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第1500話 名無しさん 投稿日: 03/04/29 23:51 ID:9nFuFfs4
         「オレンジは花の香り」
 マカロニーノ君のお兄さんシチリアーノ君は地球町でも有名な不良です。彼の名を知らない
人はおそらくいないでしょう。『暗黒の帝王』とか『ゴッドファーザー』と呼ぶ人もいます。
 元々は家のことに口出しするフランソワーズ家に対抗する為に突っ張り始めたと言われてい
ますが違います。彼とマカロニーノ君、ヨハネ君達のお父さんから家の柄の悪い人達をまとめ
る為に同じく柄が悪いが喧嘩の強い彼にまとめさせたのが始まりなのです。
 この『毒をもって毒を制す』の策は功を成したかに見えました。ですが深刻な弊害をマカロ
ニーノ家にもたらしてしまいました。
 その柄の悪い人達をシチリアーノ君が率い不良グループをつくりあげたのです。彼は優れた
統率力と悪知恵で欧州丁のあちこちで悪さを働き家に迷惑をかけるようになりました。
 この事態をお父さんは座視出来なくなり勘当しました。
 それで彼が改心したかというとそうではありませんでした。相変わらず不良達を率い町を
練り歩き喧嘩や遊びに明け暮れました。
 今シチリアーノ君は地球大学に在籍しています。けど大学にはほとんど行かず自分が率い
る不良少年達と共に『魔負異亜』というグループを結成しています。
 バイトやその斡旋の他にゲームセンターの経営、ギャンブルで稼ぐ彼は学生とは思えない
程贅沢な生活を送っています。マンションに住み黒いスーツとネクタイに身を包みマフラー
とコートを粋に着こなしボルサリーノを斜めに被った彼は指輪やブレスレットで飾りとても
目立ちます。黒いくせ毛の髪に黒の瞳に長身の彼は女の子達の人気の的でもあります。しか
し彼の荒んだ眼の光と危険なコロンの香りは同時に誰もが恐れおののきます。
 少年達を従え今日も彼は町を歩きます。そして縄張りを争うアメリー家やチューゴ家の不
良達と喧嘩を繰り返します。マカロニーノ君の兄とは思えない腕っぷしの強さと残酷な報復
で彼は地球町で最強最悪の不良とよばれています。
 そんな彼ですが自分の仲間はとても大事にします。厳しい掟で縛り外道なやり方は嫌いま
すが仲間が危機の時はどんな状況でも駆けつけ全力で救い出します。切符もよく義理人情に
も厚い為彼を慕う者も多いのです。また彼はもう一つ大事にしているものがあります。
 ある日カンコ君が家へ帰る途中マカロニーノ君の悪口を異っていました。なんでもまた
ニホンちゃんにちょっかいを出していたら横からマカロニーノ君に持っていかれたとか。
まあいつものことですが。
 「ニダーッ!マカロニーノの奴またしても!なあでウリの邪魔をするニダ!」
 邪魔じゃなくて彼がニホンちゃんをたすけだしたんですが。まあ下心見え見えなんです
けどね。
 「大体あいつは弱いくせに生意気ニダ!しゃ(略」
 と顔をキムチ色にして火病になっているとシチリアーノ君が通りかかりました。
 「ん、坊主、その弱いってのはマカロニーノの事だな?」
 「そうニダ。おっさん何者ニダ?」
 とりあえず口のきき方には気をつけましょう。
 「そうか」
 シチリアーノ君は頷くと腰を下げ右アッパーをカンコ君に浴びせました。彼の
必殺技『コーザノストラ』です。
 一撃で吹き飛び気絶したカンコ君を見下ろし彼は言いました。
 「あいつの悪口を言う奴は許さん。例え誰だろうとな。でこれはおまけだ」
 そう言うと簀巻きにして川にほうり捨てました。
 「シューキューの時は世話になった。礼はいらんぞ」
 葉巻にライターで火をつけながら何事もなかったかのようにその場を立ち去り
ます。彼の後姿には凄みに加え哀愁も漂っていました。

解説 名無しさん 投稿日: 03/04/30 00:34 ID:piAbX/IK
 えー、総督府でお話した事情により直接入力です。今回のソースは音楽之友社から出ている
『トスカ』に載っていたシチリアンマフィアの記述です。興味のある方は是非一読して下さい。
 シチリアーノ君のキャラクターは以前名前が出ていたので書こうと思いました。モデルは映
画『ゴッドファーザー』とかアメリカ映画のマフィアです、相当美化してるな。ちなみにタイ
トルはマスカー二のオペラ『カヴァレリア・ルスチカーナ』の主人公トゥリッドゥのアリアか
らとりました。シチリアを舞台にした間奏曲で有名なオペラですが名作です。よろしければこ
ちらもどうぞ。

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