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第20走者
どぜう
投稿日: 2004/07/25(日) 05:56
「夏のニホンちゃん祭り『となりのニホンちゃん』第20走者」
その1
昨日の晩から走り続けているカンコ君、
流石に脚はふらふら、目の前も暗く霞みます。
「ウ、ウリは誇り高きミンジョクの末裔ニダ…
なにが目の前に立ちはだかってもケンチャナヨ、じゃなくて、ハァハァ、
乗り越えていかねばならない使命を持ってるニダ…」
そこいらから拾ってきた棒切れを杖代わりに、遅々と歩みを続けます。
と、道路の片隅にぽつんと置かれたダンボール箱を発見。
「ニダ?」
生来いじきた…もとい、物を大事にするカンコ君。
ふらふらと見入られたようにそのダンボール箱に近づいていきました。
「なにか、なんでもいいニダ、辛ラーメンでも、ペペロ一箱でも…
出来ればペプシか、それも駄目ならメッコールでも…」
半泣きの声と震える手でかぱっと箱を開けたカンコ君。
「にゃー、にゃー」
中には捨て猫が一匹入っているだけでした。
「……食いもんニカ?」首をかしげて猫に話しかけるカンコ君。
「にゃ…?」
自分に向けられた殺気(と云うか食欲と云うか)を感じとったのか、少し怯える子猫たん。
(続く)
その2
「…くっ…!」きりきりと歯ぎしりをしたカンコ君。
「つまらないもんに関わってる暇はないニダ!時間の無駄ニダ!」
プリプリと怒りながら走り去ってしまいました。
「にゃあー?にゃーあ」
走り去っていくカンコ君を残念そうに見送る子猫一匹。
「ふう、ふう」
町外れの山あいの道を一人走るカンコ君。
けれども運命の女神様はそう簡単にカンコ君には微笑んではくれないのでした。
さあああああああああ…
「雨ニダ…」
いつになく悲壮な表情で天を仰ぐカンコ君。
容赦なく雨がカンコ君を打ち据えます。
「…しかし聡明なウリはこんな事もあろうかと、
お出かけアイテムは万全の準備をしていたニダ!!」
ばっ!と背中のナップザックから折り畳み傘を取り出しまして、
ぱぱっと開いておつかい再開です。
ざああああああ…ざあああああああああ…
雨足は強くなるばかりです、
とぼとぼと山道を走り続けるカンコ君の表情も曇り気味。
徐々に駆け足は遅くなり、やがて立ち止まってしまいました。
「…」
雨の中立ち尽くすカンコ君。
「…っ!」
不意に今来た道を引き返していきます。
ずるっ!
「!」
舗装されていない山道に足をとられ、べしゃっ、と地面に尻餅をつくカンコ君。
「…アイゴー」力なくそう呟くと、また立ち上がり、駆け出し始めました。
(まだ続く)
その3
結局ふもとまで下りてきてしまったカンコ君、
道を確かめるように、今来た道を引き返していきます。
「…!…こっちニダ」
そして、カンコ君は何かを見つけたようでした。
「にゃー、にゃー」あの子猫です。
「ったく…お前はもう捨てられたんだから、
一人でちゃんと生きてかなきゃならないニダ、聞いてるニカ?バカ猫?」
「にゃー」聞いちゃいません、猫なんだから当たり前です。
「…ウリはよくよく考えたら池に落ちたりして、十分びしょびしょニダ。
今更雨を心配するこっちゃないニダ」
と、独り言のようにつぶやきながら、
「要するに、その、この傘はウリには無用の長物ニダ、
ここで捨ててってもじぇんじぇん問題ないニダ」
と、ダンボール箱に傘を立てかけたカンコ君。
「…にゃー」
くりくりとカンコ君の手に頭を押しつける子猫。
「この猫…やっぱりバカ猫ニダ…」
ニダリと笑ったカンコ君、気合いを入れるように立ち上がると、
脇に封筒を抱えて再び走り出したのでした。
「にゃー」
背中に子猫一匹の声援を受けて。
(次の走者よろしくw)
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