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第9話 空箱 投稿日: 2006/01/23(月) 23:25:37 ID:BaDwuWCl
ニホンちゃんは紙芝居が大好きです。
紙芝居はアメリー家の物が町内でも人気ですが、日ノ本家も負けずに様々な紙芝居を作っています。
たくさんの紙芝居を見ているうち、見るだけでは物足りなくなってきたニホンちゃん。
自分で作ってみることにしました。

ストーリはずっと温めていたものでした。
大好きなおじいちゃんが乗っていたという伝説のボートのお話です。
おじいちゃんを登場させるからには手を抜くわけにはいきません。
実際にボートを作ってそれを写生するほどの入れ込みよう。
長い長い気の遠くなるような作業の末、ついに完成。
タイトルもずばり、「メンズ大和」です。

嬉しくてたまらないニホンちゃん、早速ウヨ君に見てもらうことにしました。
ウヨ君も紙芝居好きな上に、尊敬するおじいちゃんのお話とあって、食い入るように見ています。
『自分…不器用ですから』
クライマックスのおじいちゃん最後の出航のシーンになり、ウヨ君は涙を拭う事も忘れています。
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「けしからんアルゥウウウ!!」
ドバーン!
突然背後のドアが蹴り開けられ、二人はびっくりして目を丸くしました。
見るとチューゴ君を先頭に、カンコ君、アサヒちゃんと、ニホンちゃんの苦手な面々が勢ぞろいです。
「な、なんだお前たち!」
ウヨ君が手にした刀を抜こうとしたところに、アサヒちゃんが立ちはだかりました。
「あらかーわいー、あの強面のウヨ君が紙芝居見て泣いちゃうなんて、これはスクープだわぁ!」
噴火しそうな勢いで赤面すると、ウヨ君は部屋を飛び出して行ってしまいます。
「ふふん、熱血バカなんてちょろいものよ」
得意げなアサヒちゃんの脇をさりげなく通り抜けようとしたニホンちゃん。
爽やかな笑顔のチューゴ君に捕まってしまいました。
「さ、自己批判の時間アル」
あーみんな楽しそうだなー、とニホンちゃんはどこか他人事のように思うのでした。

「ニホンの紙芝居には加害者としての視点が欠落してるアル!」
「恐ろしいニダ!ニホンはもはや極右と化してしまったニダ!」
チューゴ君とカンコ君が交互にお決まりのフレーズを垂れ流しています。
最近はニホンちゃんも慣れた物で特に感想すら抱きません。
こっそりあくびをかみ殺してたりします。
「打たれ強くなったわね…」
アサヒちゃんも最近のニホンちゃんにはちょっとびっくりです。
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「やっぱりチョパーリの紙芝居は貧乏臭いニダ、ウリナラのハンリュウッドを見習うニダ!」
ニホンちゃんの紙芝居をぱらぱらめくったカンコ君、得意絶頂で語り始めます。
「ウリが鋭意製作中の超大作のプロットを聞かせてやるニダ!ありがたく拝聴しる!」
長々としたカンコ君の話をまとめるとこうです。
ブラジャーキッチョムとの長い長い兄弟げんかが遂に終わりを迎え、熱い握手を交わすカンコ兄弟。
しかしそのころ、再びカンコ家乗っ取りの悪しき野望に目覚めた、極悪殺戮少女ニホンが胎動を始めていた!!!

うわぁ…
年頃の女の子を実名で悪役にしちゃ駄目だろ。
流石にチューゴ君もアサヒちゃんも引き気味です。
うっすら笑みを湛えたまま微動だにしないニホンちゃん。
チューゴ君はニホンちゃんの中で何かが蠢き始めた事を悟り、素早くアサヒちゃんに目配せします。
「さ、さてお邪魔したアルな、そろそろ帰るアル」
「あ、私も部屋に帰るねっ」
いそいそとドアに向かう二人。
「ウリはもう少し居てやるニダ。ニホン、お茶出すニダ」
ドアを閉めた二人は、部屋の中から聞こえて来たおぞましい物音から、逃げ出すように立ち去るのでした。

おしまい



中国紙が男たちのヤマトを批判
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1137847870/
韓国映画「韓半島」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/01/11/20060111000017.html

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