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第1461話  投稿日: 03/04/02 18:57 ID:FfEQixsL
「ニホンちゃんのロケットの行方」

 つい先日、ニホンちゃんは新しいペットボトルロケットの打ち上げに成功しました。
普段なら、打ち上げの様子もその行方も全面公開してしたのですが、
物が物だけにほとんどを内緒にしていました。
 全てが無事に終わったのでっほっとしていたニホンちゃんでしたが、
そんな安穏とした時間は案の定長続きしません。
「やい! ニホン、ウリナラの頭上を勝手に飛ぶなニダ!」
 興奮状態で語尾がおかしいのはいつものようにカンコ君です。
「ええ!? どうして知ってるの??」
 軌道は内緒なのに…、と驚きを隠せないニホンちゃんです。
 カンコ君はひっくり返らんばかりに胸を反らせて言い放ちます。
「ウリの情報収集能力を甘く見てはいかんニダ!
 ウリは何でもお見通しニダ!」
 どん!、と胸を叩いた拍子にポケットから一枚の紙がひらりと地面に落ちます。
「ニダッ!」
「? これなぁに?」
 慌てるカンコくんを尻目に足元の紙を拾ったニホンちゃんは
それに目をやります。
「…アメリー君のとこの回覧板? え、なんで載ってるの?」
「そ、そうニダ。天汁地汁人が汁! ニホンの悪行は隠すことは出来ないのニダ!」
 取り直したように言うカンコ君。
「ふぇぇ、せっかく頑張って内緒にしてたのにぃぃ」
 今までの苦労が水の泡になったのに涙目のニホンちゃんです。
自分で全く苦労せず一矢報いたのに満足したのか追い打ちを掛けるカンコ君ですが。
「ニダハハハ! 今日はいい夢が」
 途中で言葉を止めたカンコ君ですが、その理由はいつの間にかニホンちゃんの後ろに
立っていた人物が、彼女の手のアメリー君ちのお空広報を取ってしげしげと眺めていたからです。
 それはウヨくんでもアサヒちゃんでもなく、すらりとした長身を和服に包み、
その上から油で汚れた白衣というやや(?)ちぐはぐな姿のニホンママさんでした。
「お、お母さん…」
 白磁よりも白く淡い肌に伏目がちの眉をわずかにひそめ、方頬に手を当てて
片手にした紙を見ていました。ニホンちゃんよりも長い黒髪をアップにして
頭の後ろで纏めて髪留めで止めているニホンママさんは、誰とはなしに静かに言います。
「あらあら、アメリー君にも困ったものねぇ。せっかく家の人にも内緒にしてたのに」
 小さな口から独り言のように漏れた声は、とても困ったようには
聞こえません。習い性なのか笑顔のままなのですが、その声を聞いた途端、
ニホンちゃんは顔を真っ青にしてしまいました。その場の空気も
凍り付いてしまったかのようです。
「お、お母さん。それはアメリー君のとこで前からやっていた事だから…」
 何故か慌てて言うニホンちゃんにニホンママさんはにっこりと笑って、
そしてやや低目の落ち着いた声で答えます。
「そうね、仕方の無いことだものね。じゃ、先にママは帰りますね。
 さくらもご飯までには帰っていらっしゃいね」
 そう言うとニホンママさんは滑るような足取りで硬直したまま動かない
カンコ君に近づいて手にしていた紙を彼のポケットに入れます。
「あんまり、このようなものを落としてはいけませんよ。それじゃあね」
 顔を近づけてカンコ君の頬をゆっくりと片手で撫でて言い、
そのまま去っていきました。その足音も聞こえなくなるとカンコ君は
膝をついて崩れ落ちます。
「…こ、恐かったニダ…」
 ほんのちょっと失禁してしまったのですがいつの間にか居なくなった
ニホンちゃんにもバレる事もなく、最期の名誉を守る事が出来たのでした。
 放心したかのようにとぼとぼと足取りも遅く家へ帰るカンコ君は、
物陰でニホンちゃん以上に顔を真っ青にして、腰を抜かして
抱き合ったままガタガタと震えるウヨ君とアサヒちゃんには気付く事もありませんでした。

 その夜、アメリー君は長く艶やかな黒髪を振り乱し、鬼女の面をつけ薙刀を持った
和服姿の長身の女性に追い回されるという夢にうなされるのでした。
 後にこの体験を元に「地獄の女じぇいそん」を彼が語るのは、また別の話。

解説  投稿日: 03/04/02 19:03 ID:FfEQixsL
 &です。情報収集衛星の軌道がよりにもよって
NASAにバラされてしまったというお話です。
 個人的にニッテイさんの血はニホンママさんの方が
色濃く受け継いでいるような気がしますので
このようになりました。いつかフラメンコ先生と
ニホンママのガチンコを書いてみたい&でした。

 ネタのソースはこちら↓
  headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030401-00000106-kyodo-soci

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