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第53話
かなだらま
投稿日: 2006/03/09(木) 23:38:46 ID:UlkXFRQS
「オージー君とニホンちゃん」
オージー君とニホンちゃんはお互いに家も近く、大の友人同士です。しかし、二人は昔から仲良しという訳ではありませんでした。
それでは、二人の過去を見てみましょう。
「オージーくーん、遊びまーしょー」
オージー君ちの玄関先に立つは小さな小さなニホンちゃん。今の可愛さとは別の、守ってあげたくなるような可愛さです。
この頃はおじいちゃんが起こした大喧嘩の余韻でアンチ日之本がまだまだ多かった時代。ニホンちゃんは、少しでも友人を増やそうとあちこちの家へ声をかけていました。
「もしもーし、オージーくーん…」
大きな声を出しますが、家の中からは返事がありません。
「またお留守なのかなぁ…」
そうぽつりと呟いて寂しげにオージー家を後にするニホンちゃんを、家の中からじっと見つめる男の子がいました。オージー君です。
「ねぇママ。どうしてあの子とは遊んじゃいけないダスか?」
「オージーちゃん、前も言ったでしょ?あの日之本家は私達の敵だったのダスよ?」
「でも、全然乱暴そうじゃないダスよ。むしろ可愛いダス(照」
「何言ってるダスか。日之本家は私達と違って彼らは低俗なオーショクジンシュなのダスよ!」
幼いオージー君にはオーショクジンシュの意味が分かりませんでしたが、お母さんやお父さんの言い付け通り、ニホンちゃんと遊ぶことはありませんでした。
オージー家はエリザベス家の分家。しかも、勝手に分かれたアメリー家とは違い、正式な分家でした。
だからこそ、オージー君の両親はエリザベス家の「血」にこだわりました。地主だったアボリさんを離れに隔離し、同居人だったタスマンさんを追い出し、専らエリザベス家とだけ商売をしてきたのです。
しかし、時代はグローバリズム。エリザベス家だけに頼っている訳にはいられなくなり、ついにオージー家は方針転換を決意することになったのです。
「あー、そういえばそうだったよねー。しょっちゅう通ったけど相手してもらえなくて…」
「ほんとうに、あの頃は悪かったダス」
「もう気にしてないよ。だって今のオージー君、優しいもん」
「だって、ニホンちゃんは可愛いから…」
「え?」
「いや、なんでもないダス。ははは…」
「???オージー君何だか変だよう〜」
こうしてオージー君は秘かな恋心を胸にしまうのでした。
解説
かなだらま
投稿日: 2006/03/10(金) 00:06:47 ID:wv9hiCgd
【解説】
今年は日豪交流年(
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/australia/j_aus_2006/
)なんやそうです。ということで、日本とオーストラリアの関係史をさらーっとなぞってみました。
昔は敵国同士でしたが現在のオーストラリアでは日本語や日本文化が人気やそうです。
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