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第2006話 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/10/06 22:55:28 ID:0LhHZ2Hp
               「キツネ愛護」
 クラスでフランソワーズちゃんと双璧を為すお騒がせお嬢様である
エリザベスちゃんですが彼女の嗜好は極めて特徴的です。
「如何でして、今日のは」
 彼女は首にキツネのマフラーをするのが好きなのです。
 まずはキツネを追い立てます。そして捕まえてからマフラーにして
首に巻くのです。
「それって動物虐待じゃないのか?」
 皆それを聞いていつも首を傾げます。
「あら、どうしてですの?」
 エリザベスちゃんはそれが不思議でなりません。
「いや、見たらわかると思うが」
「それにキツネって犬とかに追い立てられて捕まってるんでしょ?
それ考えると可哀想よ」
「ウフフ、皆さんわかっておりませんわね」
 元々彼女は自分の世界を強烈に持っています。嫌になる程濃い
世界を。
「これは誇り高き我がエリザベス家のしきたり。何か問題がありまして?」
 彼女には何が悪いのかわかっていません。そもそも悪いことという
概念もありません。
「これは言っても駄目だな」
 そう考えた皆は翌日学級会を開くことにしました。テーマは彼女の首の
マフラーです。
「さて、どうしたものか」
 彼女がまだ来ていないうちに学級会ははじまりました。
「いないうちにやっておくか」
 しかしそうや問屋が卸しません。
「わたくしのいない間に話を進めるのは許しませんことよ!」
 派手な爆発と煙と共にエリザベスちゃん登場です。全身を漆黒の鎧に身を
包んでいます。顔には仮面までしています。しかも楯まで。完全装備です。
「ダリューン!?」
「黒太子だろ、多分」
「その通り」
 答えると共に威風堂々とクラスに入って来ました。
「わたくしのキツネのマフラーについて色々と御意見おありのようでしてね」
「大ありだよ」
「ふふふ」
 皆の反論に対して悠然と微笑み返しました。
「アメリー、貴方は昔牛を水鉄砲で撃っていましたわね、一家全員で」
「ザクッ」
「チューゴ、貴方は熊猫。今もでしたから」
「グフッ」
「ロシアノビッチ、クロテンは可愛いものですわね」
「ドムッ」
「フランソワーズ、フォアグラはまた食べたいですわね」
「ギャンッ」
「それから」
 エリザベスちゃんの攻撃は続きます。皆脛に傷を持っていますから
何も言えません。彼女の大逆転勝利かと思われたその時。
「そんなことを言ってもキツネさんが可哀想なのは変わらないよ」
 ここで環境派緑豆君が登場です。
「エリザベスちゃん、キツネさんだって追い立てられたり首に巻かれ
たりしたくないよ。そんなことを言っても駄目だ」
「う・・・・・・」
 流石に彼には反論できません。何しろ彼は独善的な程までに動物に
関しては無限の愛を注いでいるのですから。独善的に。
「皆いいかな」
 そして彼は皆に声をかけました。
「早速投票に入ろうよ。いいね」
「了解」
 こうして選挙が行われました。結果エリザベスちゃんはキツネの
マフラーをすることができなくなりました。
「これでよし」
 緑豆君は結果を見て会心の笑みを浮かべました。
「おいで」
 そしてエリザベスちゃんの首に巻かれる予定だったキツネをあやします。
「もうあんな目に遭わなくていいんだよ」
「コン」
 キツネはあやされながら嬉しそうに鳴きました。
「・・・・・・・・・」
 エリザベスちゃんはそれを苦々しげに見ていました。けれどキツネ
の顔を見て表情を変えました。
「緑豆もたまにはいいことをするのでしてね」
 スッと微笑みました。
「今日のところは引いて差し上げますわ。マフラーは他にあることですし」
 そしてエレガントにその場を立ち去りました。

解説 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/10/06 23:00:39 ID:0LhHZ2Hp
 今回のソース。イギリスのキツネ狩り禁止法案
とその攻防。
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040917-00000014-san-int
 最近エリザベスちゃん出番多いような。変な事件や話が続くなあ、イギリスで。

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