて家に帰り、シンタロー叔父さんに悪戯を打ち明けてました。
「そうか、まあいい持っていきなさい」
 シンタロー叔父さん秘蔵の葡萄ジュースを受け取ったウヨ君は
シンタロー叔父さんにお礼を言って、今度はパーティーの準備です。
「姉さん、今日フランソワーズちゃんが来るんだ」
「うん、もう来て”ぼじよれ・ぬうぼお”届けてくれたわ」
 ニホンちゃんは何故か鼻の頭をさすっていました。
 ウヨ君が聞くと今夜の収穫際の為に鼻をつまむ練習をしているんだとか。
 ”ぼじよれ・ぬうぼお”を飲む時にいつも、強くつまみすぎて赤くなるのがこまるとか。
「そうか、頑張って、……じゃないっ!姉さん、その収穫際にフランソワーズちゃんを
誘ったんだ。だから準備を手伝ってよ」
「え、鼻をつまむ練習は?」
「知らないよ、そんなの。とにかく、かくかくしかじか」
 ウヨ君は今夜の段取りをニホンちゃんに説明しました。
「うっー、鼻をつまむ練習がぁ」
 ニホンちゃんはぶつぶつ言いながらも、ウヨ君を手伝っていました。
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 いよいよ収穫際が始まりました。
 皆は楽しそうに葡萄ジュースを飲んでいます。
 ゲルマンスキー君にアーリアちゃんはちょっと渋い顔をしていますが、
”ぼじよれ・ぬうぼお”の入ったグラスを手にしています。
 マカロニーノ君も美女がいれば不味い葡萄ジュースも格別だよ、と嘯いていますし、
アメリー君やロシアノビッチは味なんてどうでも良いのでしょう、呷るように飲んでいます。
 エリザベスちゃんはちょっとぶつぶつ言っていますが、フランソワーズちゃんとの
いつもの小競り合いの様です。
 あくまで”ぼじよれ・ぬうぼお”は祭りの雰囲気の添え物ですからね。
 さて宴もたけなわになり、ウヨ君はシンタロー叔父さんに譲ってもらった葡萄ジュース
を手にしてフランソワーズちゃんに近づきました。
「あら、武さん。どうかなさって?」
 フランソワーズちゃんの頬にはほんのり朱がさしていました。
 葡萄ジュースがほどよくまわっている様です。
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「これがシラク叔父さん絶賛の葡萄ジュースです」
「ラベルがはがれているわね」
 フランソワーズちゃんは眉をひそめました。
「効き葡萄ジュースなんていかがです?」
「あら、それは私への挑戦?それならば拒むわけにはいきませんわね」
 ポン、とフランソワーズちゃんが手を打つと、何処に控えていたのか執事が現れ、
恭しくテイスティングセットを差し出しました。
「どうぞ」
 ウヨ君はちょっと動揺しましたが、表情には出しません。
 黙ってグラスに葡萄ジュースを注ぎます。
 グラスに鼻を近づけ、フランソワーズちゃんはウヨ君に笑みを向けました。
 高貴な笑み、選ばれた人間にしかできない笑みでした。
 それからフランソワーズちゃんは舌で良く味わい。
 捨てずに飲み干し、フランソワーズちゃんの喉がコクンとなりました。
「ウチの”ぼるどお”のワインに間違いありませんわ。”しゃとお・べとりゆす”
か”るぱん”か、……」
 ウヨ君は、フランソワーズちゃんの言葉に小躍りしました。
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「そういって欲しかったのでしょう?けれど残念ですわね、これはドメーヌ・ソガ
貴方のうちの葡萄ジュースですわね?」
「……正解です」
 ウヨ君は大きくため息をつきました。
 フランソワーズちゃんは勝ち誇ることなく、ウヨ君をたしなめます。
「ヒントを出しすぎたのですわ。それに私は貴方の家のワインにも詳しいんですのよ。
なにせ、五星シェフの”あらん”は「桔梗ヶ原めるろお」「城の平かべるね・そおびによん」
「甲州しゅうる・りい」を扱っておりますもの」
 まあ、うちの葡萄ジュースには、まだまだ及びませんわね。
 勝ち誇るフランソワーズちゃんに落ち込むウヨ君を見て気を良くしたのか、
祭りに呼んだ覚えのないカンコ君が口を挟みます。
「葡萄ジュースはウリのが最高ニダ。ニホンなんかとは、……」
 カンコ君が言葉を終える事はありませんでした。
 フランソワーズちゃんが指を鳴らすと、何処からともなく現れたSPが、カンコ君を
連れ去っていったからです。
「あ、アイゴーーーー」

解説 442 投稿日: 2004/03/10(水) 22:01 ID:Kw6ZGPjg
えー話が古いですね。スイマセン。
 おかげでソースをなくしました。
 シラク大統領がフランスワインだと思ったと言う日本のワインがドメーヌ・ソガ
だったかも怪しいです。
 重ね重ね申し訳ありません。
 出来れば批評お願いします。オチが中途半端なのは勘弁してください。
 話が長くなりすぎてカットしましたんで。
 こんな話は駄目でしょうか?
 
 追伸、ウヨ君が最初に歌っていたのは、海雲台ブルー
アルバムタイトルHOTEL TIKI-POTO
ザ・ハイロウズの歌です。
 勝手にハン板住民必須の歌だと思っています。
 凄い歌詞ですよ。要望があれば全文UPします。

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