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第2758話 不吉な組み合わせ 投稿日: 2007/06/08(金) 07:08:58 ID:KeigFY11
【1/5】
 ある日の下校時間。ニホンちゃんとアメリー君が並んで歩いています。なにか真剣に話し込んでる様子ですね。

「だからさ、もうクジラを獲るのあきらめなよ、ニホンちゃん。今まで獲ったクジラの肉の在庫もだぶついて、倉庫に山積みらしいじゃないか」

「アメリー君、これは単に需要と供給の問題じゃないのよ。日の本家の伝統のためにクジラを獲るのは続けなきゃいけないの。
そもそもその需要が落ち込んだのだってクジラ会議でアメリー君やオージー君が私にクジラを獲らせないようにして供給がずっと細くなったせいなのよ」

「僕やオージーだけじゃない。エリザベスもフランスワーズもそしてゲルマッハにイン堂でさえもうクジラは獲るべきじゃないって言ってるじゃないか」

「アメリー君だって『ラスカちゃん分』とかいって獲って・・・」

「あれはニホンちゃんのとは違うよ。ラスカだけの分で他のところへは売ったりしないし」

「今月のクジラ会議での私の提案もそういうのだったんだけど反対したよね」

「それとこれとはまた別の話だよ。ニホンちゃん家とボクの家では流通ルートが違うだろ」

「なにが違うっていうのよ・・・」

大きな徒労感と深い失望感をもってニホンちゃんは大きなため息をつきました。
思えばクジラ会議の後はいつもこんな気持ちになっていることをしみじみ思い出します。
【2/5】
「ニダ、ニダ、ニダ。ニホンは地球町の総意に逆らってクジラを獲ってるニダ。
ホントニホンは協調性がないアジア町の嫌われ者ニダねえ」

そこへアワ・ヒーローカンコ君がキムチ臭を漂わせながらやってきました。
頭には●(ヒノマル)マークのヘルメットをかぶり、
さらに手には「● NO WHALING」と書かれた横断幕を振っていました。

「違うもん全然総意じゃないもんノルウェイ君もまふゆちゃんもクジラ獲って食べてるもん・・・・・・って」

ニホンちゃんはカンコ君の姿を見て疑問に思いました。

「えっ?カンコ君までクジラを獲るなって言うの?前の会議までずっと私の言うことを支持してくれてたじゃない!」

「ホルホルホル一体ニホンは何のことを言ってるニカ?賢い神聖な海の動物をモリで刺して食う野蛮なチョッパリを東方礼儀の一族の末裔たるウリが肩を持つ理由がどこにあるニカ?
ウリはいままでもずっとニホンのクジラ獲りには反対だったニダ。
過去を捏造したニホンは反省シル!謝罪シル!賠償シル!」
【3/5】
「さあニホンちゃんも!もうクジラなんか食べなくても良いじゃないか。そんなわけでいい加減ウチのスーパーの牛肉買いなよ。安くしとくよ!」

「ニダニダニダウリがトウ池で獲ったサカナお情けで売ってやるニダ。ニホンはウリに100万回感謝シル!援助シル!朝貢シル!」

どうやらカンコ君はアメリー君に買収されたようです。ニホンちゃんは無言・無表情でしたが、
その全身から明らかに怒りと無念のオーラを噴出しています。そのオーラにさすがの2人も声をかけるのを憚りました。
そしてニホンちゃん、しばらく俯いていたかと思うと不意に顔を上げ、

「アメリー君!」

「な、なんだい・・・」

「私決めたわ!今度から自分で新しいクジラ会議を開くって」

「・・・・・・・・・・えっ?」

「ニ、ニカ?」

「だって今の会議はもう目的を見失ってるじゃない。本来クジラを資源として管理するための集まりだったはずなのに
いつの間にか獲るか獲らないかの是非に問題が刷り替わっちゃってるでしょ?
だから作るの、本当にクジラの事をちゃんと考えられる人だけのそう!新クジラ会議を!」

「HAHAそんな身勝手な会議にどれだけの人が参加するっていうんだい?せいぜいノルウェイとまふゆちゃんが賛成するくらいじゃないのかい?」

「そ、そうニダあんなちっぽけな家が集まって決めることなんか誰も納得しないニダ」
【4/5】
「新しい会議ねぇ〜面白そうじゃねえかぁ〜」

「朕も興味があるアルな」

いきなり後ろからロシアノビッチ君とチューゴ君が現れました。どうやら少し距離を置いてずっと耳を伺っていたようです。

「おい、お前らまさか・・・・・・」

「文句あんのか?アメリー。オレは前々から気に入らなかったんだよ
サカナも獲らない家の連中に獲るなって言われてんのがな。あいつらお前が会議に連れてきたんだろう?」

「アメリーやオージー、EU町の連中はクジラを獲るの減らせれば他のサカナの
漁獲量も減らせられる思うてるアルね。それぐらい朕にはお見通しよ」

「じゃあ2人とも私の新会議提案に賛成してくれるの?」

ニホンちゃんは今日初めての笑顔をロシアノビッチ君とチューゴ君に向けました。

「漁業に関する事となりゃ黙っちゃいられねえな(ニホンに貸しを作れるぜ・・・)」

「ウチにとっても水産部門は譲ることの出来ないセイメイセンアル(ニホンに恩も売っとくアル)」
【5/5】
それを聞いたカンコ君、急に目と体を泳がせて忙(せわ)しなくなりました
(ニ、ニダ〜まずい展開ニダよ〜なんであの2人がニホンにつくニカ?)
それはもちろん2人ともしっかりとした打算に基づいて行動してるだけの事ですが、
アメリー君の買収に目がくらんだカンコ君ではそこまでの結論に至らないようです。

「カンコ」

「ニ、ニダ!チューゴニム!」

「朕の反対勢力に身を置くとはいい度胸アルな。ちょっとウチに来るアル。歓待したいアルから」

「いやいやオレん家に来いカンコ。カァゲェベェ地下室で社会科見学させてやっからよ」

「アワワワワワ。ニ、ニホン!謝罪と賠償を請求・・・じゃなくて助けてハセヨ〜」

「カンコ君、私たちとじっくりクジラの未来について語り合いましょ(はぁと)」

その瞬間、ニホンちゃんの1億円スマイルがカンコ君の目には悪魔の笑みに映ったのでした。

「ア、アメリー君」

最後の望みをかけてアメリー君に助けを求めますがアメリー君はなぜか凍ったように固まってしまいカンコ君の声も聞こえていないようです。

「さあ行きましょう新クジラ会議の為に」「アルな」「オウ」

ド○ドナの子牛よろしくカンコ君は3人に引きずられて行きました。

「ア――――――イ――――――ゴォ―――――――!!(涙)」

「日ノ本家、ロシアノビッチ家、チューゴ家か、なんともアメリー家には不吉な組み合わせだな・・・」
残されたアメリー君がひとり呟きました。

解説 マンセー名無しさん 投稿日: 2007/06/08(金) 07:42:01 ID:KeigFY11
【解説】
初作品です。長くなりすぎたかな。

ソースは日本の捕鯨の新国際機関設立の発言とソウルの日本大使館前での反捕鯨のデモです。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2231760/1636135
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/30504.html

昨年度のIWC(国際捕鯨委員会)の各国の投票はこちら
http://globalwarming.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/whale/pdfs/iwc58_kg.pdf

アメリー君が不吉な組み合わせと言ったのは
日本・・・昔の敵  ロシア(ソ連)・・・ちょっと昔の敵  中国・・・未来の敵
という意味です。

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