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第84話 初投稿 投稿日: 2004/03/23(火) 21:41 ID:b6v6rh2E
春には小寒いある日の放課後。みんな三々五々家路に向かっています。
ニホンちゃんは、いつものようにタイワンちゃんと一緒です。
「ニホンちゃん、見てたよ。」
タイワンちゃんが話しかけます。
「え?」
「昼休みに、体育館の裏でチューゴに因縁つけられてたでしょ。」
「あ、うん。なんか『お前このごろ態度がでかいから、うちへ呼んでやらないぞ。』だってさ。」
「ニホンちゃん。ちょっと変わったね。」
タイワンちゃんは、自分の言葉への反応を見るように、ニホンちゃんの顔をのぞき込みます。
「変わった?」
「フフ、だって前だったら、こんなときは、おろおろして涙目になってたじゃない。なのに今日は、
『来てほしくないんだったら、行く必要もないわ。用があるんだったら、そっちから来たら?』
なんてきっぱり言うんだもん。」
「うん、ママに言われたんだ。いやなことがあったらはっきりいやと言わないとだめ、あいまいな
態度がいじめにつながるんだって。だから、今日は勇気をふるってきっぱりと言ったの。そしたら
チューゴくん、なんかぶつぶつ言いながら行っちゃった。」
それを聞いてタイワンちゃんはちょっぴり強い口調で励まします。
「そう、ニホンちゃんはやればできるんだよ。アジア班のみんなはね、ニホンちゃんには期待してる。
班のリーダーはニホンがいいと思ってるんだよ。誰かさんを除いてね。だから、もっともっと自信を
持ってね。」
ほめられてニホンちゃん、なんだかてれくさい気分で一杯です。
「・・・なんて、エヘ、ちょっとお説教みたいだね。あ、もうおうちだ。じゃあね。」
タイワンちゃんは小走りに、走り去ります。
今日のことを振り返って、ニホンちゃんは、自分がちょっとだけ大人になったような気がしました。
顔に当たる冷たい風が、気持ちを引き締めてくれるみたいで、とても気持ちよく感じられる帰り道
でした。

解説 初投稿 投稿日: 2004/03/23(火) 21:42 ID:b6v6rh2E
お目汚し失礼。お初に投稿します。
ソースは、「小泉首相:「おれなんか行かなくても」訪中問題 」(毎日新聞:3月19日)です。
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20040320k0000m010070000c.html

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