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第2286話
喪神の森 ◆fkG.pq.HHI
投稿日: 2005/07/03(日) 13:11:05 ID:cWRAq92e
「隷属による豊かさよりも、貧しくとも自立を」
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クーロイ君は大きな花園を持っていました。
とても大きな花園なので、手入れも大変ですが、それだけにやりがいもあります。
幾つかの野菜と、幾つかの花、整理はされていませんでしたが、クーロイ君は満足していました。
ところが、ある日、フランソワーズちゃんがクーロイ君の花園を見て言いました。
「あら、こんなの花園じゃなくてよ。本物の花園を作って差し上げますわ」
フランソワーズちゃんは、頼みもしないのにクーロイ君の育てた野菜や花を引き抜き、
辺り一面をアイリスで埋め尽くしてしまいました。
「僕は前の花園の方が良い」
「貴方も少しは雅なものを愛でるべきですわ、貧相な花園なんてつまらないでしょう?」
珍しいクーロイ君の自己主張ですが、フランソワーズちゃんは意に介そうとしません。
「貧相でも自由な僕の花園を返してよ!」
クーロイ君の必死の形相に、フランソワーズちゃんは「そう、なら勝手になさいな」
と、冷たく言い捨てて帰ってしまいました。
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クーロイ君の元に残されたのは、荒れ果てた花園だけでした。
フランソワーズちゃんは、アイリスを植えた代金といって、元からあった野菜や花を
根こそぎ持っていってしまいました。
勝手に植えた植えたアイリスさえも「気に入らないんですわよね?」
と、持ち帰ってしまいました。
クーロイ君の目の前には荒野と化した花園が残されました。
「僕の花園返してよ、」
虚ろなクーロイ君の瞳は、かつての花園を映しているのでしょうか?
嘆いていても花園が元に戻る事はないのです。
クーロイ君は気丈にも涙を拭って、一人で鍬を振るいます。
また元の大地に戻ることを信じて。
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雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、長く辛い乾季と、短い雨季に耐え、
クーロイ君は毎日、毎日、鍬を振るいました。
それでも花園は荒地のまま、荒れ果ててゆく一方です。
クーロイ君がどんなに頑張っても、神様は答えてくれそうにありませんでした。
「クーロイ君どうしたの?」
途方に暮れるクーロイ君に声をかけたのはニホンちゃんでした。
「あ、ニホンちゃん、……」
クーロイ君は、ちょっと迷いましたが、ありのままをニホンちゃんに語りました。
話してどうにかなるとは思えませんでしたが、とにかくすがる物が欲しかったのです。
「……私も手伝って良い?」
ニホンちゃんの意外な申し出に、クーロイ君は黙って頷きました。
とても嬉しい申し出でしたが、ニホンちゃんはどう見ても逞しそうには見えません。
小さな女の子が一人増えたところで、この絶望的な仕事が終わるとは思えなかったのです。
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ニホンちゃんの仕事振りは鬼気迫るものでした。
クーロイ君が働いていないニホンちゃんを見えるのは短い睡眠と、わずかな食事の時間だけ。
何の得にもならない、それどころか損にしかならない仕事です。
最初は疑っていたクーロイ君もニホンちゃんに負けじと、必死で働きました。
鍬を振るう手がどんなにボロボロになっても、クーロイ君は苦痛にまけません。
だって、荒地は整備され、少しだけ野菜が穫れるようになりましたし、ポツポツと、
野草が咲くようになりました。
だからクーロイ君は、やがて昔の花園を取り戻せると信じられるようになりました。
それは恩人がいたからこそです。
「ニホンちゃんありがとう」
クーロイ君はどんなに感謝しても感謝し足りません。
そんなクーロイ君の感謝に、ニホンちゃんはいつものように照れ笑いを浮かべるのでした。
END
解説
喪神の森 ◆fkG.pq.HHI
投稿日: 2005/07/03(日) 13:16:55 ID:cWRAq92e
ソース 黄金の軌跡
http://www.geocities.jp/guineo77/book.htm
隷属による豊かさよりも、貧しくとも自立を選ぶ」と高らかに宣言し、
フランスから独立した誇り高きアフリカの国ギニア。
しかし、地図もフランスに持ち去られ、<←勝手な追記>
<中略>
日本とギニアの測量士たちがそれぞれの誇りをかけ、プロジェクトを
やり遂げた末に見たものは。
言い訳、まずカンコ君が出てこないのは、このあとクーロイ君=サンコンさんネタ(ギニアつながり)で、
ここ変ネタを書こうかと思ったんですが、作品がさらに駄目になりそうなんで止めました。
本当は総督府に貼るつもりだったんですが、なにかときな臭いので、こっちに貼る羽目に、……
出来は正直、微妙。
もう少し工夫しようがあったかも、・・・・・・・・
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