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第2160話
ab-pro
投稿日: 05/02/18 00:16:20 ID:cJno0Ch+
とある日の休み時間。ニホンちゃんがノートと睨めっこしながら勉強中のようです。
「ハイ、ニホンちゃん!一体何を勉強しているんだい?」
「歴史の勉強よ、アメリー君」
「・・うっ」
気軽にニホンちゃんに声をかけたアメリー君ですが、歴史という単語を聞いて思わ
ず仰け反りました。勉強なら何でもこなせる優等生のアメリー君ですが、歴史の教科
だけは苦手のようです。
それに比べて歴史は大の得意のニホンちゃんですが、クラスには更に上手がいるの
です。
「歴史の勉強アルか?ニホンちゃんも頑張っているアルね」
「チュウゴ君はやっぱり余裕ね。ねえ、問題出していい?」
「いいアルよ」
学年でいつも歴史の成績のトップを競っているチュウゴ君はやっぱり余裕のようで
す。いそいそとこの場を逃げ出したアメリー君を尻目に、ニホンちゃんの出題を待ち
かまえます。
「では、第1問です。科挙とは何でしょう?」
「科挙アルね・・・」
その問題に、チュウゴ君はすぐに「科挙」に関する知識が思い浮かびました。
それは、広大なチュウゴ家の中の、ニホンちゃんなら名前も知らない農村。
水道も電気もないこの村のある家で、村人が総出で一人の娘を囲んでお祝い事を述
べています。
「良かったアルよ。この村で大学に合格したのは娘々が初めてあるよ」
「これで農村戸籍から離れて、北京の間に堂々と住めるアルよ」
朗らかな村人の笑顔の中で、しかし、とうの娘はなぜか沈痛な面持ちで父親を見つ
めます。
「でも、お父さん。入学金の八万円なんて大金、無いアル。私はこのままここで働
くアルよ」
八万円といえば、父親の5年分の総年収。ただ生きて行くだけの生活しか出来なか
ったこの村で、そんな大金があるはずがありません。
「大丈夫アル。昨日、牛を売ってきたアル。これで何とか七万円は揃ったアル」
「・・・そんな。牛がいなかったら畑仕事はどうするアル!それに後1万円は・・」
「それは大丈夫アル。村のみんなでお金を出し合ったアル。娘々は安心して北京の
間で勉強するアル」
父親と村の人々は、暖かく娘に頷きます。何も心配は要らないのだよ、と。
「・・・・ありがとうアル。・・・勉強頑張るアル!!」
とてつもなく重い、大学入学の切符を手にして、娘は涙を流しながらみんなに誓う
のでした。
「官吏登用のための資格試験アル。試験の結果によって貧しい農民にも貴族にも平
等に大臣になるチャンスがある、実に効率的なシステムアル」
「正解。さすがチュウゴ君。では、第2問。直訴とは何でしょう?」
今度も余裕の笑みを浮かべて、「直訴」に関する知識を思い浮かべます。
「ここはチュウゴ君の第二勉強部屋にするアル。さっさと退くアル!!」
棍棒を手にした役人達が、そこで怯えている人々を乱暴に追い立てます。
「ここは昔からの私たちの部屋アル・・・」
「うるさいアル!この部屋ではお役人様が法律アル!!」
そう言うと、乱暴な男達は容赦なく棍棒を振り下ろすのでした。
「あまりにも非道いアル。こうなったら北京の間に行ってチュウゴ君に直訴するアル。
チュウゴ君も役人の横暴は直訴するように言っていたアル!!」
こうして、なけなしのお金を集めて北京の間に向かう人々。そして北京の間には、同
じようにチュウゴ君に直訴しようとして集まった人々が溢れていたのでした。
「何アルか。あの汚い従業員達の群れは?」
ボディーガードに伴われながら北京の間に帰ってきたチュウゴ君は、異様な目つきで
自分を見つめる従業員の群れに、思わず一歩後ずさります。そんなチュウゴ君に、ボデ
ィーガードの一人が耳打ちして事情を説明します。
「・・・直訴アルか!折角直訴する権利を保障してやったのに、感謝するどころか権
利を乱用しようとするのは許せないアル!排除するアル!!」
チュウゴ君の号令いっか、あっという間に直訴者の群れを排除するボディーガード達。
その光景を見ながら、チュウゴ君は秩序が一番と思うのでした
「一定の手続きを経ないで、一番上の人に訴え出ることアル。秩序を乱す行為アルか
ら、直訴を行った者は罰を受けるアル」
飄々と答えるチュウゴ君に、ニホンちゃんは素直に感心しました。
「すごいね、チュウゴ君。私も歴史の勉強、もっと頑張って良い点数取らないと」
「ははは、それは無理アルよニホンちゃん!!」
そう言って笑い出rチュウゴ君。
「だって、歴史の勉強と言いながら、現代社会の勉強をしているアル。これじゃあ、
歴史のテストで良い点とれないアルよ!!」
なおも笑い続けるチュウゴ君に、ニホンちゃんはただただ首をひねるしかありません
でした。
END
中国には都市戸籍と農村戸籍があり、戸籍の変更できる唯一のチャンスが大学入学で
すが、農村で入学金八万円は年収5年分とのこと。
なお、建築現場等に出稼ぎに出てきた農村戸籍の労働者達は「民工」と呼ばれ、公共
サービスは受けられません。
胡錦涛主席は民工の保護を進めているようですが・・・・まだまだ。
「直訴」は、贈収賄が歴史的に横行する中国で、弱者救済のために公に認められた権
利ですが、最近、取り締まりが強化された模様。
最近は数万人規模の暴動が頻発し、北京には直訴に訪れた住民が5千人ほど直訴待ち
をしているみたいですし。
今回は「ニホンちゃんのチュウゴ君講座」のつもりで書き始めて、途中で作品に変
更しましたので、お見苦しいところがあるかもしれませんが、損害賠償請求はご勘弁の
程を^^;
それでは
科挙
http://www.president.co.jp/pre/20020930/001.html
直訴
http://musume80.exblog.jp/1563418/
http://www.sankei.co.jp/news/050120/kok071.htm
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