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第2013話 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/10/14 00:36:04 ID:F2bWVWfa
「お髭を生やした女の子」
 女の子も男の子もファッションに凝っているものですが最近何かと
怖いお話の多いルーマちゃんのファッションは皆とはかなり違って
います。
 外見は特に凝ってはいません。いつものセーラー服にマントといった
出で立ちです。これはこれでかなり個性的なのですが。
 問題は彼女の顔にあります。かなり普通とは違うことをしています。
 それはお髭です。何と彼女は最近付け髭を付けているのです。何か
ダンスを踊りそうな程見事なお髭です。
「どう、似合う?」
「う、うん」
 皆遠慮して何も言えません。ただ遠慮がちに頷くだけです。けれど
あえて彼女に尋ねる勇者もいました。
「あの、ルーマちゃん」
 ニホンちゃんがおずおずとした態度で彼女に尋ねました。
「どうしたの」
「そのお髭なんだけれど」
「うふふ、いいでしょ。お店でかなり念入りに選んだのよ。高かった
んだから」
「うん・・・・・・」
 中々言えません。ご機嫌な彼女を見ているとどうしても気が引けます。
けれどそれでもあえて勇気を振り絞って尋ねることにしました。血を
吸われたらその時はその時です。
「そのお髭なんだけれどどうして付けているの。お洒落なのかな」
「それもあるわ」
 ルーマちゃんは嬉々として答えてくれました。
「うちではね、女の子はお髭がないと駄目なの。だから付けているのよ」
「何故ですか!?」
 これにはニホンちゃんだけでなくクラスの皆が驚いて尋ねました。
「ほら、よく毛深い人は情け深いっていうでしょ」
「それはまあ」
 けれどそんなことを言ったらロシアノビッチ君のお家の人なんかは
聖人君子揃いになりますがそれはあえて口にはしませんでした。
「うちでもそうなの。髭がないともてないのよ。薄情な女だって思われて」
「そうなんだ」
「だから付けているのよ。皆も生やしてみたら」
「う〜〜〜〜ん・・・・・・」
 流石にこれは納得しかねます。下手をすれば馬鹿殿様より恥ずかしい
格好になります。かなり勇気がいるのは間違いありません。
「ニホンちゃん、どうする?」
 タイワンちゃんが不安そうな顔をして尋ねます。
「ううん・・・・・・」
 ニホンちゃんも考えています。流石にこれはしようと思ってもできる
ものではありません。
「お髭はねえ。今うちではあまり流行っていないし」
「うちも」
 アジア町では元々毛深い人もあまりいませんし今では人気がありません。
ニホンちゃんのお家の本家では生やしておられる方もおられますが。
「似合う人と似合わない人の差が激しいしね」
「あたし達なんか絶対似合わないよね」
「うん」
 彼女達だけでなく皆そんな理由で付け髭はしませんでした。
けれどルーマちゃんは相変わらず付けていました。けれどある日
急にそれを止めてしまいました。
「どうしたの?」
「うん、ちょっとね」
 彼女は照れ臭そうに笑いながら答えました。
「うちのお爺ちゃんが」
「またあの人か」
 皆そう思いながらも話を聞きます。
「煙草をしている時にお髭を焦がしちゃって。それで頭にきて髭を
生やすのを禁止したのよ」
「それって自分が悪いんじゃないのか?」
「相変わらずとんでもない爺さんだな」
 皆そうは思っていても決して口には出しません。恐いからです。
「それで止めたのよ。何かお口とお鼻のところが寒くて嫌なんだ
けれどね」
「そうなんだ」
 かくしてルーマちゃんのお髭はなくなりました。これをこっそり
見てホッと胸を撫で下ろす人がいました。
「よかった、姉さんが真似しなくて。何だかんだ言ってすぐ影響される
ところがあるからなあ」
 ウヨ君はどうもお姉さんのファッションも気になって仕方がないようです。

解説 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/10/14 00:38:54 ID:F2bWVWfa
 今回のソース。ルーマニアではお髭を生やした女性が人気だそうです。
ttp://azoz.org/archives/000243.html
 まあ毛深い人は情けが深いとは言いますが。実際ロシアの女の人は
髭が生えるとは聞いています。

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