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第54話 貼り逃げ男 投稿日: 2006/03/11(土) 18:16:09 ID:7ZwyvAi9
「終わりと始まり」

マンシューさんと言う人がいました。
現在はチューゴ家で生活している彼女ですが、昔はニッテイさんと仲良くしていました。
かつて日ノ本家はロシアノ家との喧嘩に辛うじて勝利しましたが、マダマダ油断できません。
この頃ロシアノ家の実権を握っていたスタリンと言う男は、とても猜疑心の強い男で、
とてもマンシューさんと日ノ本家の背中は任せられませんでした。
そこで、ニッテイさんの弟であるリクグンさんが日ノ本家からマンシュー家に派遣し、
マンシューさんに、少しでも強くなってもらおうと考えていました。

リクグン「マンシューさん。私が貴方を一人前のレディーにしてみせましょう」
マンシュー「…は、はぃ…」
リクグン「ハハ、大丈夫です。私が道具の使い方を教えますので。
      言うとおりにしてただければ、貴方の身の安全は私が保証します」

相手の少々癇に障る態度にムッとするマンシューさんですが、
力ではリクグンさんには到底叶いません。渋々従う事にしました。
と。そこに近づく影が。

チョー「朕にも手伝わせるアル。マンシューとは旧知の仲アル。
     朕はこのマンシュー家の周囲の家に顔が利くアル、力になれるアル」
マンシュー「ち、チョーさん…」
リクグン「判りました。では貴方にもご参加いただこう」
チョー「宜しくアル。(コイツがニッテイの手先アルか。どれ、手並み拝見と行くアル)」

━━━━━それから時は流れ、、、
マンシューさんはそれまでの引っ込み思案な性格から、一人前の女性になっていました。
しかし、その一方でそれまで引っ込み思案なマンシューさんを利用し
発言力を持っていたチョーさんは面白くありません。
リクグンさんも、物を言うようになったマンシューさんには悩まされましたが、
マンシューさんは自分の事を考えてくれるリクグンさんに、時には甘える事もありました。

マンシュー「リクグンさん、アジア号はいつ出来るのですか?」
リクグン「あれは日ノ本家の総力を挙げて作りだすものです。簡単にはいきません」
マンシュー「私は早く乗りたいのです。。乗ーりーたーいーのですぅ」
リクグン「あー…判りました。作業を急がせましょう。」
マンシュー「てへ、すみません。何だか急かしちゃったみたいですね」
リクグン「いえいえ。」

2人は人目も憚らず、のほほんとしています。
と。そこに電信柱の影から刺すような視線が…。

チョー「…リクグンめ。東夷の分際で近頃調子に乗っているアル。
     マンシューは朕に惚れているアル。朕とマンシューは相思相愛だったアル。
     にも関わらず、リクグンは仲を裂こうと企んでいるアル。日本鬼子め。許さんアル」

チョーさんはかなりの巨漢でした。
その分厚い皮膚で覆われた脂肪は、10万回や20万回殴られてもビクともしません。
故に、自分より背の低いリクグンさんを舐めきっていました。

リクグン「…そろそろ手を打つか…」
マンシュー「でね、あと庭もキレイにしたいし、あとねあとね…リクグンさん?」
リクグン「え、ああ、そうですね━━━━」
マンシュー「…もう。ちゃんと聞いて下さいよ。ですから、リクグンさんにですね…」
リクグン「…ちょっとすみません、日ノ本家に戻ります」
マンシュー「え?ええ?ちょっと、リクグンさぁん」

それから暫く、リクグンさんは帰ってきませんでした。
その後、チョーさんはマンシューさんとリクグンさんが手がけた作品や事業を、
頻繁に邪魔するようになりました。

ある日、チョーさんがマンシューさんに詰め寄ります。

チョー「リクグンめ、尻尾巻いて逃げ出したアルか?
     マンシュー、所詮日本鬼子などこの程度アル。一体どうしたアルか?
     近頃のお前は朕は好きになれないアル。昔に戻って欲しいアルよ」
マンシュー「私の前でリクグンさんの悪口は止めて。
        確かに強引だけど、貴方よりはずっと私を見てくれる人よ。」
チョー「アイヤー、マンシューがこんなに可愛げが無くなったのも、全部リクグンのせいアル!
     リクグンが作ったモノなど、我が中華には必要ないアル!こんな劣悪なモノは、こうしてやるアル!
     アジア号も壊してやるアル!偽札をばら撒いてリクグンの信用を無くさせてやるアル!」

チョーさんによって、リクグンさんが作った作品の一部が壊されてしまいました。

マンシュー「やめて。もうチョーさんなんか嫌いです。二度と来ないで。」
チョー「…マンシュー、朕は諦めないアルよ。今後、またリクグンに近づくようなら朕にも考えがアルよ!
     身の振り方を今度までに考えておくアル!」

チョーさんは意気揚々と去っていきます。
マンシューさんは、恐怖のあまり暫くそこから動く事が出来ません。
と、マンシューさんにリクグンさん再来の電報が掛かってきたのは、その直後でした。

その夜、チョーさんはイビキを立てて眠りについていました。
すると、突然轟音が鳴り響きます。

チョー「な、何アルヵ!?」

バッ!と家から飛び出すと、そこにはリクグンさんの姿が。

リクグン「…貴方がいると、我々日ノ本家とマンシューさんが迷惑なのです。
      貴方にはこれから別の家へ移って頂く」
チョー「な、なななな、リ、リクグゥゥゥゥン、キサマ!」
リクグン「貴方がチューゴ家と何度も我々を妨害したのは知っている。さあ、立ち退いて頂こう」
チョー「黙れ黙れアル!日本鬼子の侵略には屈しないアル!」

轟音で恐怖と錯乱状態に陥ったチョーさんは、猛然とリクグンさんに突進。
脂肪でブヨンブヨンの躰だろうと流石に巨体、威圧感があります。
しかし、それを冷ややかな眼で凝視するリクグンさん。それは既に闘う者の眼になっていました。

チョー「朕は10万回20万回殴られようが蹴られようがビクともしないアル!」
リクグン「なるほど。ならば相手が悪い」

チョーさんの突進を素早く交わし、足払いで転ばせると、うつ伏せになったチョーさんの土手っ腹に
容赦ない蹴りを浴びせます。「グエェ」と鈍い声がしました。

チョー「オェェェ…」(涙目)
リクグン「どうした。まさか1蹴りで終りではあるまい」
チョー「…当たり前アル。朕はお前よりずっと躰が大きいアル!」

チョーさんも隙をついてすかさずリクグンさんに反撃。
リクグンさんは終始圧倒しますが、体力が元々少ない為徐々に劣勢に立たされます。
リクグンさんも「マズイな…」と思いかけたその時、

マンシュー「私が手伝いましょう」(殴)
リクグン「! マンシューさん、…かたじけない、頼みます」(蹴蹴)
チョー「グエ、な、マンシュー!?朕を、朕を裏切ったアルかぁぁぁぁあ!?」
マンシュー「黙りなさい、匪賊が」(殴殴)
リクグン「…」(殴殴殴殴殴殴)
チョー「リ、リクグン、憶えてろ…アイヤァァァァァ━━━━━━━・・・・」

チョーさんはチューゴ家の方角にお星様になって飛んでいきました。

リクグン「ふぅ…いや、マンシューさんに来て頂けなかったら、私はどうなっていた事か。。」
マンシュー「いえ、私はリクグンさんにココで斃れてもらっては困りますから。ふふ。」
リクグン「そうですね。私はまだ日ノ本家と貴女、そしてアジア班の為にも斃れるわけにはいきませんから」
マンシュー「それでぇ、リクグンさん、早くアジア号を私に見せてくださいよぉ」
リクグン「ハハハ、せっかちなお方だ。」
マンシュー「ねぇ、りぃくぐんさん」
リクグン「何でしょうか?」
マンシュー「この家を、いい家にしましょうね♪」
リクグン「…ええ。同感です」

こうして、リクグンさんとマンシューさんは、15年の間協力してマンシュー家を守り立てていく事になります。
まあ、実際はマンシューさんがリクグンさんを利用しているワケですが、詮索はヤボというものですね。

解説 日出づる処の名無し 投稿日: 2006/03/11(土) 18:21:39 ID:7ZwyvAi9
ttp://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog239.html
JOG(239) 満洲 〜 幻の先進工業国家

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E5%B7%9E%E4%BA%8B%E5%A4%89
満州事変

久々に投稿です。。
チョーさんの30万回というのは、軍勢の大きさを表しています。
脂肪というのは、兵士の錬度の低さを表しています。
まあお暇な人だけ見ていただければ。。

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