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第56話 かなだらま 投稿日: 2006/03/12(日) 11:40:59 ID:LNgI7bHg
「昨今のゲルマン家事情」

「……」
勉強家のアーリアちゃん、今日も読書の虫です。…いや、よく見ると本を読むフリをして、ちらちらと作業場の方をウォッチング中のようです。
作業場には三人の人影。作業場のバイトに来ているポーラちゃんとトル子ちゃん、そして二人を指導するゲルマッハ君です。
「えーっとぉ、ここはどうするの〜?」
「うん?ここはだね、この回路をEの箇所にハンダ付けして…」
「ねえねえ、私はこっちがわからないんだけど…」
「あー、こっちはね、基板があるでしょ、それを…云々…」

「……フン…」
顔赤らめながら指導する兄を見ていると、アーリアちゃんはだんだん腹が立ってきました。
「私という者がいながら兄上はっっ!!」
いてもたってもいられなくなったアーリアちゃんは、本を放り上げ、作業場に駆け込みました。
ヴワァァァン!!
「「「!?」」」
作業場が崩れるのではないかと思うほどの轟音と共に、土煙の中から眼光鋭いアーリアちゃんが現われました。
「兄上ぇぇぇ!!バイトの女にうつつを抜かすとは何事だぁぁ!!」
「べ、別にうつつなど…」
「うるさい!なら、そのだらしなく伸びた鼻の下はなんだ!!」
「こ、これは…」
「兄上なんて大嫌いだぁ!!」
「ア、アーリア、やめるん…グワァァァっ」
ゲルマッハ君の顔が歪み、眼鏡が吹っ飛びます。
「ふん!頭を冷やせ、兄上」
そう言い残して、アーリアちゃんは作業場を去り自室へと戻りました。

「…私にしては少々感情的になりすぎたか…。後で兄上には謝らねばならないな。…それにしても怒ったら腹が減った。少し早いがおやつとするか」
そう言ってアーリアちゃんがかじり始めたのは…
【シシケバブ】
なのでした…

解説 かなだらま 投稿日: 2006/03/12(日) 11:46:48 ID:LNgI7bHg
【解説】
お絵描き掲示板のkarekiさんの漫画にインスパイヤーされて書いたものです。
えー、今のドイツはトルコ、ポーランドからの外国人労働者無しには成り立たないということです。工業の面でも、食生活の面でも…

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