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第82話 ◆ZmaChInA 投稿日: 2004/03/19(金) 18:32 ID:4GCfERjc
『ぶれいく』

KUuuuぅ〜〜〜〜〜〜

唐突に鳴きだすのが腹の虫。こればっかりは本人の意志とは関わりなしに騒ぎ出すのだから困りますが、さりとて黙らせることも叶わじ。
「あ、あのね違うのアメリーくん靴の底の音なんですがかくかくじかじかで全然もうおなかがすいたなんてことないんだからほんとうだから気にしないでわたしぜんぜんへいきだからだいじょうぶだから」
おなかを押さえつつ全身全霊をもって現実否定モードに突入しつつあるニホンちゃんはもう涙目で立ち止まり、これでもかこれでもかと赤面急上昇で自爆中。
「あー、うんあれだ」
女の子に恥をかかすなんて男の子としてアレだよねとか心のなかで頷きつつ、アメリー君はポケットのなかからチョコレートを取り出しました。
「あーボクおなかすいちゃった、どうニホンちゃん一緒に食べない?」
「あのうそのぅ」
「いいからたべる!」
遠慮するニホンちゃんの小さなお口にぽんとひとかけら放り込んで、自分もひとかけら。道端でふたりなかよくぶれいくぶれいく〜。
不器用な優しさは使い慣れない思いやり。
「おいしいね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅん」
「イラクの奴のところのジュースもおいしいよね。ボク好きだな」
そんなこんなが嬉しくて悲しくて、もう俯いたまま、頭だけコクコクと頷くニホンちゃん。
「じゃあイラクん家よっていこうYO」
がっしりと手を握られて断ることもできなくて、仔牛のように連れられていく・・・そんな、箸の上げ下ろしもひとりでできない娘がいるかとおもいきや、あの家のあの子はいつでもどこでもひとりでなんだってできるモン。
「イラク君、ウリにもジュース飲ませるニダ」
ずかずかと他人の家に入り込んで無茶な要求、そりゃあ恥さえ書き捨てればなんだってできるもん。ただ問題なのは時と場合を弁えないのかカンコ君の宿命。
「うるせーこっちは算数の問題とけねーんだ、素人はすっこんでろッ」
「こんな問題も解けないなんて(ププ」
「ルーマの教え方が悪いんじゃねーか」
「にゃにおぅ!」
それはもう異教徒は発見次第即滅殺、泣き叫けんで謝るまで殴るのを止めない険悪なムード。
「ふたりともやめるニダ!」
イラク君とルーマちゃんの間に割ってはいりますが。空気を嫁ないのがカンコ君たる由縁、正しい発言はいつだって斜め上に浮つく下心なのです。
「気の済むまで殴り合っていいから、いますぐウリにジュースを」
「「オマエヲナー」」
右からはイラク君が、左からはルーマちゃんが・・・エラに極まるコブシとコブシの十字砲火。
かん、かん、か〜〜〜〜〜〜〜〜ん。
どこかで氏合終了を告げるゴングの音が高らかに鳴り響きました。


いとふゆ

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