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第29走者
北極星
投稿日: 2004/07/25(日) 18:42
ユーロ街――。
ここニ百年にわたって地球町の中心地であり、最大の都会。
瀟洒な石畳と漆喰の街並がつづき、すべての流行はここから始まります。
「……ついに」
カンコ君は両手を握りしめて前傾しました。
「つ・い・に」
力を溜め――
「つ・い・に……! ユーロ街に着いたニダ〜〜〜〜ッ!!!」
カンコ君は拳を突きあげ飛びあがりました。
歓びの大爆発でした。昨日の朝からの艱難辛苦のフィナーレがようやく近づきつつありました。
「さあ! メゾン・イベリアにまっしぐらニダ! もうキテレツなトラブルはこりごりニダ」
カンコ君はごみごみした下町に入り、つづら折になった坂道を駆けのぼりました。
道に迷うこともありません。ユーロ街には何度も来たことがあるのです。
「フラメンコ先生〜! カンコニダ。優等生のウリが宿題を持ってきたハセヨ!」
メゾン・イベリアの2階中央の部屋を思いきりノックしました。まるきり乱打にちかいノックでした。
しかし――。
「ん……ニダ」
室内から反応はないのです。
ドアノブを引いてみると、何の抵抗もなく開きました。
「先生、鍵もかけてないニダか。――うっぷ! すごい散らかりようニダ」
魔窟のごとき部屋に、こわごわ足を踏み入れるカンコ君。
めざすフラメンコ先生は影も形もなく、替わりに用もない男どもが転がっていました。
いまだに昏睡しているメゾン・イベリアの住人たちです。
「こら! 起きるニダ、ダメ人間ども!!」
カンコ君はいちばん気弱そうな若い学生服の男の胸倉をつかんで揺さぶりました。
若い男――アンドラさん――はぐずぐず口の中でつぶやいていましたが、頭をつかんでシェイクすると
うすく眼を開けました。
「……うぐぅ……。だれだいキミ?」
「地球町のスーパースター・カンコ様ニダ。おまえは知らんニダか?」
「……聞いたこともない……」
「まあいいニダ。フラメンコ先生はどこにいるニダ? とってもとってもとーーっても大事な用事が
あるニダよ」
「フラメンコ先生……? ああ」
アンドラさんはぼんやりした記憶を追いました。
「管理人さんなら、セーヌ河の花火大会に行ってるよ。バスクさんやハプスブルク先生といっしょにさ」
「ニダ!?」
(つぎの作者につづく)
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